四季のうた(夏) †
鮎川つくる
ぼくは地で囲まれた群島をおもい浮かべて
真ん中をゆく積雲をおもい浮かべる
俄に降り注ぐ雨はぼくの歩調をととのえる
海風にのったなら雲と陸地に漂って
水色の大気は
波のようにたしかな濤声を生み出す
着ている夏シャツは
どうしてかボタンを上まで留めている
最大密度に凝固した青色を背に
魚は広漠とした海に溺れてしまい
あらゆるものの基底である植物に
陸地のけものは喰われてしまう
スーーーーと声を出してみる
三回はためくシャツの布地の
隙間に入った洗剤を追い出そう
弛緩したちいさな肉体に
さらに心象を埋め込もう
ルーーーーと午睡をやってみる
雲や山の何もかもが厚くなり、
全天候で最も涼しい風の吹く、
焦がれる焦がれる最上の季節!