ラブ&ポップ SR版 †
- 出演: 三輪明日美, 仲間由紀恵, 希良梨, 吹越満, 浅野忠信
- 監督: 庵野秀明
- 評者: 哉
- 日付: 2006-08-15
お薦め対象 †
庵野好きなかたへ。
あらすじ †
水着を買いに渋谷へ出かけた裕美(三輪明日美)は、店頭で見かけたトパーズの指輪がどうしても欲しくなる。所持金が足りないので、いやらしい中年オヤジと一緒にカラオケで歌ったり、オタクっぽい青年とレンタルビデオに行ったり、ときには危ない目にも遭いながら、援交で金をもらっていく。
感想 †
庵野的村上龍作品。庵野的というのは、つまり「エヴァ」を監督していたときの、彼のようということ。
全編、家庭用のビデオカメラを用いているため、絵は綺麗ではありません。斬新なカメラワークですが、斬新過ぎます。前半部分は、無理にポップに仕上げようとして空回っている感じです。ですが、型どおりに撮影された映像にはない荒々しさがあり、これを良いとするのか悪いと受け取るのかは人それぞれでしょう。わたしとしては、映像的ギャグが挟み込まれるところ、以外、は良かったです。こういうことを臆せずやってくれると、好感が持てます。失敗したときは苦笑いして、成功したら拍手する。それでいいじゃない、ということです。映像に関しては。
小説の方は未読なのですが、映画から受けた印象と、わたしの持つ村上龍氏のイメージとが重なりませんでした。その辺を庵野的と表現したゆえんであります。エヴァを観たことがあるなら、テレビシリーズ後半の人物の内面描写を覚えていると思います。詳しくは書きませんが、あれを実写に移植したものが、この作品であります。
小遣い稼ぎとして、援助交際を使っていた前半とは打って変わり、後半はつらいです。援交の影の部分といいますか、自分の体すら天秤にかけるための錘として使ってしまう心理が、生々しく画面に映し出されます。ここで、家庭用ビデオカメラの粒子の粗さや暗さが相乗効果として、主人公の惨めさや後悔を強くあらわしていると思いました。
あまり気持ちの良い映画ではありませんが、エンディングに流れる川の中を歩く四人の女子高生や、排他的な内面描写には目を見張るものがありました。
それに、若かりし頃の仲間由紀恵が出演しています。しかも制服姿で!
庵野氏の演出は好きなので、わたしは面白かったです。