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京都工芸繊維大学 文藝部

Top / 活動 / 霧雨 / vol.46 / 四季のうた(夏)
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 [[活動/霧雨]]
 
 **四季のうた(夏) [#ldc85fca]
 
 鮎川つくる
 
 
  ぼくは地で囲まれた群島をおもい浮かべて
   真ん中をゆく積雲をおもい浮かべる
   俄に降り注ぐ雨はぼくの歩調をととのえる
   海風にのったなら雲と陸地に漂って
   水色の大気は
   波のようにたしかな濤声を生み出す
   着ている夏シャツは
   どうしてかボタンを上まで留めている
   最大密度に凝固した青色を背に
   魚は広漠とした海に溺れてしまい
   あらゆるものの基底である植物に
   陸地のけものは喰われてしまう
 
  スーーーーと声を出してみる
 
   三回はためくシャツの布地の
   隙間に入った洗剤を追い出そう
   弛緩したちいさな肉体に
   さらに心象を埋め込もう
   
  ルーーーーと午睡をやってみる
 
   雲や山の何もかもが厚くなり、
   全天候で最も涼しい風の吹く、
  焦がれる焦がれる最上の季節!