時計じかけのオレンジ †
- 出演: マルコム・マクドウェル, パトリック・マギー, マイケル・ベイツ, ウォーレン・クラーク
- 監督: スタンリー・キューブリック
- 評者: 哉
- 日付: 2006-07-30
お薦め対象 †
衝撃を受けたいかたへ。
あらすじ †
麻薬、暴力、盗み、暴行など、悪の限りを尽くす近未来の不良グループ。リーダー格のアレックスは、ある盗みの最中に仲間の裏切りで捕まり、その服役中に、悪人を善人に変える奇妙な洗脳実験を受けて、暴力を嫌悪する無抵抗な人間となって娑婆に戻される。しかし、そんな彼を待っていたのは、かつて自分が暴力の対象にしていた者たちからのすさまじい報復だった。
感想 †
まず、格好いいです。
時代が古いですから、今と比べてみるとコミカルに映るかもしれませんが、アレックスの立ち振舞いや喋り方、バックに流れる彼の敬愛するルトヴィヒ・ヴァン・ベートーヴェンの音楽など、このセンスはとても好きです。彼らの行為は好きにはなれませんが。
トラウマ覚悟で観ました。だって、どこのレヴューを読んでもはっきりとした全体像は捉えられないし、アレックスのバイオレンスとスタイルばかりに目が向けられていて、ちょっとビクつきながら観賞したわけなのですが。
そんなに怖がることありませんでした。
何でかな、いつもレイプとかそういった性的暴力には強い嫌悪を示すのですが、この作品には、そういった感情はあまり動きませんでした。いや、ちょっと動いたかも。待てよ、結構嫌いかも。でも、生臭さがないから、もう一度観てもいいかな、という気持ちです。
たぶん、ストーリーよりも一場面ずつが印象に残る作品だからでしょうか。
例えば、雨に唄えばを口ずさみながらレイプするとか、運動会の音楽をバックに早送りのセックスシーンとか、無理に瞳をこじ開けての洗脳実験とか等々……。
さて、これを読んで気持ちの悪くなった人には、あまりお勧めしません。もっと爽やかな映画を観ましょう。
綺麗かと聞かれれば、そんなことはないと答えます。じゃあ、汚いかと聞かれても、そんなことはないと答えます。
では、どのようなのかと聞かれれば、ジャケットのイメージのように、鈍く光るナイフのようです、と答えます。大人しそうなのに切れ味が抜群に良いナイフ。
名作と冠がつけられています。なるほど、これは一見の価値がありました。
ただもう一度だけ。バイオレンスが本当に苦手なかたは注意してください。「バトル・ロワイアル」なんかより、遥かに過激です。