KIT Literature Club Official Website

京都工芸繊維大学 文藝部


Last-modified:
| | |

活動/霧雨

この世界の、どこかの誰かの孤独

葉野海

過ぎ去った時間を数え直すとき、

世界に独り、座っているのは、わたし

明日が描けなくなった、この手が描くのは

色のない故郷

閉じられた絵本を手に取って、

背表紙を撫でたとき、心臓が脈打った

コーヒーの匂いが恋しくて

シチューの味が懐かしいから

わたしは、わたしを生かし続けるのでしょう

どこかの誰かの呼吸が聞こえて

孤独を優しく包んだら、朝日みたいに光ってる