放浪息子 (1) †
- 作者: 志村 貴子
- 評者: 哉
- 日付: 2006-07-17
お薦め対象 †
切なさに耐えられる人へ。
あらすじ †
女の子になりたい少年・二鳥修一と、男の子になりたい少女・高槻よしの。誰にも言えないこの気持ち…。思春期手前の子供たちの揺れる心情を描く。
感想 †
これは、つらい。
修一とよしの、彼らの気持ちに対する明確な答えはありません。それなのに、彼らの気持ちには敵が存在します。しかも、その敵は目に映らない、『常識』という衣服にしみこんでいる『普通』という染料であり、誰もが気づかすに身につけ、それを脱ぐための方法を知らないままでいるものです。
理解者はいます。しかし、指導者はいません。
表紙と帯を見て買いました。絵が綺麗だし、なんだか面白そうだからという理由で。そして痛い目をみています。なんて、どうしようもない袋小路なのだろう。わたしは、こういうのが本当に苦手です。二人にとっての幸福な終末が想像できません。ファンタジーの理不尽なら我慢できますし、むしろそういうのは好きなほうです。しかし、思春期でやられると途端に拒否反応が出てしまいます。なんでもっと下調べしてから買わなかったのか、わたしは。
なので、これは注意です。気軽に読みたい方は控えたほうがよいでしょう。
とはいっても、わたしの個人的主観なのであしからず。
まあ、いろいろ書いてきましたが、それでもこの作品は面白いです。一級品ですともさ。是非とも、恐れずに手を取って、二人の微妙な悶えてください。
評価:A+