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京都工芸繊維大学 文藝部

Top / 活動 / 三題噺 / 風
Last-modified: 2007-06-24 (日) 14:10:31 (6123d)
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風 ―― U


ゴホゴッホ―――――風邪を引いた
おそらく、昨日、自転車で雨の中を突っ走って帰ってきたのが悪かったんだろう。頭がぼんやりとする。
ったく車の免許ぐらいはやく取って欲しいものである。
今日は一日布団の中、グッスリ休むことにしよう・・・
・・・
・・・
暇や・・・
テレビでもつけようか―――――ろくな物がない、というかワイドショーとか興味ないし。
じゃあマンガでも読もうか。ペラ、ペラ、ペラ4~5ページ読んでギブアップ。マンガを読めるコンディションではない。
やっぱり寝るしかないか。目を瞑って布団の中で丸くなる・・・
・・・
・・・
Zzz・・・
夢の中の出来事はちょっと怖いものだった気がするが、すぐに忘れてしまった。
気が付けば12時すぎ、風邪のせいで食欲が出ない。もっと寝よう。目を瞑って布団の中・・・
・・・
・・・
・・・眠れん
いや、きっとしばらく目を瞑ってれば、また眠れるはず、布団の中で丸くなる。
目を瞑って布団の中、こんなにゴロゴロしていてイイのだろうか。もう一日の半分が過ぎてしまっている、学校のお友達はみんな勉強しているんだろう。そんなことを考えると、のどの奥から小さな笑いがこみ上げてくる。今日は一日究極の怠けに走ろう、誰にも邪魔されはしない。石のように、物のようにじっとして布団の中にうずくまろう。
・・・
・・・
Zzz・・・
このままずっとずっと横になっていたい。朝になっても寝ていたい。布団の暖かさがたまらない。できることなら布団になりたい、ずっとこの寝室の片隅で横になっていたい。
Zzz・・・
Zzz・・・
Zzz・・・
目を覚ませばもう6時、部屋はすでに闇の中、このままもう一度目を瞑り、夢の中に行こうとも考えたが。おなかがすいてきた。どうやら僕には人間をやめるのは無理みたいだ。今日の晩御飯は何だろう?
・・・
・・・
・・・

(了)



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