シービスケット †
- 出演: トビー・マグワイア, ジェフ・ブリッジス, クリス・クーパー, エリザベス・バンクス, ウィリアム・H・メイシー
- 監督: ゲイリー・ロス
- 評者: 哉
- 日付: 2006-08-23
お薦め対象 †
温もりのある感動が欲しいかたへ。
あらすじ †
1930年代、不況の真っただ中のアメリカで、1頭のサラブレッドの活躍が国民に勇気を与える─。実話をもとにした感動のドラマ。騎手ジョニーが乗る「シービスケット」は、西海岸での競馬レースで連勝。しかし、東海岸の王者からの挑戦を受け、レースを目前に控えたとき、ジョニーに不幸が襲い掛かり……。
感想 †
手堅く作られた安定感のある感動作。
一際小さい競走馬シービスケットと、それに関わる人間模様が丁寧に描かれていますので、とても安心して観ることのできる良作でした。競馬シーンの臨場感には迫力があり、サラブレットの鍛え抜かれた肉体美だけでも観る価値がありますともさ。
なので、温かみのある感動を求めるかたには、胸を張ってすすめることができます。
特に気に入っているシークエンスは、騎手を演じるトビー・マグワイアが片目が不自由だということを黙っていたことがばれ、調教師が彼を嘘つきだと罵っているときに、シービスケットの馬主はそれを許すところです。それは、彼がまだ貧しい自転車の修理屋をやっていた頃に、できもしない自動車修理を引き受け、実際にやってのけることにより自動車産業で成功をおさめた自分と、騎手とを重ね合わせているからです。
全編を通して、なかなか気の利いた場面が散りばめられているので、かなり楽しむことができました。
なんだか久し振りに「ミドリのマキバオー」を読み返してしまいました。こちらは完全にギャグのはずなのに、気づいたら泣かされるほどに熱いドラマが繰り広げられています。こちらもおすすめです。下品なのが苦手な方にも、それが気にならなくなるくらいの感動があるので、手を伸ばして欲しいです。
どちらも、弱者が強者に挑むということ、負けてたまるかという精神に溢れています。
ただ、最初の展開がわかりにくかったのがマイナスでした。騎手、調教師、馬主のバックグラウンドを説明しているのですが、映画の雰囲気がだれないように、早回しで進んでいくため、ちょっと混乱してしまいました。これ以上じっくり描くと観客はだれてしまうし、話が展開するにつれて相関図の理解はできますけれどね。
とても完成度の高い作品です。週末の夜などにいかがでしょうか。