神曲奏界ポリフォニカ エイディング・クリムゾン †
- 作者:榊 一郎 イラスト:神奈月 昇
- 評者:お亀納豆
- 日付: 2008-09-17
お薦め対象 †
分厚い本見てテンション上がる人。
粗筋 †
奏始曲による精霊の争乱を退けたフォロンとコーティカルテ。だが連絡橋が破壊されたメガ・フロート、ホライズンは完全に孤立していた。しかも奏始曲に操られた精霊達の怒りが収まらず、ホライズンは悪天候の中崩壊を始める。
一方ポークトに付いていったリュネアは、彼の振る舞いを見て自らのカーマインに対する気持ちが本物かどうか疑問を抱き、カーマインの秘密へと迫ることに。
隔壁が降り、移動もままならなくなったホライズンで繰り広げられる人と精霊の葛藤と軋轢。精霊を恐れ、排除しようとする人々と、良き隣人として受け入れようとする人々。彼らの思いの行方は! 脱出はなるのか!
感想 †
つーわけで奇蹟の三冊同時刊行ですよ。まずは本家本元の『赤』第七弾。六巻のときに450ページ近くあってGA文庫最厚じゃね?とか言ってたら、今度は500ページというミラクル。榊さん曰く、700円越すと文庫の値段じゃないそうな。じゃあ、京極夏彦さんや川上稔さんの仕事は鈍器製造ですね。
表紙はいつも通りコーティ。股間を凝視した人は二三時間正座な。どうせなら半ズボンじゃなくてミニスカートの方が良かったなぁ。
前回から引っ張っていたミゼルドリットの謎は、本来一柱の中級精霊として生まれる筈だったが、ゴタゴタがあって分裂して生まれることになったというものでした。そのため、契約楽士が居ると合体が可能。合体後は若干外見が成長。
今回、やむを得ずペルセルテと契約することになったわけだが、契約関係は今後も続くんだろうか。分裂することになったゴタゴタもいずれは語られるんだろうし、契約を破棄したとしても、また出て来るだろうけど。
冬コミではペルセルテと二人のミゼルドリットがえっちぃことする同人誌が出回るんですね、分かります。
で、今回の肝と言える〈聖カエルレウムの虐殺〉。精霊達を無差別に殺し合わせることが出来るという〈奏始曲〉より数段質の悪い楽曲。これは『青』のルーファが昔に当事者になった事件で使用されたものだが、リーマ&グレイスカンパニーのリグルスからツゲ事務所に電話が掛かってきたりしているので、去年の十二月に出る予定だった『青』の三巻は今回の事件と密接に関わるエピソードだったのではないかと考えられる。ホント、いつになったら三巻出るんだろうなぁ。
続いて、再びフォロンとコーティの前に現れた骸骨の精霊ディエス。彼は消滅しかけで自我境界面の薄くなった精霊達を取り込む行為、通称共食いで自らを強化し攻撃してくる。これって、もしかして『黒』のマティアの飛行機事故の原因となった「アレ」と同種のものなんじゃないのか?で、「アレ」はどうもマナガと関係が有るらしいことが『リライアンス・ブラック』のラストで匂わされていた。また、共食いは精霊の間で禁忌とされている。ってことはマナガの罪ってのは共食いをしてしまったってことなんだろうか。単純な思考展開ですが。
また今回はコーティメインのラブコメパートにも注目。普段はフォロンを朴念仁だの何だの言っているくせに、いざ具体的な行動に出られると弱いコーティ可愛いよコーティ。
ところで、フォロンの同級生に芸能人として成功した人間が居るそうですが、まさかダングイスか……?わざわざ、こういう書き方をするってことは既に登場している人物ってことなんだと思うんだが……。でも、最初は同級生だったけど、途中からは後輩になったんだよなぁ。そう考えると違うのかなぁ。ダングイスだったら面白いんだけどなぁ。
そして、ミノティが呟く「また……やり直す事になるのか……?」という言葉。恐らく精霊島が落ちたときのことなんだろうが、しかしそうだとすると『白』の結末が不安だ……。
後書きでは、未発表の企画が二つあるとさらっと書かれてました。キネティック五六話って公式発表はまだなんだっけ?あとはアニメ二期、『ぱれっと』二巻、ビジュアルファンブック第二弾、コミカライズ第二弾、ゲーム化、TCG化くらいか、思いつくのは。普通に新シリーズとかかもしれんが。
次は『エンシェント・ホワイト』。