SAW ソウ †
- 出演: ケアリー・エルウェズ, ダニー・グローヴァー, モニカ・ポッター, リー・ワネル
- 監督: ジェームズ・ワン
- 評者: 哉
- 日付: 2006-08-16
お薦め対象 †
サスペンスが好きなやつ、集まれ!
あらすじ †
朽化したバスルームで対角線上に倒れていたふたりの男ゴードンとアダム。その間には自殺死体が。足を鎖でつながれた男たちに与えられたのは、テープレコーダー、一発の弾、タバコ2本、着信用携帯電話、2本のノコギリ。犯人から告げられたメッセージは「6時間以内に相手を殺すか、自分が死ぬか」。犯人はジグゾウ。警察に追われている連続殺人鬼。彼がこれまで犯した犯罪とは…そしてふたりの運命は…。
感想 †
非常に高いセンスで描かれた、上質のホラー&サスペンス。
不気味な閉鎖環境に、追い討ちをかけるように鎖で繋がれた二人の男。謎だらけの状態からスタートして、物語が進むにつれ謎が謎を呼び、最後には、有無を言わせない力でもって解決を流し込んでくる。これは、本当によく練られた脚本の映画です。低予算で制作されているとは感じさせない不気味な画面作りに、こちらの心理をたくみにつき、恐怖を喚起させる手法など脱帽です。
これは、かなり「怖い」部類の映画ですので、観賞には充分な心構えを用意してください。
それにしても、開いた口がふさがらない映画でした。これは勿論、良い意味での驚きであり、エンタテイメントとしての仕上がりは一流であります。
記憶が断片的に脳裏をよぎり、解決への糸口を手繰り寄せる。しかし、それすらも犯人の掌の上でしかなかい。完璧なまでに計画され、実行にうつされた犯罪には美学があり、また、生に対して感謝しない愚か者たちへの説教が含まれている。犯人、ジグゾウはゲームという名前の絶望をもって被害者たちを追い詰め、いかに生きているということが大切であるかということを解らせようとする。
わけなんですが、ジグゾウの思想は歪みに歪んだエゴイズムにまみれています。かなり気味の悪い映画です。常に薄暗い空間で、だんだんと事件の深層にはまり込んでいく。あまりに残酷なジグゾウの手口に、眉間にしわが寄ります。
ただ、そんな些細なことで敬遠はしないで欲しい作品です。
素晴らしいサスペンスですので、是非、夜中に一人で観ておののいて下さいな。