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京都工芸繊維大学 文藝部

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Last-modified: 2007-04-10 (火) 19:18:56 (6465d)
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千年女優

  • 出演: 荘司美代子, 小山茉美, 折笠富美子, 飯塚昭三, 津田匠子
  • 監督: 今敏
  • 評者:
  • 日付: 2006-07-30

お薦め対象

ジブリに慣れきっているかたへ。

あらすじ

30年前に、表舞台から姿を消した伝説の大女優・藤原千代子。インタビューに答えて、自らの生い立ち、そして秘められた恋を話しはじめた彼女だが、その実体験と、出演した映画のシーンがいつしか混ざり合う…。

感想

 一人の女優の人生を、ここまで魅力的に仕上げた映画があるだろうか。


 と書きましたが、これはフィクションですのであしからず。わたしが言いたいのは、アニメーションという枠組みから、ただものではないアニメーションへと、この作品が昇華することに成功しているということです。

 では、どの辺がその境目になっているのでしょうか。
 ひとつにドラマ性。もうひとつに、アニメーションの可能性というものを挙げておきます。

 前者は書いて字の如くです。つまり中身があるということ。中身があるということは見応えがあるということであり、受け取る側のわたしたちを考えさせてくれるということです。
 アクション映画全般に、このドラマ性をあまり重要視していないと言えます。ないからこそ明るく楽しめるというものでしょう。例えば、ジャッキー・チェンが自転車を借りた(またな盗んだ?)青年は、実は重い病気を患った母親が危篤ということで、病院への道を急いでいた最中、ジャッキーのいざこざに巻き込まれ、母親の死に目に会えなかったとしたらどうでしょう。

 お、重い(違

 レヴューと関係ないところで盛り上がりましたが、登場人物に血が通っているということを言いたかったわけです。

 さて、アニメーションの可能性についてですが、これはもう本作を観てもらえば一目瞭然です。これをどうやって実写で表現すればすればいいだろう、俳優を使って撮ったとして、どうやって違和感を取り除くことができるだろうか。

 たぶん無理です。

 あらすじにあるとおり、現在と過去とが混在してストーリーは進み、藤原千代の一生が明らかにされて行きます。その魅せ方が妙技です。素晴らしい。

 彼女は、少女のころに出会った謎の絵描きの男に憧れ、彼を追いかけるために女優となって満州へと渡ります。千年女優というのは、彼女の演じた時代をあらわしています。戦国時代から、宇宙へと旅立つ未来までの、彼女が演じた千年。映画を通して、千代は彼の背中を目指して走り続けます。

 そして、そこから得た答えが、誰にも秘密にしたまま語ることのなかった「彼女が消えた理由」が、クライマックスに千代の口から零れます。

 はじめに聞いたときは意味がわからなかったのですが、時間がたてばたつほどに、その言葉の意味の重さを感じるようになるでしょう。
 すぐには伝わってこない感情。今監督が何を考えて、あのセリフを千代に言わせたのか。
 必見ですともさ。

評価:A



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