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京都工芸繊維大学 文藝部

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Last-modified: 2007-04-10 (火) 23:02:23 (6465d)
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メメント

  • 出演: ガイ・ピアース, キャリー=アン・モス, ジョー・パントリアーノ
  • 監督: クリストファー・ノーラン
  • 評者:
  • 日付: 2006-08-08

お薦め対象

面白い映画を探しているかたへ。

あらすじ

 妻が殺害された光景を目にしたレナードは、10分しか記憶を保てない前向性健忘になってしまう。彼は妻の仇を討つため、事件のキーワードをタトゥーにして彫り込み、ポラロイドにメモを書き込みながら犯人を捜し出そうとする。

感想

 奇抜な設定を生かしきった秀作。

 あらすじを読んでいただければ、この作品が他のサスペンスとは一線を画している事に気がつくと思います。この時間軸を反転させたストーリー展開にとてもしびれました。

 映画では、最初に(時系列での)ラストシーンが映し出されます。そこから、何故そうなったかについての説明が、十分という区切りをもって、どんどんなされていきます。レナードの失った記憶を逆行して辿っていくことで真相に迫っていく。前向性(順行性)健忘、事件の真相、そして登場人物との相関。十分経つと、その間に覚えたことがすべてリセットされる。

 そんな中で、レナードは自分の筆跡とタトゥーだけを信じます。記憶を失うということは、ものの名前を忘れるということであるから、何か覚えなくてはならないことがあれば、そのつどポラロイドで写真に収め、自分の筆跡で名前を記していきます。そして、事件に関わる重要な手がかりを、他人が改竄できないように自分の体に文字通り刻んでいく。

 ストーリーは複雑ですので疲れているときには控えた方が良いと思います。
 手に入れる情報は、すでに提示された未来(結果)に至る過去(過程)ですので、脳内で補完していかないと展開についていけなくなりますからご注意ください。

 この映画では、常にレナードの真実が万華鏡のように一瞬でその様相を変えてきます。これがスリリングでたまらなく面白いです。十分しか記憶がもたないというところで、話のテンポも良く楽しく観賞することができました。

 この映画のもつ斬新なアイディアの衝撃は、十分経っても消えませんともさ。

評価:A



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