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京都工芸繊維大学 文藝部

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Last-modified: 2007-04-10 (火) 22:54:25 (6465d)
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  • 出演: ジュリエッタ・マシーナ, アンソニー・クイン, リチャード・ベースハート, アルド・シルヴァーナ
  • 監督: フェデリコ・フェリーニ
  • 評者:
  • 日付: 2006-07-27

お薦め対象

良い映画はないかと探している人へ。あとなんかネタを探している人も。

あらすじ

 頭の弱いジェルソミーナは、夫ザンパノの女と酒、暴力三昧の生活で自信を失い、何度も彼のもとから逃げようとする。そんな時、ある青年に出会う。ジェルソミーナは彼によって勇気づけられ、夫と生きていくことを決心する。しかし、ザンパノが青年を殺してしまったことから、事態は変わっていく…。

感想

 なんて哀しいのだろう。

 観客はまずジェルソミーナに同情します。彼女はザンパノの呪縛から逃れることができずに、つらい日々を重ねていくのですが、それでも、彼を夫として受け入れようとします。自分以外に彼とうまく付き合える女性はいないと、ジェルソミーナは乱暴で酒癖が悪く、おまけに女癖まであるザンパノを許していきます。ザンパノも、そんな無条件におくられる愛を当然のように受け止め、自分の行いを改善しようとしません。そのくせ、彼女に近づこうとする男がいれば過剰に反応し、取り返しのつかない結果を招きます。

 最後は、ザンパノの後悔の深さが観客の胸を打ちます。一番大切だったものを失い、しかし失うことでしか、その輝きには気づかなかった。気づけなかった。愚かだけれど、人間には誰しもそういう面があるように感じます。青春は振り返ってみて、はじめて、ため息をつくものですから。

 かなり昔の映画ですが、楽しめました。カラーに慣れているとモノクロの画面が不満に感じるのですが、そんなこともなく終わりまで観ることができました。非常に良かったです。機会があれば、どうぞ。打ち寄せる波のような感動が、あなたを優しくなでていくでしょう。

評価:A



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