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京都工芸繊維大学 文藝部

Top / 活動 / 霧雨 / vol.46 / 四季のうた(夏)
Last-modified: 2020-12-21 (月) 21:22:20 (1220d)
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活動/霧雨

四季のうた(夏)

鮎川つくる

 ぼくは地で囲まれた群島をおもい浮かべて
  真ん中をゆく積雲をおもい浮かべる
  俄に降り注ぐ雨はぼくの歩調をととのえる
  海風にのったなら雲と陸地に漂って
  水色の大気は
  波のようにたしかな濤声を生み出す
  着ている夏シャツは
  どうしてかボタンを上まで留めている
  最大密度に凝固した青色を背に
  魚は広漠とした海に溺れてしまい
  あらゆるものの基底である植物に
  陸地のけものは喰われてしまう

 スーーーーと声を出してみる

  三回はためくシャツの布地の
  隙間に入った洗剤を追い出そう
  弛緩したちいさな肉体に
  さらに心象を埋め込もう
  
 ルーーーーと午睡をやってみる

  雲や山の何もかもが厚くなり、
  全天候で最も涼しい風の吹く、
 焦がれる焦がれる最上の季節!