ある日の朝 †
そう
「お姉ちゃん!」
この声は……!
振り向くと、最愛の妹、芽衣(めい)がいた。
かわいい!
「芽衣!」
私は想わず、芽衣に抱きついた。
「ちょ、お姉ちゃん、苦しいよ……」
「芽衣、かわいい、癒やされる!」
芽衣に頬ずりする。お肌すべすべ、めっちゃかわいい、癒やされる。端から見たら、私は小学生女子に襲ってる不審者に見えるかもな、ってそんなことはどうでもいいや、今は芽衣に癒やされよう。
「お姉ちゃん、ちょっと痛いよ」
「あぁ、ごめん」
少しだけ、芽衣を抱きしめる手を緩める。
あぁ、かわいい。ずっと抱いてられる。というかずっと抱いていたい。
「お姉ちゃん……」
「なんだ?」
さっきまでと雰囲気が違う? でもかわいい。
「どうして助けてくれなかったの?」
背筋を悪寒が襲い、思わず手を離す。
自分の手を見ると赤く濡れていた。
「芽衣……?」
「ねぇどうして? どうして助けてくれなかったの?」
芽衣の目から赤いものが流れる。目だけじゃない体中から赤い液体が流れ落ちる。
「ねぇ、どうして何も言ってくれないの?」
芽衣の体から首が落ちる。
吐き気が襲い、口を押さえて倒れこむ。
気持ち悪い。
転がった首が目の前まで転がってくる。
「守ってくれるって言ったのに……」
あぁ言った。芽衣は私が守るって、約束した。
「嘘つき」
胸を氷で刺されたようだ。芽衣の言葉は私の心臓をえぐった。
「あぁああああああああああ!」
布団から飛び起きる。
すぐ近くの仏壇にある写真を見て思い出す、芽衣は死んだんだ、七年前に。
守れなかったんだ、一度は人として一線を越えてでも守ったのに……何をしても、もう一度一線を越えることになっても守り切ると決めたのに、約束したのに、守れなかったんだ。
朝食を食べ、冷蔵庫の中を確認する。白菜、豚肉、キムチあるな、夕飯の材料で必要なもので買い足さなければならないものは無さそうだ。
じゃあ、病院に行くか。
私は七年前の手術の影響で定期的に薬を飲まなければならない体になってしまったらしい。
今日はその薬をもらいに行く日だ。
薬をもらうだけで無く、検査も受けるから、帰るのはどんなに早く出ても帰りは昼を過ぎるな。
「じゃあ、行ってくるな」
仏壇に話しかける。
芽衣を守れなかった私の罪は誰が許してくれるのだろうか、誰も……いや、私が絶対に許さない。