それでも町は廻っている 1 (1) †
- 作者: 石黒正数
- 評者: 哉
- 日付: 2006-10-01
お薦め対象 †
重たい作品で消化不慮になっているかたへ。
あらすじ †
ここは下町・丸子商店街!この、一見フツーの通りに存在するメイド喫茶「シーサイド」。
重厚な服が何げに似合うバアサンと女子高生探偵に憧れる天然少女・嵐山歩鳥が繰り広げるメイドカフェじゃない、メイド喫茶コメディ。
感想 †
なんていうか、こういうギャグ漫画を欲している自分に気がつきました。
押し付けるような勢いはなく、シニカルに構えているでもなく、ただあるがままに垂れ流される、天然少女の日常。彼女に関わる人間たちは、だんだんと彼女のペースに心を乱されながらも、深みにはまり込んでいくようです。
歩鳥を取り巻く人々、商店街のおじさんたちや、同じ学校の同級生や先生たちは、彼女の行動にため息をつきながらも、慌しい日々の中に、ときに満足を見出したり、ときにストレスで胃が荒れたりしていきます。
ストーリー展開の技巧が優れており、文章や絵柄だけをもって笑いをさそうのではなく、構成力でもって物語の舞台である、丸子商店街にいざなってくれます。ごちゃごちゃしておらず、シンプルな絵柄なので読みやすいのではないでしょうか。メイドというトレンドを取り込んでいるのに、なぜかそんな波に逆らっている印象を受ける不思議な作品でもあります。
なかなか魅せる漫画です。そして、かなり心を楽にしてくれる作品でもあります。
かなりの良作、オススメです。
評価:A