道 †
- 出演: ジュリエッタ・マシーナ, アンソニー・クイン, リチャード・ベースハート, アルド・シルヴァーナ
- 監督: フェデリコ・フェリーニ
- 評者: 哉
- 日付: 2006-07-27
お薦め対象 †
良い映画はないかと探している人へ。あとなんかネタを探している人も。
あらすじ †
頭の弱いジェルソミーナは、夫ザンパノの女と酒、暴力三昧の生活で自信を失い、何度も彼のもとから逃げようとする。そんな時、ある青年に出会う。ジェルソミーナは彼によって勇気づけられ、夫と生きていくことを決心する。しかし、ザンパノが青年を殺してしまったことから、事態は変わっていく…。
感想 †
なんて哀しいのだろう。
観客はまずジェルソミーナに同情します。彼女はザンパノの呪縛から逃れることができずに、つらい日々を重ねていくのですが、それでも、彼を夫として受け入れようとします。自分以外に彼とうまく付き合える女性はいないと、ジェルソミーナは乱暴で酒癖が悪く、おまけに女癖まであるザンパノを許していきます。ザンパノも、そんな無条件におくられる愛を当然のように受け止め、自分の行いを改善しようとしません。そのくせ、彼女に近づこうとする男がいれば過剰に反応し、取り返しのつかない結果を招きます。
最後は、ザンパノの後悔の深さが観客の胸を打ちます。一番大切だったものを失い、しかし失うことでしか、その輝きには気づかなかった。気づけなかった。愚かだけれど、人間には誰しもそういう面があるように感じます。青春は振り返ってみて、はじめて、ため息をつくものですから。
かなり昔の映画ですが、楽しめました。カラーに慣れているとモノクロの画面が不満に感じるのですが、そんなこともなく終わりまで観ることができました。非常に良かったです。機会があれば、どうぞ。打ち寄せる波のような感動が、あなたを優しくなでていくでしょう。
評価:A