開始行: [[活動/霧雨]] **わらわら低気圧〈かいばん〉 [#j2cd307f] あゆかわつくる おぼれる 魂 が ふ る え る 1 ぼくの想い出すことのできるもっとも鮮やかでもっともふる... 2 ずっと気持ちが悪くて、たぶんここさいきんの寝ぶそくのせ... 3 もういっぽん飲もうと思った。なんでかはわからない。冷蔵... こんこんとさらさらしてなめらかなうつしいげろはとめどな... だからこそ、みぎうでだけが空気にふれていたとき、てを伸... 4 どうしてそんなことをしたのか分からないことばかりを想い... 5 めが覚めると、だれかがいたから、ぼくは「ぼくはすっかり... めを二回こすると、ぼやけていたりんかくが、たしょう、は... 「わたしはじめて見たの、来たばっかりの仔。毛並みがちがう... 「きみのはとび色だね、そんなに重要なことなの」 「そのうちくすんでくるのよ」 ふうん、とながして、かのじょの血管のかよったみみをみて... 「ぼく、木に刺さっていたの」 かのじょはなんにもいわないでぼくのお腹のほうをゆびさし... 「おねがい、ちょっとやめてよ」 「どうして、後悔のないしきさいゆたかな生活だと思うけれど」 「なんだか吐きそう……」 「正常な反応ね、からだに入ってきた分量とおなじだけ、出し... かのじょはガラス瓶を押しやった。向こうのけしきが二じゅ... きれいかな、と聞くと、そうねといった。ぼくは恥ずかしく... ぼくはまた「あっ」といってしまって、ほおの裏をかんだ。... はじめだし、これくらいにしておきましょうと言って、うで... 「ねえ、ちょっとなめてもいい」とたずねたら、きずをふさい... 6 湿気があってぬくい。ぼくはなにも着ていなかった、あとで... 「これから先はなにをするの」 「きょうは水曜日だから水曜日にすることをするのよ」 ふうんときき流した。かのじょにもたれかかったら、やわら... 「あ……、」 かのじょの鋭いつめが、へその周りをぐるぐるさそう。だめ... 「だめっ、きもちいいから」 砂糖のおかしみたいな言葉だ……。息をするのがたのしくて、... 「ふつうはいっかい吐いたらお終いなのにね、あなたすごいわ」 ぼくのだしたふよふよでしばらく遊んだ。石鹸まみれになっ... 「このせっけん良い匂いがするよ」 「買ってきた実を搾って入れているの」 洗ってもらった後は、かのじょのからだを洗った。ものすご... すっかりびしょ濡れになってしまって、乾かすためのお部屋... 7 乾くまでどのくらいたっただろう。水ようにすることは、し... お外にでるにも服がないから、かのじょの着るものをかりる... てんき予報ははれで、からっとしていた。ひざしはくっきり... 「ぜんぶ屋根があるの」通りをおおう、細いながいまくをゆび... 「だいたいわね、ちょっとひらけたところにはないけど、あと... あたりまえだけれど、歩いているひとはみんなぼくらとおな... 柱のさきにはお店のかんばんや、たてものの名前が書いてあ... 8 わされた地図の、黒くぬってあるところにあるらしい。はじ... 道のりはしあわせなことに、どれもめだった形をしていた。... 9 外階段がのびていて、道路のやねからつきだしている。二階... 銀色のとってはつめたく、にぎったところにしろいもやがつ... 「ふふ、やっぱりおんなじなんですね」 「はじめての仔はみんなそう言いますよ」 ぼくを呼んでくれたのは、まんまるいめがねをしているひと... 「あっせん所では、どうやってくらしていけばいいのかを教え... 「ぼ、ぼくはなんにもできないから、たぶんすぐ凍えてしまう... そうくちにだしてみると、むねのあたりの、硬いほねの芯の... あの、吐きそうなんですけれど、なにか持ってないですか、... 「ごめんなさい、すっかり収まりました」「なにかとうろくを... ほほえみがあって、ぼくのまえに紙がぺらんと出された。「... ゴムをあたまのうしろで結んで固定すると、紙に書いてある... 「登録はこれで終いですよ、あとは帰りにほんやによったらど... 10 ほんやは、河を渡ったところにあった。橋がたかいところに... 文字なんてわからないのにとぶつくさしながら、ちょっとだ... 「こんにちは」 振り向くとほんやのひとがいた。すっと静かに、のっそりや... 「ほんは一冊くらいもっておいたほうがいいね、いつ呼ばれて... 背表紙やひらたく積まれた紙のかずかずは、どれもよむこと... 「ちゃんとはたきで掃除しているからね」ゆびさきを注意ぶか... 「ぼくまったくよむことができないです」 「大丈夫だよ、そのためにめがねがあるんだから」 かれはがらもののむなポケットからめがねをとりだして、ガ... 「なかなか似合っているとおもうよ、さ、読んでみて」 ざらざらしてかびくさいほんを手に持って、「これ、『ほん... 「いまはそんなにとんちんかんな文章にみえるけれど、とこと... 「どうしよう、ぼくお金なんてもってないんです」 かれはそんなこと、といって、暑いからつめたいお茶をだす... いくつかくらがりを通り過ぎてきたりょうめには、すこしぶ... のどおくがしっとり冷えていく。吐いた息も、すこし凍って... 代わりといってはなんなんだけど、かれが出したのはいちま... 「ぼくたちって、くちのあたりがすごくびんかんらしいよ」 むもむもと、ぼくのくちのなかにゆびが二本、三本としん入... 「歓待ってすてきでしょ、ぼくもめが鮮やかなときがあったん... ああ、うでがうしろで太いひもで固定された、あしもいすに... 「からだはかたいひふで覆われているから、なかにいっぱいも... ちゃんとびんにつめておくからあんしんして、とやさしくぼ... 「いまからきみの体内に、縫いぐるみの詰め物なんかにつかう... 抜けないように、ほそいあなからいれるんだ、ひふがぴりぴ... 「っん、あ……」 管をとおってぼくのげろが吸われていく。めのおくが痛くな... げほげほとなみうつからだのせいで、ゆびさきがしびれてど... 「ぐっ、うはぁ」くちのなかでとびちったげろがはなの穴には... 11 ねむっていたのはすう分だったらしい。かれはぼくがだした... でいりぐちまでくると、もう太陽はしずんで、そらはうつく... 12 しびれ堂のお菓子というのは、食べたらからだがしびれて動... ぎゃく三角形のこまかいかざりつけの箱をつくえの上におい... 「どうしよう、もうすぐ夜だ」 「つまらなかったの」 「そういうことじゃないんだけれど」両手をもみほぐす。もっ... 「ぼく眠れるかどうかわからないんだ」 かのじょはそんなこと、と笑って「お菓子をたべたらいいの... 着がえるように言われたからそうすることにした。一まいの... 「こういうとき」というのがどういうときかはわからないけ... 「好きに使っていいわよ」 「ぼくひとりで寝るの」 「はじめの夜はそうだってきまってるのよ」 お皿のうえにのったしかくいお菓子を運んできて、おやすみ... ねころがって、むねのうえに両手をおいている。けもくじゃ... 13 めが覚めると、からだじゅうにべっとりとげろがついていて... 「きのうはよくねむれたかしら」 かのじょはぼくのとなりで立っていて、でもやっぱりげろがい... べろのしたにも少したまっていたので、のみこんだが、ただ... 「かわいい歯形ね、わたしよりもちいさいわ」 いちばんくちのすぐ下がひどい、どばっとおうぎ形に吐いた... 「おふろに入りたいな、ぼく」 「きのうの夜から沸かしたまんまよ、これも決まっていること... 14 浴室には、あったかいお湯がはってあった。ゆげがいっぱい... 「うへぇ、毛がごわごわしてる……」 「ちゃんと洗剤であらわないとね、けだまになるわ」 ぼくはされるがまま。やわらかい肉がひふにつつまれて、ぼ... 「あなたのからだずいぶん柔らかいのね」 「食べもののせいじゃないかな、かたい食べものってあんまり... 「こころの問題かしらね」 かのじょがとつぜんぼくの乳首をつかんだものだから、「ふ... 「あたまの問題かもしれないわね」 みずのしたたるいい音がする。天井からおちたみずたまが、... 「きょうは、なにかすることは決まっているの」 もたれかかると、すっぽりうでのあいだにおさまった。「き... 「こん晩はよるあそびの日ね、あなたも銅貨くらい持っていた... 15 はじめて行ったときはぜんぜんきがつかなかったけれど、ま... ぼくはもってくるようにいわれていた小びんのつるつるした... 「いきていくためにお金はひつようでしょう、あっせん所で吐... かんよう植物のてらてらした葉っぱをさわっていたら、すぐ... かのじょははじめて来た仔は品質がよくわからないから安い... 16 よるあそびは、河をわたってすこしうらろじに入ったところ... かのじょがとびらをあけた。すうっとおうぎ形にひろがる灯... こづかれてびくんとする。やっとあしにかんかくがもどって... 「くじびきでえらぶの、だれがあれをするか」ゆびしたさきで... 「ねえ、これってなにかわかる?」 ゆびで付けたりはなしたりすると、ねばついてほそい糸にま... 「わたし決めたわ、耳の先を切ってもらいましょう」「次にあ... 「いやだ、ぼくきみといっしょに眠っていたいよ……、とっても... ぼくはぺたんと座り込んで、かれの下にたまったぶよぶよを... 「みんな帰って行くよ、どうして」 「わたしたちが最後なんだから、あたりまえのことね」 「決まっていることなの」 「そうよ」 かのじょは階段をかけていって、はさみでかれの耳を人さし... 「うげっ……ぶしゅっ、ああっ」 ああ、ぼくももう上にいって、ましょうめんからみたいとお... 「ぼくもやっていいの」 いじきたないな、とおもったけれど、がんばってのみこんで... 「あ……」 なだらかなあたたかさで、かれは小便をもらしていた。ぼく... 17 ぼくは、かのじょがぼくにくれたぼくの部屋にいた。かれも... 「いま何時だろ」 「まだ夜だね、そんなに時間は経ってないとおもうよ」 ぼくはふうんと答えて、「傷がすっかりなおってるや」 「そのためにちりょう班がいるからね」 かれのむねのあたりをさすった、やわらかい毛はすとんと倒... 「きみもたいへんだったね、安いのはしにそうなことしかでき... ねっころがって天井のもようを見ていたら、かれがひょいっ... 「きみのしんぞうの音を聞かせてよ」 「ふくの上からでも聞こえないかな」 「あたたかい方がすきなんだ」 うえのふくを脱いで、下着もとった、べつに毛でおおわれて... 「どうかな、くさくない?」きのうおふろに入っていなかった... 「全然、いいにおいだよ、きみのからだいいな、ぼくすきだよ」 「なにか聞こえる?」いいにおいというのは、けっきょくどう... 「血が流れる音がする」 かれがふれていると、とてもぬくくて、太陽がなくさむい夜... 「ぼくさみしいんだ、べつにすむところが決まるまでは、きみ... かおをあげて、もぞもぞ上ってくる、「くすぐったいよ」か... 「きみあったかいな……」 「ふわふわしてるよ」と、ぼくの言ったことばは、うかれた熱... 「まずは夜にたいしてどうにかしないとね」「むかし話しとか... かれはふかく息をすってから、こっちに来たばっかりのころ... 18 ぼくはちりょう班に拾われたけれど、かれはくすり班に拾わ... 「たてものはわざと古くさくつくってあるんだよ、なかはとっ... ぼくはふーんといった。かれはぼくの上からよこに移動して... 「だからいろんなくすりを貰ったんだよ、あぶなっかしいやつ... 19 みせてくれたのは、小びんにはいった透きとおったうすみど... 「それで、これはなにができるの?」 「石みたいになるんだ、かんがえも息もぜんぶ止まる」 「ぐっすりと?」 「あれこれしんぱいするよりもためしたほうが早いよ」 灯りがいくつもあったから、ぼくたちのかげは何じゅうにも... くすりはさらさらしていて、のどのひっかかりはとことわに... 「あとは寝てればいいの」 「五時間くらいは効くとおもうよ、調整したから」「はじめは... 「どうしよう、のどの奥から、ずっと体内のほうまで、ふくら... 「ゆっくり息をすって、まわりの空気をかんじるんだ、水は見... 「きみは水そうのなかにいるんだとおもえばいい。いまぼくた... 「こ、こうかな」 灯りはゆらいで、からだがねじって消えてしまう、みみに水... 「上手だとおもうよ、ふかいところまできたね」ちょっとだま... とくべつな言葉ではなしているんだろうか、ほしくずをにつ... めはあけない、ありふれた天井、ごつごつした灯りが入って... 20 「起きた?」 ぱっちりめをあけて、心ぞうからゆびさきやあしの方まで血... 「めをとじてあけたらあさってかんじなんだね……」 「そうじゃないとくすりとは言えないからね」 「のどがすぅすぅするな」 からだをむりに使っていたから、あのくすりを飲んだつぎの... 「なかなかきもちいいね」ぼくはへんに素直なきもちになって... いっぱいの赤いろをした肉が、なめらかにうずく。なだらか... 21 とだなの引き出しから茶色いあめの板をとりだしてきて、は... 22 食べ終わると、「かのじょなんて忘れてさ、ぼくんとこに来... 「なにかひとこといったほうがいいんじゃないの」と心配して... 「ぜったいぼくの方がきみが必要だとおもう」「それに心配な... 23 早いほうがいいよ、注射だってそうだろ、うん……、窓はあい... でもぼく、どっちかというと注射すきかな、入れられた液が... 「きみんちはどこにあるの、河のちかく? 涼しい良い風は入... そりゃもう、と腕をおおきく振って「ちいさい三つの部屋な... 通りの屋根をみながら、てをつないで歩く。ほはばは息のな... 「みて、二階にいっぱいうえきばちがおいてある……」 「たぶん薬草とかじゃないかなあ」 やねのないところでは雲をみながらあるいた。ときたまどっ... 「あっ……まっかだ……」 「どんな気持ち?」 ぼくはちゃんとかんがえてから「水に溶けるってこんなかん... 「えへへ、ぼくもそう思う」「舐めたげるね」 かれが口からじゅくした桃色のながいべろをすっとひろうし... 「うっ、うう」 「ちからかげんはどう? もっと深い方がいいかい」 あたたかな肉体がべったりあたって、にごった赤いろとてら... 「しおからいや」「ちりょう班のようにはいかないけど、ばい... かれがひざをすりむいたら「ほら」っとずいっときずぐちを... 「ほんとだ、ちょうどしょっぱくていいね」つばでねってのみ... 24 このたてものの三階にあるんだよ、と上をみたけど、通りに... 階段をのぼる。おどりばのかべのおくまったところに黄色い... あんないされたのは、くもりガラスのはまったとびら「さあ... 「まずはおふろにはいろうよ、すなつぶとかくずとかが、みえ... 浴室につれていかれて、はながらのタイルをなぞった。 25 じゃぐちをひねるとお湯がでた。暗いままがすきらしく、よ... 「なんだかいまのきみはあやしいね」と言われたから、「きみ... 「さっ、」じゃぐちのまわす音は汚くあどけないさえずりみた... さわって、ここをね、とかれは、ふるえる手でぼくをつかん... からだを洗うのもいっしょだった、浴槽からでて、せっけん... 「きみは青いろのめか、新鮮そう」 「ぼく、きみみたいに黄いろのめの仔は、はじめてみたなあ」... 26 浴室の空調をかえて、けがわがかわくまですわって待つ。そ... 「ぼくはね、不安なんだよ、夜になったらくすりを使うけれど... かれのこえはぶるぶるふるえて、ちいさかった。あいたくち... 「ここでずっとくらしていると、よばれることは知ってる?」 「なにかおしごとがもらえるんでしょ」 「そうなったらおしまいだよ、ずっとしばりつけられる。ぼく... それからぼくのほうにたおれてきて、はじめてひざまくらし... 27 寝室は、まんなかにねるところがあって(ぬのとかがいっぱ... 「そこに寝ていて」 ぼくはねっころがった、まわりのぬのやわたが、ずずっとせ... 「いままで、ひとりでくらすようになってから、いろんなとこ... 注射するまえに消毒をするように、かれはぺろっとうでのう... 「いたい、いたいよ」 かれがかんだところから離れて、てでおさえた。どくどくい... 「ごめんね、でもきぶんはよかったでしょ」 ほうたいをまきながらかれはいった。「べつに病気なんても... 28 日がくれるまで、ぼくたちはよこになって、となりどうし、... 29 「たのしいね」といいあったころは遠く、つめたく、おもい... 「ぼくやこうせいになんてなれないよ、でも、日のひかりにあ... 「まったきやみだよ、くわれておいしいえさになっちゃうんだ」 ぼくたちのどっちがいったのかよくわからない、ぴっちりだ... 「ねえ、きもちいい、いまものすごく気持ちいいね」 ぼくは「うん、うん」といっぱいうなずいた、かれはぼくの... 「ぼくたち、ほんのあかちゃんだよ、まだお乳がいるんだ、で... 「はなみずをこうかんしない……」 「ふんってするね」灯りはぬののぬいめからもれて、まるいせ... はなのあなをかたっぽだけてでおさえて、いきをふくと、な... 「うわっ!」どこかで鳥がぎゃあっと啼いた。ぼくはこわくな... 「わかった、とっておきのくすりを取ってこよう。いっしょに... 「うん……」かれのお腹のはしをぎゅっとにぎる。 30 かぶっていたぬのをばさっととると、細かいいとくずがまっ... 31 くすり棚は、ぼくふたつぶんくらいある、とびらつきの、上... 「おおきいね、もらったの」 「ううん、ここにもともとあったんだ」 かれが棚のとびらをあけるうごきはしぜんだ。古めかしい木... 「なんのくすりなの」 だまってこっちをむいて、あたまのうごきのせいで、かれの... 「のんだ仔どうしの、からだをまぜるくすりなんだ」 32 しゅじゅつ台のうえに、ぼくはのったことがない。 「あしはこう、てはこう、わらってるほうがいいんじゃないか... せなかをぴったりつけることを考えたら、あんがいぼくのか... ますいやくすりで、ぼくはねむったことはない。 「ぼくは、うわついたきみのめを、ちらっとみるのがすきだか... いつもほかのひとばかりで、ぼくはしんだことがない。 「ずっとかくして持ってたんだ、ほんとうはきんしされてて、... 「おくちをあければいい?」「うん……。ああ! きみのよだれ... いまのぼくのこえは、水中ではっしたあぶくのようで、うま... 「さあ」おもおもしい。きたいとか、心ぞうにいく血のりょう... くちのなかに、にがい味がひろがる。よだれとまざってとろ... 「うへえ。にがいや」 「ほんとだ」「ぼくもはじめてだから。だいたいはあまいとか... かれはぼくのうえにまたがっていた。あしのつけねのあたり... 「ちゃんとのんだ?」 うんとこたえるかわりの、べえっとしたを出す。むねにかお... 「こんなのにであったことないってくらいかな、こういうふく... まどから風がはいって、月光はいくつものすじになっていた... 「すごい!」 そのあいだにもずぶずぶはいってくる。「このあたりかな」... 「やめて、あ……、」うみにうちよせる波の気持ち、はらっぱを... からだはねばねばしたものでできた すいそう 大気にふれると くさる くさって きもちわるいみためになって (たくさんの小さな円や ちぎった紙のだんめんみたいな) とける ひふはうすい皮のようなもの かたくて、うちに海をたたえている でも広くないし くらくもない かといってあかるくもないし あたたかくもない 熱のないねんえきのあつまり (うわずったこえなんて出して しあわせそう? うそつけ……だまされないぞ……) おもいねんえきは、 しぜんに底にしずんでいこうとするのに、 まとめあげるたましいは、 これをゆるさない おもいねんえきは、 おぼれてしまおうとするのに、 まとめあげるたましいは、 これをみとめない たくさんのいのりをして ようやくたましいのなかにねんえきをながしこみ えきたいのいきものになる (なるまでは、おきているときはおぼれて ねているときをながくする) えきたいのいきものは 大気なんてすてて たましいをとかして ねんえきののぞみどおり (つまりぼくのねがい・ぼくのゆめ) お ぼ れる …… 底で いたみなく たましいを こわす ……さいごにふるえて…… されど そ こ に は なに も ない だって かんじるものがいないんだもん い い ね 、 そ れ ぼくにみえたけしきは、いちばんすきな(ちょっとからだに... 33 ねえ! ふまんそうなかれのむすっとしたしめった声で、ぼ... 「ご、ごめん」「なんか、とめられなくて……」 「ぼくを置いてかないでよ……」「しんぱいしたんだから。きみ... 「じっさいきぶんもものすごく良かった、だいじなことをしっ... あしはぜんぶ混ざったようだった。「いっぽんのあしからぼ... 「きしょくわるいね」とぼく。 「きみが置いてきぼりにしているあいだ、とめておくの大変だ... さあ、とひと呼吸おいて、かれはぼくへのせん水をはじめた... 34 きこえる……? うん……聞こえるけれど よかった、うまくきみのなかにはいれたよ うへっ、ちょっときもちわるいや あっ、いまのきみのかんじょうのうねりが、ぶわっとぼくの... かんかくをわけあってる……? うん つながっている? そうだね きみはからだをうごかせるの ほら (みぎうでが持ち上がって、ぼくのちくびのまわりをなでる) す、すごいや! へんにこうふんしないでよ、 歩いてみてもいい? ごじゆうにどうぞ (ぼくはすうほあるいてみた。そのたびにびくびくして、むね... (かおのきんにくがたくさんうごく。あつくなってぱっとする... かがみをみようよ いいね、それ (ぼくの部屋ではないのに、かがみのばしょがわかった。つな... (ゆかにこぼしたぶんを、じっとながめる) においかいでもいい? なまもののにおいがするな…… さわろうよ (さわってみた、さわってみたのはぼくなんだろうか、かれな... いいさわり心地だ…… (てのうえにのせてみる) と、ともだちがいっしょだと、 いろんなことができるよね たとえば おおごえをだすだとか たとえば やりたいほうだいできるとか つめたい部屋にはいっても ぼく(たち)があたたければもんだいない いたいけがをしちゃっても ぼく(たち)できずをなめればもんだいない ふあんなときはそうだんするし くらいときにはこづきあう (じぶんのからだだけど) (じぶんのからだじゃない!) ぽつねんと なんてしら なくてもい いようにな る ひとり な んてしらな くてもいい ようになる みんなせいいっぱいやろうとしてる じかんのむだ を ぼく(たちで)がかいけつしちゃった ……これで ひるまは ぼく( )のおもい どおり (35) ゆめみごごちの、ぼくのことば・こころ・きもちは、とじこ... 36 かがみのまえに立った。つるつるしていて、みえるものすべ... 「めをみて……」 「ほんとだ」かってにくちがうごいてこえをだすかんかくは、... ぼくたちのめは、みぎと左でちがういろになっていた。ぼく... 「ねえ、そとにでてみたい」 「きっさ店はたくさんあるよ」 「うん……たのしみ」 「ふくを着ないと」 「めはめだっちゃうからあのめがねでもしていこう」 ふくは、かれがもっていたのをきた。「いいの? きみのじ... 37 しっけがある。しめっていて、ぼくたちのけがわにはりつく... 「だれもいないね……」 「でもね、よるせんようのおみせっていうのもあるんだよ」「... ぼくはうれしくなって、そうだよとどろどろになって、かれ... めがねのいちをちょうせつしたら、またつねられた。つぎや... 38 きっさ店からもれだした灯りで、あたりはにじんでいた。ち... めがねをしているせいで、かいてあるもじはゆがんでいて、... 39 のみものはすいてきがあるせいで、なかみはよくわからない... ほかにはちゃいろい液。まずそう……。「これをかけるの」「... おさらには、ちょっとみどりで葉っぱのもようがかいてあっ... 「ひとばんじゅう、ひかりをあびて、けんこうにわるくないの... てがうごいて、食器をつかみ、ふるふるした、だらしなくか... ふたくちめ。「からだがどんどんひえていくよ」「まだたく... さんくちめ。ぶるぶるふるえてきた。だからぼくはおぼれる... 40 ぼくがおぼれると、かれがいた。 「やあ、きぶんはどう」 ぼくはすりよっていく。 「ひふがぴりぴりしていてかゆい」「こころはつながっている... 「まだ弱いんだよ、からだどうしをむすびつけただけだね。た... けろっとして「はなみずでもふきなよ」 「べつにたれてないよ」 「からかっただけさ」 ねころんで、せなかにぴったりはりついてもらう。 「さむいのはきらい?」 「とてもきらい……きらいということをいうだけでも、おそろし... 「こころがびんかんになっているんだよ。いまのきみはおぼれ... 「からだがかたくなって、ぽろぽろくずれそう」「ちょっとし... 41 かれはまだあのよくわからない料理をたべつづけていた。か... 42 きがつくとぼくはくびをしめられていた。かれのわらったか... すこしずつちからがつよまって、血がながれにくくなり、ぴ... どうして…… きもちいいだろ それはそうだけれど、でも でも? でもなんなの、いってごらん ぼくはおろおろしていた、そのあいだにもあつはたかまって... きみにかんかくをおしつけているんだ。 どういうこと……(またほおがぴりぴりしてきた、ちいさなみ... きみは どうしてじぶんが って おもったことは いちどもな... えっ、というぼくのこえは、すぐにうめきでうわがき。まっ... ぼくはかいほうされたいんだ。しばりつけられるなんてもっ... してんがかわって、ぼくはかれをみおろす。かれのくびをし... いやだ! やめてよ。せきこんでみずっぽい。のどおくがか... ぼくはぼく自身でぼくをくるしめていることになるが、ての... ほんとうにたまたま、ぼくたちのちからでどうにかなったわ... よるになって ひとりぽつねんと じっとうずくまって きょうをふりかえって きょうふにしびれて なきそうになっているの? あほうのすることだね わらえないじょうだんだ さんざんおぼれたあとに まだみずにつかろうとする ひるまのぶんで すっかりかわききってすかすか さすってもでない だってないんだもん わんわんないていまなんじ がんばってねむろうとするけど りきんでしぼりだされるのは あとあじのわるいふるいおもいで られつ……くさり……つながり…… こうかくがさがる ぼくはなにもしてないよ? たましいをもてあます あそびになんてむいてない (あそびかたとか、しらないし) おめめぱっちり しかいはすんでいる ひるねばっかりしている おくすりをのもう (それとも、あたまをぶんなぐる? ぐわんとやって、ちぎれたきおく) ……さいこうだ のんで、きえて、たおれて、ばいばい それともはなのあなからなにかいれてみる? つついてみる? とにかくねむることができたらいい たましいはしんだふりをしてくれる ……そうしたら、よるまもぼくのおもい どおり (になる んだよね?) 43 「きがついた?」「そのままめざめなかったらよかったのにね... かがみのまえにいすを置いて、うきうきはなしがはずんでい... 「こらこら、きみはうごいちゃいけないよ」「なんならしばろ... かがみのぼくたちがわらった、かがみのなかのめに、しせん... 「ほら、みて、さらさらとした、ぼくたちへの、おいわいのお... びんづめの、くすりをさらさらふちにそわせる。なみなみと... 「あーん」なんと言おうとぼくにどうこうできるちからはない。 (44) ぼくは、どうだっけ。なにをねがって、どんなゆめをもって... 45 のどおくを、ねんまくのすいぶんをすいながらくすりはすす... 46 めをとじて、くらいひょうじょうはしていない、ぬけがら。... たましいのぬけたからだはつめたい。ぼくがあたたかいから... (47) またはきそうになる。ずんずんたかまるあつりょくに、こえ... 48 よくわからないけれど、たぶん、このへやはこれからぼくが... わたのまんなかにおくと、くべつがつかなくなった。ぼくも... 「ねえ、ぼくたち、ずっ…… いいおわるまえに、はきたくなってしまってどうしようもな... すうてきこぼしたけれど、うまくそそぐことができたとおも... 49 「おはよう」おきるとまず、こえをかける。そこから、あさ... 50 たましいのある、ひるまは、じごくのように、おもたくてつ... そんなのいやだ! だからたましいをわすれるように、なに... からだのうえにのっかって、ぼくのからだをうちつける。か... つぎはからだをうえにして、ぼくがしたになる。おもいから... (51) ほんとうにそんなことあるんだという……、ぜんぶおはなしだ... (52) ぜんぶあたまのなかのできごとだからよかったんだ、けっき... (53) うらやましい。くすりを、くすりがほしい。 (54) ぼくのたましいなんて…… 55 「おやすみ」くすりがきくまでのあいだの、ほんのすこしの... 56 めがさめると、チャックをあけて、とけたものみたいにだら... (57) こころはむしばまれていく。ぜんぜんきもちよくない、ぼろ... (58) たすけて…… 59 からだをみた。からだのよこにねころんだ。からだがみてい... 60 やっととまった。 くちをはなすと、あふれたげろがとびちってぼくのけがわを... (61) でぐちはどこなんだろう…… 62 からだをさすっていた、いつものように。ゆいいつのつなが... (63) そうなんだ、めんどうくさいんだ。 64 ぼくははじめてからだのまぶたをあけてみる。どうしていま... まぶたをあけると、まっしろなしろめと……だとおもっていた... あっ、みみが……さんかくのみみが、まるがたにかわっていく... からだのへんかはとまらない。くちもとから、だらだらとぼ... 「ね、ねえ、こっちにこないでよ、ぼくわるさなんてしてない... からだをゆっくりうすくつつみはじめ、ぼくのほうにむかっ... 65 げろのまくがわれたなかからでてきたのは、ばけものとしか... さんかいのまどから、かわやたてものせんようのにわをみた... ぼくはろうかにでた。かがみをみたくないから。うごくもの... まだいっかいならどうにかなるかもしれない。かいだんをお... いっかいのまどは、こだちのせいでいくぶんかくらくなって... 66 くらべて 、 ぼくは 67 ぼくはへやにいた。ほかにもたくさんのほかのこがいて、あ... 68 あのこは、おうたがうまいね。あのこはじがじょうず、それ... 69 きづいてしまって、 いみなんてなかったんだなあって おもって 70 あめがふりはじめた。はなのあたま、みみのうしろ。じめん... 71 ざあざあぶりのあまつぶはいたい。みずをすったけがわはお... もういちど。 「おめでとう」 さんかいめでようやくこえのほうをむいた。くびはこりかた... 「おめでとう」 「なにがおめでとう、なの」ちょっといらいらしていた。 「きみはよんだんだ、わらわらていきあつを」 72 みるとあおぞらからちょくせつあまつぶがふってきている。... 「ぼくはね、むかえにきたんだ。きみを」「よんだ、きみをね」 「でもぼくなにもしていない……」ほろっとつぶやいたのはそん... やさしいてつきで、じっとてをのけてぼくのめをみた……「な... 「これはいっぱいまじっちゃっただけさ、きみのほうがずっと... 「きれい?」 「ああ、うでがにほんとびだしてない、とかっていうことだよ... 73 ついておいで、といわれて、ことわるりゆうはもうない。 74 ぼくたちはてをつないでいった。あいかわらずあめはふりそ... 「ていきあつをよぶと、それはもうすくわれたもおなじなんだ... かれからもらったあまがっぱをきた。おおきさもちょうど。... 「すむところもいいところだよ、おにわがあって、さかながお... あまおとにほちょうをあわせる。かわのほうにむかっている... 「しょくじもおいしいよ、あたたかくて、じんとする」 こんなにかわにちかづいたのは、おもいかえすとはじめてだ... 「ぼくたちがこれからすむところ……ぼくがいますんでいるとこ... さくにまきつけていたひもをとりはらって、かれはながいぼ... 「だれもであるいていないね」 「きみかさはもってる?」 「そういや、もってない……」 「ここにはあまぐがないんだよ、ぼくたちがきているこれいが... まちなみは、すこしはなれてみるとまったくちがういんしょ... 75 おおきなはしがみえる。はしのしたはくらくてさむい。こふ... 「すごいや、こんなのあるんだ」 かれはおもそうなとびらを、いっしょうけんめいあける。 76 いりぐちはせまいへやだった。「ここにあまがっぱをかけて... 「ほらこっち、はやく、おふろのしたくはばっちりできてるん... ゆびさすさきにつづくかいだんはしたにのびている。でもさ... 「だいじょうぶ、おはなしのなかのものだとおもえばいいから」 あしをふみいれると、ここちよいすいあつでからだがおさえ... 77 てをつないで、ふらふらのよちよちあるき。せんすいしてい... 「ついたよ」 おおきなろっかっけいのはこだった。きらきらつぶがとじこ... 「どこからひかりがそそいでいるんだろう……」 78 よくしつはこっち、ろっかっけいのそれぞれのめんにとびら... 「あっ、そのまえに、ぼくはぬがないといけないね」「えっ?... はくのはおわったみたい。からだとぼくのあいだに、こんも... 79 かれのげろはまだぼくのなかにのこっていて、ぼくはちょっ... まえのめりになって、げろのうみにもぐる…… 80 おきて、といわれた。 えっ。いつもぼくのしらないところでつきがのぼって、たい... めをあけると、げろのなかでうずめくひかりのすじと、いき... 「やあ。あらためてはじめまして、だね」 こわくなってちいさくなる。「こわがらなくてもいいよ。ぼ... 81 よくしつはひろく、よくそうはとてもおおきい。「みずみた... あたたかい…… あめにぬれてからだがつめたかったことにきづく。「きみ、... みずのながれるおと、しつど、しずくがたれるおと、よくそ... かれはうでやあしをひらいてまっていた。ぼくはすっぽりお... 「わっ」あしからどぷんとしずみこんでねつにつつまれていく... 82 ひだりほお……みぎみみ、ひだりあし、……みぎうで、くろくな... ぜんぶをうけとめようとする ただのみえっぱり、よくばりなんてことば をつかうかちすらない ふかくて、 とてもじゃないけれど いきがつづかない だれにめいれいされたんだ ごめん… なんかやるきがでないんだ ごめん… ぼくってそんなにきのきいたこと いえないからさ ごめん… あんなにたのしそうなこと いっしょにいるのはつらいかな ごめん… きみみたいに、そんなに じょうずにできないや だれにきをつかってる? かわいこちゃんになりたかった それがなにかはよくしらないけど おなかがすいてくちをあけたのに どうしてたべものははいってこないの……? 83 からだのなかをうずめくちいさなむしは、ぼくをくらってお... 84 ゆったりしたちょうしで、かれはうたっていた。みみのなか... 85 まだよくしつにいた。おとがはんきょうして、くうきのなが... 86 「なぜふるえているの?」 「ぼくふるえている……?」 「うん、すごくこまかい。あたまはくらくらしない?」 「なにをみているの」 「ぼく? きみの、たましいかな」 「どんなふうにみえる……すきとおってるのかな」 「まさか」かれはわらった「にごってるし、とってもくさそう... 87 さあっ、もうすっかりおそいしねむろう。ぼくはとたんにこ... となりのかべにつくと、すこしたかいいちに、てつかなにか... 「このさきがねるところだよ」 「とってもせまいんだね」 ひろいところはすき、ときかれたから、あたまをふって、ひ... とびらはおもい。くうきとそうでないところをわけているん... 88 ふわふわしたまくをぬけると、かれがひろがってまっている... 「あ、あ、あつい……」つかむうでのひくひくとしたうごき、け... くらがり あおむけになると、ぼんやりてんじょうにほしやつきのもよ... 「ぼくたちは、ひるまになればあのうっとうしくてじまんした... せなかにぬるいまくがあたる。「ねるとえきがそそがれて、... 「くすりは! ちゃんとあるの……あれがないとさいきんぜんぜ... 「かんたんだよ、ぼくのからだをのめばいい」 ただじっとみつめるしかない。 ぼくにおおいかぶさるかれのはなのいろ…… 89 「きみはぼくのなまえをしっている?」 「しらないよ、そんなこと」 「ぼくのすきなたべものは? きらいなこと、よくすること、... 「しらないって、だってきいたこともないんだもの」 「でもしろうとしなかったじゃないか」「くるこくるこ、こん... かれはじっくりからだをおろしてくる。はじめにあしのつけ... からだにこげついていく、こうばしいにおいがして、まどろ... 90 このまとわりつくかんじは、あるいはふゆのさむいころにふ... ぼくはびちびちせなかをうちつけつづける。いたかったらて... ぜんしんはぴりぴりふるえる。こうするときもちがよくなる... ざまあみろ、といわれた。だれに? うねうねとうごくひかりのわのなかにいて、ふいにからだが... 91 「おはよう、……ちょうしはどう?」 ぼくはひさしぶりにだれかになまえをよばれたようなきがし... 「そんなにおかしかった? でもなんでぬれてるんだろ」 てんじょうはさらさらかがやくれいのおおきなろっかっけい... 「そりゃあぼくらがあのえきたいのなかにいたからだよ」かれ... 「あじはどう?」 「しょっぱいかな……あとはにがい」 「いきものってのは、しょっぱいかにがいかてつくさいか、こ... 92 めざめはこのころではいちばんいい。つかれはない、という... ねっとりした、とけかかったアイスクリーム。ゆめのつまっ... ちゅるちゅるとおとがしてなまなましい。みずとねんまくが... ひきはがされたとき、ぼんやりあいたくちからねんえきをな... いっぺんはくごとにじょうきょうはいっぺん。びくんびくん... 「うあっ!」 ようしゃなくのびるては、のどのおくをこすっていた。そう... 「どうしてもゆうことをきかないこには、もっとおいしいおや... 「あり、あっ。ありがひゅお、あ、ひゅ、う、ございな、ああ... げろのうみにとびこむ。ぼくのための、かってにゆれてくれ... 93 めがさめると、ほんがいっぱいのへやにいて、しっけていて... 「おはよう、ねちゃってた……」てをかくにんすると、いつもど... 「ここはおべんきょうとか、ほんをよんでちしきをつけるため... 「ぼくがおきるのをまってくれていたの」 「……うん、つれていきたいところがあるから」 「うれしいな、なんか、でそうだよ……」 かれはずん、とせまってきて、よこになっているぼくのうえ... なつかしいおんがくがながれる。くるしそうなかおつきにな... 「さ、そとにいくよ。がいしゅつ、だね」 94 「みえる? ねぼすけさん。ここからでよう、とおもっても、... かいだんをのぼっていったさき、たしかにさわるとぶよぶよ... 「ぬけるほうほうはかんたんだよ、ぼくはぬけられる。だから... もうせなかにまわっている! ぼんやりつきだしたにほんの... ふくをぬいでも、いちどまとわりついたきおく、せんざいの... 「きみのあじはもうすっかりおぼえこんでいるよ」 おかねをはらったようにぼくがすきなことばをいつもくれる。 「あとさ……」きりだす「どうしたの?」とぼく「このねんえき... かたをがっしり、ちからづよい。「いたいよ」「がまんして... かすれたこきゅうをすうかいする。あたりにはとびちったし... 「おいおい、しっかりしてよ。ぼくのからだのかわになるんだ... 「くちをかってにうごかさないでよ」 「ほっぺたのぴりぴりしたかんしょくがいいね、たいくつしな... ずがいこつのうえにのったにくは、ひきしまってきんちょう... 95 「かりはね、とてもじゅうようなんだ。このからだをたもつた... 「……そん、なばけものじみたことしてるの……」このむねのいた... 「いまだってきみをえいようにしようとおもったらできないこ... 96 みどりいっぱいのおみせのなかを、かれはずんずんすすんで... どすんとまどぎわにすわる。あかるい。そとはうすいカーテ... 「なかなかよさげだろ、きみもこうやっていつつくらいはきに... うらやましそうに、ぐぐっとあたまがおそらのほうをむいた... かれはちゅうもんをすませると、ほおづえをして、ぼおっと... れいぼうはきちんときいていたけれど、ぼくのしんぞうのな... やってきたおりょうりはいろとりどり。おやさいがどろどろ... 「おいしい? ぼくもまえはすきだったんだ、ひさしぶりにた... 「なんか、こう、ものすごくちかくでしゃべってもらいたかっ... ゆめがかなってよかったじゃない、といわれた、おなじくち... 97 ほらみて、あのこ。あたまのなかのこえだった、こていされ... ぼんやりひらかれたてのひらから、じわっともりあがったひ... 「あの……、ねえ、どろどろにとかしたり、それをのんだりする... 「きみはねむったりしょくじをしたりするときどうおもう、そ... 98 こうかをすうまいおいてかれはたちあがる。「もうもくてき... 「ちょうどばけものじみたことをやってみたくなっていたんだ... 「いいこころがけだね、なにかでいっぱいにしてつねにあふれ... 99 ぼくはうきうきしながら、かれのむかうさきをたのしみにす... 「ずっとまえからめをつけておいたんだ。ちょくせつへやでく... 100 かんじのいいいりぐちだった、かれはべろっとぼくのからだ... 「おちゃをのむひだよ、ぼくけっこうすきだったな」 「ずいぶんまえ……?」 いやらしいしつもんだったみたいで、ちょっとぷんすかして... つんとせなかをおされて、とびらをあける。ぼくは「やあ、... 「ど、どうしよう、ぼくどうしたらいいかわかんない……」 「せなかをさすってあげて、おなかどうしをさすりあわせれば... ぼくはかれのいうとおりにしてみた。あったかなおなかどう... ちいさなかたがぼくのあごのすぐしたにある。やわらかくて... 「このこのたましいはどうなる?」 「こわれるね、もうなんにもかんじない、なんにもかんじない... 「うらやましい、ぼくもはやくそうなりたい……」 「でもちょっといたいとおもう。いきができなくなるし」 「いたいのはやだな……」 ぼくはあのこがのんでいたすっかりさめたのみさしをのみつ... あたまのほうはもうべちゃべちゃでただのまるがあるだけ。... 「すごくきぶんがいいよ、すっきりめがさめたあさみたい」 「なんか、ぼく、みててたのしかったな……」 ちょびっとてをにぎって、あったなかどろどろにさわった。... 101 おきると、くちいっぱいにおかしのあまいあじがしていた。 「あれ、なんかかいぐいしてる」 「いったろ、からだがいるって。かってにきもちよくなってね... むねからはっせられるしんどうが、ゆびさきまでつたわって... 102 かえるとしょくどうにいろんなスープがおいてあった。どれ... ふうん、とかえして、つめたいのどごしをつるんとやった。... 103 おふろにはいるとき、ぜんしんまっしろのけでおおわれてい... 「はあっ、やめて、しずんじゃう……」 「かわいいらしいね、てのひらってかんじ」「ぼくがさいきん... てあしのまわりにはりつき、おへそまわりをつつむねんえき... てをのばして、ぜんぶはきだそう。 104 けっきょくそのままでねむった。たらたらあせがながれて(... 「きょうはにわにいこう。たいくつなんてかんじたらおしまい... てをひいてつれていかれたのは、にわ、とよんでいるところ... ちゅうしんにこだかいおか、あわいいろのそうげんは、みず... 「ほら、さかなをみよう」 おがわにはさかながおよいでいる。いっぴきにひきさんびき... 「かわいいね」 「うん……、なんかかぷかぷしている」 「いいことおしえたげる、みてて」 みずのなかにうでをつっこんで、ねんえきをさかなにあげた... 「これって……」 「ぼくのねんえきをにんげんがたべるときみたちみたいなけも... 「にんげん……ってなに」 「とぼけるな」「いらいらするんだよ、きみみたいなくずをみ... 「しゃべらないで」 めになみだがうかんできた。あたまはつよくうったみたいに... 「きみたちのげろはぼくのえいようになる。ぼくのげろをにん... 「さて、いろいろしゃべったけれど、これだけはいってなかっ... 「えっと」ぶんなぐられる。 「しゃべっちゃだめっていってるだろ、くず」「せいかいはね... 105 ぼくはなにもいうことができない。ずんずんいたむほっぺた... 「ほんとかおいてあるへやはおぼえているだろう、にっきをつ... おさえつけがなくなって、ぼくははしった、たぶん、たいく... 106 まえみた、かれがかきものをしていたのがそれだった。ひょ... ぼくのにっき (ふるえでページがうまくめくれない) ・ がつ にち(くうらんだ) ぼ、ぼくのからだ、ねとねとして、ほねがない! はりあい... ・ばんごう:いち(がつ・にちのところがせんでけされてかわ... そ、そうだよ、ぼくもまねをすればいい、で、でもどうやっ... ・ばんごう:いち、つづき もうだめだ。ろうそくをたくさんたてて、あのねどこをつか... ・ばんごう:いち、つづきのつづき ……はじめて、ねんえきにかえてそれをのんだ。どうしよう、... さいごに、このこのめはみどりいろ。 ・ばんごう:に あっせんじょにてがみをだした。きっちりこんぽうされてい... さいごに、このこのめはえんじいろ。 ・ばんごう:さん たったいっかいでなれてしまっている! ど、どうしよう、... だから、とどいたあと、はさみでゆびのさきを、ほんのちょ... さいごに、このこのめはあいいろ。 ・ばんごう:よん だいぶおちついてきた……わるくない、さいしょからずっとそ... さいごに、このこのめはきいろ。 (「ばんごう:ご」から「ばんごう:はち」まではめのいろの... ・ばんごう:きゅう てがみにへんじがきた。こんなのはじめてだ。あけると、み... ・ばんごう:きゅう、つづき ちょぞうこはとってもおっかない。いしのだいがならんで、... さいごに、そのこのめはとびいろだった…… ・ばんごう:じゅう もちろんてがみはおくりつづけたけれど……もうかんがえるの... からだにはいるかんかくは、ふしぎ。ぬるぬるしていて、す... ・ばんごう:じゅう、つづき あ、あいつがおしえてくれたきっさてんにいく。ここしかし... ・ばんごう:じゅう、つづきのつづき もうよくわからなかったから、おみせのなかをみまわした。... いっしょにたちあがる。たぶんトイレだ。ぼくもついていく... ・ばんごう:じゅう、つづきの…… たのしい、とおもったのはこれがはじめてだった。おなかが... ぼくはぷるぷるふるえている、てはあせでぐっしょりして、... ・ばんごう:じゅういち かりはたのしい、ちょぞうこのからだをそとでしょぶんして... ・ばんごう:じゅういち、つづき あっせんじょへのてがみも、ないようをかえてみた。こっち... ・ばんごう:じゅういち:つづきのつづき ばあ、とおどけてみると、とってもくるってるみたいだった... はじめにくちをふさいで、てあしにはりつく。もううごけな... さいごに、このこのめはむらさき。 ・ばんごう:じゅうに なかなかぼくもいいかんがえをしたとおもう。ゆかいちめん... さいごに、このこのめはだいだいいろ。 ぼくはにっきのいちばんあたらしいところをみた。しおりが... ・ばんごう:にひゃくろくじゅう ついにきた。 ・ばんごう:にひゃくろくじゅう、つづき にわに、いつもはれているちかのにわに、あめがふった。あ... ・ばんごう:にひゃくろくじゅう…… うわついて、からだはかるい。とてもきぶんがいい。ねんえ... あのおばかちゃんは、からだがはんぶんくろくなってうずく... ・ばんごう:にひゃくろくじゅう…… なかなかかわいいね、ぼくも、「こどもはなんにんほしい?... ・ばんごう:にひゃくろくじゅう…… つれかえっていろいろなことをおしえる。やっぱりからだの... ・ばんごう:にひゃくろくじゅう…… なにかをおしえられたり、なにかをされたり、よろこばされ... ・ばんごう:にひゃくろくじゅう…… こんにちは、 おつかれさま、のほうがいいかな よくここまできたね さあ、うしろをみてごらん きみは えいえんにしあわせだ ぼくは、 きみのことがだいすきでしかたがないんだよ ぼくは、 ふ り か え っ て …… 107 「やあ、こんにちは、きぶんはどう」のびたかれのりょうてあ... 「うそつけ」 にやりとわらって、 「ざまあみろ」といった。 ぽちゃんとあたまをしずめた。はもんもできず、かれのから... 108 ぼくはへんかについていけない。あるこうとしたらあたまか... しょ、しょくどうにいこう。ここにいたくない。でもどこか... しょくどうはだだっぴろい。いすがたくさんあって、つくえ... よかった、これをよんでるってことは、ぼくはうまくにげき... にくまないでくれよ、ぼくもおんなじきもちだったんだから きみはしょしんしゃでいっぱいこまるだろうから、しんせつ... つづくにまいめからよんまいめはいっしゅうかんのよていひ... そしてごまいめ、ちいさなカードに、「ろっかっけいのへや... へやにはいってすぐきづいた、よこたわってる! からだ!... めのいろはあお、こんなすきとおったかがやきなんて……きっ... ちょ、ちょうどおなかがすいてるんだ。いっぽいっぽちかよ... こわがらないで、おともだちだよ。やさしくこえをだした、... 終了行: [[活動/霧雨]] **わらわら低気圧〈かいばん〉 [#j2cd307f] あゆかわつくる おぼれる 魂 が ふ る え る 1 ぼくの想い出すことのできるもっとも鮮やかでもっともふる... 2 ずっと気持ちが悪くて、たぶんここさいきんの寝ぶそくのせ... 3 もういっぽん飲もうと思った。なんでかはわからない。冷蔵... こんこんとさらさらしてなめらかなうつしいげろはとめどな... だからこそ、みぎうでだけが空気にふれていたとき、てを伸... 4 どうしてそんなことをしたのか分からないことばかりを想い... 5 めが覚めると、だれかがいたから、ぼくは「ぼくはすっかり... めを二回こすると、ぼやけていたりんかくが、たしょう、は... 「わたしはじめて見たの、来たばっかりの仔。毛並みがちがう... 「きみのはとび色だね、そんなに重要なことなの」 「そのうちくすんでくるのよ」 ふうん、とながして、かのじょの血管のかよったみみをみて... 「ぼく、木に刺さっていたの」 かのじょはなんにもいわないでぼくのお腹のほうをゆびさし... 「おねがい、ちょっとやめてよ」 「どうして、後悔のないしきさいゆたかな生活だと思うけれど」 「なんだか吐きそう……」 「正常な反応ね、からだに入ってきた分量とおなじだけ、出し... かのじょはガラス瓶を押しやった。向こうのけしきが二じゅ... きれいかな、と聞くと、そうねといった。ぼくは恥ずかしく... ぼくはまた「あっ」といってしまって、ほおの裏をかんだ。... はじめだし、これくらいにしておきましょうと言って、うで... 「ねえ、ちょっとなめてもいい」とたずねたら、きずをふさい... 6 湿気があってぬくい。ぼくはなにも着ていなかった、あとで... 「これから先はなにをするの」 「きょうは水曜日だから水曜日にすることをするのよ」 ふうんときき流した。かのじょにもたれかかったら、やわら... 「あ……、」 かのじょの鋭いつめが、へその周りをぐるぐるさそう。だめ... 「だめっ、きもちいいから」 砂糖のおかしみたいな言葉だ……。息をするのがたのしくて、... 「ふつうはいっかい吐いたらお終いなのにね、あなたすごいわ」 ぼくのだしたふよふよでしばらく遊んだ。石鹸まみれになっ... 「このせっけん良い匂いがするよ」 「買ってきた実を搾って入れているの」 洗ってもらった後は、かのじょのからだを洗った。ものすご... すっかりびしょ濡れになってしまって、乾かすためのお部屋... 7 乾くまでどのくらいたっただろう。水ようにすることは、し... お外にでるにも服がないから、かのじょの着るものをかりる... てんき予報ははれで、からっとしていた。ひざしはくっきり... 「ぜんぶ屋根があるの」通りをおおう、細いながいまくをゆび... 「だいたいわね、ちょっとひらけたところにはないけど、あと... あたりまえだけれど、歩いているひとはみんなぼくらとおな... 柱のさきにはお店のかんばんや、たてものの名前が書いてあ... 8 わされた地図の、黒くぬってあるところにあるらしい。はじ... 道のりはしあわせなことに、どれもめだった形をしていた。... 9 外階段がのびていて、道路のやねからつきだしている。二階... 銀色のとってはつめたく、にぎったところにしろいもやがつ... 「ふふ、やっぱりおんなじなんですね」 「はじめての仔はみんなそう言いますよ」 ぼくを呼んでくれたのは、まんまるいめがねをしているひと... 「あっせん所では、どうやってくらしていけばいいのかを教え... 「ぼ、ぼくはなんにもできないから、たぶんすぐ凍えてしまう... そうくちにだしてみると、むねのあたりの、硬いほねの芯の... あの、吐きそうなんですけれど、なにか持ってないですか、... 「ごめんなさい、すっかり収まりました」「なにかとうろくを... ほほえみがあって、ぼくのまえに紙がぺらんと出された。「... ゴムをあたまのうしろで結んで固定すると、紙に書いてある... 「登録はこれで終いですよ、あとは帰りにほんやによったらど... 10 ほんやは、河を渡ったところにあった。橋がたかいところに... 文字なんてわからないのにとぶつくさしながら、ちょっとだ... 「こんにちは」 振り向くとほんやのひとがいた。すっと静かに、のっそりや... 「ほんは一冊くらいもっておいたほうがいいね、いつ呼ばれて... 背表紙やひらたく積まれた紙のかずかずは、どれもよむこと... 「ちゃんとはたきで掃除しているからね」ゆびさきを注意ぶか... 「ぼくまったくよむことができないです」 「大丈夫だよ、そのためにめがねがあるんだから」 かれはがらもののむなポケットからめがねをとりだして、ガ... 「なかなか似合っているとおもうよ、さ、読んでみて」 ざらざらしてかびくさいほんを手に持って、「これ、『ほん... 「いまはそんなにとんちんかんな文章にみえるけれど、とこと... 「どうしよう、ぼくお金なんてもってないんです」 かれはそんなこと、といって、暑いからつめたいお茶をだす... いくつかくらがりを通り過ぎてきたりょうめには、すこしぶ... のどおくがしっとり冷えていく。吐いた息も、すこし凍って... 代わりといってはなんなんだけど、かれが出したのはいちま... 「ぼくたちって、くちのあたりがすごくびんかんらしいよ」 むもむもと、ぼくのくちのなかにゆびが二本、三本としん入... 「歓待ってすてきでしょ、ぼくもめが鮮やかなときがあったん... ああ、うでがうしろで太いひもで固定された、あしもいすに... 「からだはかたいひふで覆われているから、なかにいっぱいも... ちゃんとびんにつめておくからあんしんして、とやさしくぼ... 「いまからきみの体内に、縫いぐるみの詰め物なんかにつかう... 抜けないように、ほそいあなからいれるんだ、ひふがぴりぴ... 「っん、あ……」 管をとおってぼくのげろが吸われていく。めのおくが痛くな... げほげほとなみうつからだのせいで、ゆびさきがしびれてど... 「ぐっ、うはぁ」くちのなかでとびちったげろがはなの穴には... 11 ねむっていたのはすう分だったらしい。かれはぼくがだした... でいりぐちまでくると、もう太陽はしずんで、そらはうつく... 12 しびれ堂のお菓子というのは、食べたらからだがしびれて動... ぎゃく三角形のこまかいかざりつけの箱をつくえの上におい... 「どうしよう、もうすぐ夜だ」 「つまらなかったの」 「そういうことじゃないんだけれど」両手をもみほぐす。もっ... 「ぼく眠れるかどうかわからないんだ」 かのじょはそんなこと、と笑って「お菓子をたべたらいいの... 着がえるように言われたからそうすることにした。一まいの... 「こういうとき」というのがどういうときかはわからないけ... 「好きに使っていいわよ」 「ぼくひとりで寝るの」 「はじめの夜はそうだってきまってるのよ」 お皿のうえにのったしかくいお菓子を運んできて、おやすみ... ねころがって、むねのうえに両手をおいている。けもくじゃ... 13 めが覚めると、からだじゅうにべっとりとげろがついていて... 「きのうはよくねむれたかしら」 かのじょはぼくのとなりで立っていて、でもやっぱりげろがい... べろのしたにも少したまっていたので、のみこんだが、ただ... 「かわいい歯形ね、わたしよりもちいさいわ」 いちばんくちのすぐ下がひどい、どばっとおうぎ形に吐いた... 「おふろに入りたいな、ぼく」 「きのうの夜から沸かしたまんまよ、これも決まっていること... 14 浴室には、あったかいお湯がはってあった。ゆげがいっぱい... 「うへぇ、毛がごわごわしてる……」 「ちゃんと洗剤であらわないとね、けだまになるわ」 ぼくはされるがまま。やわらかい肉がひふにつつまれて、ぼ... 「あなたのからだずいぶん柔らかいのね」 「食べもののせいじゃないかな、かたい食べものってあんまり... 「こころの問題かしらね」 かのじょがとつぜんぼくの乳首をつかんだものだから、「ふ... 「あたまの問題かもしれないわね」 みずのしたたるいい音がする。天井からおちたみずたまが、... 「きょうは、なにかすることは決まっているの」 もたれかかると、すっぽりうでのあいだにおさまった。「き... 「こん晩はよるあそびの日ね、あなたも銅貨くらい持っていた... 15 はじめて行ったときはぜんぜんきがつかなかったけれど、ま... ぼくはもってくるようにいわれていた小びんのつるつるした... 「いきていくためにお金はひつようでしょう、あっせん所で吐... かんよう植物のてらてらした葉っぱをさわっていたら、すぐ... かのじょははじめて来た仔は品質がよくわからないから安い... 16 よるあそびは、河をわたってすこしうらろじに入ったところ... かのじょがとびらをあけた。すうっとおうぎ形にひろがる灯... こづかれてびくんとする。やっとあしにかんかくがもどって... 「くじびきでえらぶの、だれがあれをするか」ゆびしたさきで... 「ねえ、これってなにかわかる?」 ゆびで付けたりはなしたりすると、ねばついてほそい糸にま... 「わたし決めたわ、耳の先を切ってもらいましょう」「次にあ... 「いやだ、ぼくきみといっしょに眠っていたいよ……、とっても... ぼくはぺたんと座り込んで、かれの下にたまったぶよぶよを... 「みんな帰って行くよ、どうして」 「わたしたちが最後なんだから、あたりまえのことね」 「決まっていることなの」 「そうよ」 かのじょは階段をかけていって、はさみでかれの耳を人さし... 「うげっ……ぶしゅっ、ああっ」 ああ、ぼくももう上にいって、ましょうめんからみたいとお... 「ぼくもやっていいの」 いじきたないな、とおもったけれど、がんばってのみこんで... 「あ……」 なだらかなあたたかさで、かれは小便をもらしていた。ぼく... 17 ぼくは、かのじょがぼくにくれたぼくの部屋にいた。かれも... 「いま何時だろ」 「まだ夜だね、そんなに時間は経ってないとおもうよ」 ぼくはふうんと答えて、「傷がすっかりなおってるや」 「そのためにちりょう班がいるからね」 かれのむねのあたりをさすった、やわらかい毛はすとんと倒... 「きみもたいへんだったね、安いのはしにそうなことしかでき... ねっころがって天井のもようを見ていたら、かれがひょいっ... 「きみのしんぞうの音を聞かせてよ」 「ふくの上からでも聞こえないかな」 「あたたかい方がすきなんだ」 うえのふくを脱いで、下着もとった、べつに毛でおおわれて... 「どうかな、くさくない?」きのうおふろに入っていなかった... 「全然、いいにおいだよ、きみのからだいいな、ぼくすきだよ」 「なにか聞こえる?」いいにおいというのは、けっきょくどう... 「血が流れる音がする」 かれがふれていると、とてもぬくくて、太陽がなくさむい夜... 「ぼくさみしいんだ、べつにすむところが決まるまでは、きみ... かおをあげて、もぞもぞ上ってくる、「くすぐったいよ」か... 「きみあったかいな……」 「ふわふわしてるよ」と、ぼくの言ったことばは、うかれた熱... 「まずは夜にたいしてどうにかしないとね」「むかし話しとか... かれはふかく息をすってから、こっちに来たばっかりのころ... 18 ぼくはちりょう班に拾われたけれど、かれはくすり班に拾わ... 「たてものはわざと古くさくつくってあるんだよ、なかはとっ... ぼくはふーんといった。かれはぼくの上からよこに移動して... 「だからいろんなくすりを貰ったんだよ、あぶなっかしいやつ... 19 みせてくれたのは、小びんにはいった透きとおったうすみど... 「それで、これはなにができるの?」 「石みたいになるんだ、かんがえも息もぜんぶ止まる」 「ぐっすりと?」 「あれこれしんぱいするよりもためしたほうが早いよ」 灯りがいくつもあったから、ぼくたちのかげは何じゅうにも... くすりはさらさらしていて、のどのひっかかりはとことわに... 「あとは寝てればいいの」 「五時間くらいは効くとおもうよ、調整したから」「はじめは... 「どうしよう、のどの奥から、ずっと体内のほうまで、ふくら... 「ゆっくり息をすって、まわりの空気をかんじるんだ、水は見... 「きみは水そうのなかにいるんだとおもえばいい。いまぼくた... 「こ、こうかな」 灯りはゆらいで、からだがねじって消えてしまう、みみに水... 「上手だとおもうよ、ふかいところまできたね」ちょっとだま... とくべつな言葉ではなしているんだろうか、ほしくずをにつ... めはあけない、ありふれた天井、ごつごつした灯りが入って... 20 「起きた?」 ぱっちりめをあけて、心ぞうからゆびさきやあしの方まで血... 「めをとじてあけたらあさってかんじなんだね……」 「そうじゃないとくすりとは言えないからね」 「のどがすぅすぅするな」 からだをむりに使っていたから、あのくすりを飲んだつぎの... 「なかなかきもちいいね」ぼくはへんに素直なきもちになって... いっぱいの赤いろをした肉が、なめらかにうずく。なだらか... 21 とだなの引き出しから茶色いあめの板をとりだしてきて、は... 22 食べ終わると、「かのじょなんて忘れてさ、ぼくんとこに来... 「なにかひとこといったほうがいいんじゃないの」と心配して... 「ぜったいぼくの方がきみが必要だとおもう」「それに心配な... 23 早いほうがいいよ、注射だってそうだろ、うん……、窓はあい... でもぼく、どっちかというと注射すきかな、入れられた液が... 「きみんちはどこにあるの、河のちかく? 涼しい良い風は入... そりゃもう、と腕をおおきく振って「ちいさい三つの部屋な... 通りの屋根をみながら、てをつないで歩く。ほはばは息のな... 「みて、二階にいっぱいうえきばちがおいてある……」 「たぶん薬草とかじゃないかなあ」 やねのないところでは雲をみながらあるいた。ときたまどっ... 「あっ……まっかだ……」 「どんな気持ち?」 ぼくはちゃんとかんがえてから「水に溶けるってこんなかん... 「えへへ、ぼくもそう思う」「舐めたげるね」 かれが口からじゅくした桃色のながいべろをすっとひろうし... 「うっ、うう」 「ちからかげんはどう? もっと深い方がいいかい」 あたたかな肉体がべったりあたって、にごった赤いろとてら... 「しおからいや」「ちりょう班のようにはいかないけど、ばい... かれがひざをすりむいたら「ほら」っとずいっときずぐちを... 「ほんとだ、ちょうどしょっぱくていいね」つばでねってのみ... 24 このたてものの三階にあるんだよ、と上をみたけど、通りに... 階段をのぼる。おどりばのかべのおくまったところに黄色い... あんないされたのは、くもりガラスのはまったとびら「さあ... 「まずはおふろにはいろうよ、すなつぶとかくずとかが、みえ... 浴室につれていかれて、はながらのタイルをなぞった。 25 じゃぐちをひねるとお湯がでた。暗いままがすきらしく、よ... 「なんだかいまのきみはあやしいね」と言われたから、「きみ... 「さっ、」じゃぐちのまわす音は汚くあどけないさえずりみた... さわって、ここをね、とかれは、ふるえる手でぼくをつかん... からだを洗うのもいっしょだった、浴槽からでて、せっけん... 「きみは青いろのめか、新鮮そう」 「ぼく、きみみたいに黄いろのめの仔は、はじめてみたなあ」... 26 浴室の空調をかえて、けがわがかわくまですわって待つ。そ... 「ぼくはね、不安なんだよ、夜になったらくすりを使うけれど... かれのこえはぶるぶるふるえて、ちいさかった。あいたくち... 「ここでずっとくらしていると、よばれることは知ってる?」 「なにかおしごとがもらえるんでしょ」 「そうなったらおしまいだよ、ずっとしばりつけられる。ぼく... それからぼくのほうにたおれてきて、はじめてひざまくらし... 27 寝室は、まんなかにねるところがあって(ぬのとかがいっぱ... 「そこに寝ていて」 ぼくはねっころがった、まわりのぬのやわたが、ずずっとせ... 「いままで、ひとりでくらすようになってから、いろんなとこ... 注射するまえに消毒をするように、かれはぺろっとうでのう... 「いたい、いたいよ」 かれがかんだところから離れて、てでおさえた。どくどくい... 「ごめんね、でもきぶんはよかったでしょ」 ほうたいをまきながらかれはいった。「べつに病気なんても... 28 日がくれるまで、ぼくたちはよこになって、となりどうし、... 29 「たのしいね」といいあったころは遠く、つめたく、おもい... 「ぼくやこうせいになんてなれないよ、でも、日のひかりにあ... 「まったきやみだよ、くわれておいしいえさになっちゃうんだ」 ぼくたちのどっちがいったのかよくわからない、ぴっちりだ... 「ねえ、きもちいい、いまものすごく気持ちいいね」 ぼくは「うん、うん」といっぱいうなずいた、かれはぼくの... 「ぼくたち、ほんのあかちゃんだよ、まだお乳がいるんだ、で... 「はなみずをこうかんしない……」 「ふんってするね」灯りはぬののぬいめからもれて、まるいせ... はなのあなをかたっぽだけてでおさえて、いきをふくと、な... 「うわっ!」どこかで鳥がぎゃあっと啼いた。ぼくはこわくな... 「わかった、とっておきのくすりを取ってこよう。いっしょに... 「うん……」かれのお腹のはしをぎゅっとにぎる。 30 かぶっていたぬのをばさっととると、細かいいとくずがまっ... 31 くすり棚は、ぼくふたつぶんくらいある、とびらつきの、上... 「おおきいね、もらったの」 「ううん、ここにもともとあったんだ」 かれが棚のとびらをあけるうごきはしぜんだ。古めかしい木... 「なんのくすりなの」 だまってこっちをむいて、あたまのうごきのせいで、かれの... 「のんだ仔どうしの、からだをまぜるくすりなんだ」 32 しゅじゅつ台のうえに、ぼくはのったことがない。 「あしはこう、てはこう、わらってるほうがいいんじゃないか... せなかをぴったりつけることを考えたら、あんがいぼくのか... ますいやくすりで、ぼくはねむったことはない。 「ぼくは、うわついたきみのめを、ちらっとみるのがすきだか... いつもほかのひとばかりで、ぼくはしんだことがない。 「ずっとかくして持ってたんだ、ほんとうはきんしされてて、... 「おくちをあければいい?」「うん……。ああ! きみのよだれ... いまのぼくのこえは、水中ではっしたあぶくのようで、うま... 「さあ」おもおもしい。きたいとか、心ぞうにいく血のりょう... くちのなかに、にがい味がひろがる。よだれとまざってとろ... 「うへえ。にがいや」 「ほんとだ」「ぼくもはじめてだから。だいたいはあまいとか... かれはぼくのうえにまたがっていた。あしのつけねのあたり... 「ちゃんとのんだ?」 うんとこたえるかわりの、べえっとしたを出す。むねにかお... 「こんなのにであったことないってくらいかな、こういうふく... まどから風がはいって、月光はいくつものすじになっていた... 「すごい!」 そのあいだにもずぶずぶはいってくる。「このあたりかな」... 「やめて、あ……、」うみにうちよせる波の気持ち、はらっぱを... からだはねばねばしたものでできた すいそう 大気にふれると くさる くさって きもちわるいみためになって (たくさんの小さな円や ちぎった紙のだんめんみたいな) とける ひふはうすい皮のようなもの かたくて、うちに海をたたえている でも広くないし くらくもない かといってあかるくもないし あたたかくもない 熱のないねんえきのあつまり (うわずったこえなんて出して しあわせそう? うそつけ……だまされないぞ……) おもいねんえきは、 しぜんに底にしずんでいこうとするのに、 まとめあげるたましいは、 これをゆるさない おもいねんえきは、 おぼれてしまおうとするのに、 まとめあげるたましいは、 これをみとめない たくさんのいのりをして ようやくたましいのなかにねんえきをながしこみ えきたいのいきものになる (なるまでは、おきているときはおぼれて ねているときをながくする) えきたいのいきものは 大気なんてすてて たましいをとかして ねんえきののぞみどおり (つまりぼくのねがい・ぼくのゆめ) お ぼ れる …… 底で いたみなく たましいを こわす ……さいごにふるえて…… されど そ こ に は なに も ない だって かんじるものがいないんだもん い い ね 、 そ れ ぼくにみえたけしきは、いちばんすきな(ちょっとからだに... 33 ねえ! ふまんそうなかれのむすっとしたしめった声で、ぼ... 「ご、ごめん」「なんか、とめられなくて……」 「ぼくを置いてかないでよ……」「しんぱいしたんだから。きみ... 「じっさいきぶんもものすごく良かった、だいじなことをしっ... あしはぜんぶ混ざったようだった。「いっぽんのあしからぼ... 「きしょくわるいね」とぼく。 「きみが置いてきぼりにしているあいだ、とめておくの大変だ... さあ、とひと呼吸おいて、かれはぼくへのせん水をはじめた... 34 きこえる……? うん……聞こえるけれど よかった、うまくきみのなかにはいれたよ うへっ、ちょっときもちわるいや あっ、いまのきみのかんじょうのうねりが、ぶわっとぼくの... かんかくをわけあってる……? うん つながっている? そうだね きみはからだをうごかせるの ほら (みぎうでが持ち上がって、ぼくのちくびのまわりをなでる) す、すごいや! へんにこうふんしないでよ、 歩いてみてもいい? ごじゆうにどうぞ (ぼくはすうほあるいてみた。そのたびにびくびくして、むね... (かおのきんにくがたくさんうごく。あつくなってぱっとする... かがみをみようよ いいね、それ (ぼくの部屋ではないのに、かがみのばしょがわかった。つな... (ゆかにこぼしたぶんを、じっとながめる) においかいでもいい? なまもののにおいがするな…… さわろうよ (さわってみた、さわってみたのはぼくなんだろうか、かれな... いいさわり心地だ…… (てのうえにのせてみる) と、ともだちがいっしょだと、 いろんなことができるよね たとえば おおごえをだすだとか たとえば やりたいほうだいできるとか つめたい部屋にはいっても ぼく(たち)があたたければもんだいない いたいけがをしちゃっても ぼく(たち)できずをなめればもんだいない ふあんなときはそうだんするし くらいときにはこづきあう (じぶんのからだだけど) (じぶんのからだじゃない!) ぽつねんと なんてしら なくてもい いようにな る ひとり な んてしらな くてもいい ようになる みんなせいいっぱいやろうとしてる じかんのむだ を ぼく(たちで)がかいけつしちゃった ……これで ひるまは ぼく( )のおもい どおり (35) ゆめみごごちの、ぼくのことば・こころ・きもちは、とじこ... 36 かがみのまえに立った。つるつるしていて、みえるものすべ... 「めをみて……」 「ほんとだ」かってにくちがうごいてこえをだすかんかくは、... ぼくたちのめは、みぎと左でちがういろになっていた。ぼく... 「ねえ、そとにでてみたい」 「きっさ店はたくさんあるよ」 「うん……たのしみ」 「ふくを着ないと」 「めはめだっちゃうからあのめがねでもしていこう」 ふくは、かれがもっていたのをきた。「いいの? きみのじ... 37 しっけがある。しめっていて、ぼくたちのけがわにはりつく... 「だれもいないね……」 「でもね、よるせんようのおみせっていうのもあるんだよ」「... ぼくはうれしくなって、そうだよとどろどろになって、かれ... めがねのいちをちょうせつしたら、またつねられた。つぎや... 38 きっさ店からもれだした灯りで、あたりはにじんでいた。ち... めがねをしているせいで、かいてあるもじはゆがんでいて、... 39 のみものはすいてきがあるせいで、なかみはよくわからない... ほかにはちゃいろい液。まずそう……。「これをかけるの」「... おさらには、ちょっとみどりで葉っぱのもようがかいてあっ... 「ひとばんじゅう、ひかりをあびて、けんこうにわるくないの... てがうごいて、食器をつかみ、ふるふるした、だらしなくか... ふたくちめ。「からだがどんどんひえていくよ」「まだたく... さんくちめ。ぶるぶるふるえてきた。だからぼくはおぼれる... 40 ぼくがおぼれると、かれがいた。 「やあ、きぶんはどう」 ぼくはすりよっていく。 「ひふがぴりぴりしていてかゆい」「こころはつながっている... 「まだ弱いんだよ、からだどうしをむすびつけただけだね。た... けろっとして「はなみずでもふきなよ」 「べつにたれてないよ」 「からかっただけさ」 ねころんで、せなかにぴったりはりついてもらう。 「さむいのはきらい?」 「とてもきらい……きらいということをいうだけでも、おそろし... 「こころがびんかんになっているんだよ。いまのきみはおぼれ... 「からだがかたくなって、ぽろぽろくずれそう」「ちょっとし... 41 かれはまだあのよくわからない料理をたべつづけていた。か... 42 きがつくとぼくはくびをしめられていた。かれのわらったか... すこしずつちからがつよまって、血がながれにくくなり、ぴ... どうして…… きもちいいだろ それはそうだけれど、でも でも? でもなんなの、いってごらん ぼくはおろおろしていた、そのあいだにもあつはたかまって... きみにかんかくをおしつけているんだ。 どういうこと……(またほおがぴりぴりしてきた、ちいさなみ... きみは どうしてじぶんが って おもったことは いちどもな... えっ、というぼくのこえは、すぐにうめきでうわがき。まっ... ぼくはかいほうされたいんだ。しばりつけられるなんてもっ... してんがかわって、ぼくはかれをみおろす。かれのくびをし... いやだ! やめてよ。せきこんでみずっぽい。のどおくがか... ぼくはぼく自身でぼくをくるしめていることになるが、ての... ほんとうにたまたま、ぼくたちのちからでどうにかなったわ... よるになって ひとりぽつねんと じっとうずくまって きょうをふりかえって きょうふにしびれて なきそうになっているの? あほうのすることだね わらえないじょうだんだ さんざんおぼれたあとに まだみずにつかろうとする ひるまのぶんで すっかりかわききってすかすか さすってもでない だってないんだもん わんわんないていまなんじ がんばってねむろうとするけど りきんでしぼりだされるのは あとあじのわるいふるいおもいで られつ……くさり……つながり…… こうかくがさがる ぼくはなにもしてないよ? たましいをもてあます あそびになんてむいてない (あそびかたとか、しらないし) おめめぱっちり しかいはすんでいる ひるねばっかりしている おくすりをのもう (それとも、あたまをぶんなぐる? ぐわんとやって、ちぎれたきおく) ……さいこうだ のんで、きえて、たおれて、ばいばい それともはなのあなからなにかいれてみる? つついてみる? とにかくねむることができたらいい たましいはしんだふりをしてくれる ……そうしたら、よるまもぼくのおもい どおり (になる んだよね?) 43 「きがついた?」「そのままめざめなかったらよかったのにね... かがみのまえにいすを置いて、うきうきはなしがはずんでい... 「こらこら、きみはうごいちゃいけないよ」「なんならしばろ... かがみのぼくたちがわらった、かがみのなかのめに、しせん... 「ほら、みて、さらさらとした、ぼくたちへの、おいわいのお... びんづめの、くすりをさらさらふちにそわせる。なみなみと... 「あーん」なんと言おうとぼくにどうこうできるちからはない。 (44) ぼくは、どうだっけ。なにをねがって、どんなゆめをもって... 45 のどおくを、ねんまくのすいぶんをすいながらくすりはすす... 46 めをとじて、くらいひょうじょうはしていない、ぬけがら。... たましいのぬけたからだはつめたい。ぼくがあたたかいから... (47) またはきそうになる。ずんずんたかまるあつりょくに、こえ... 48 よくわからないけれど、たぶん、このへやはこれからぼくが... わたのまんなかにおくと、くべつがつかなくなった。ぼくも... 「ねえ、ぼくたち、ずっ…… いいおわるまえに、はきたくなってしまってどうしようもな... すうてきこぼしたけれど、うまくそそぐことができたとおも... 49 「おはよう」おきるとまず、こえをかける。そこから、あさ... 50 たましいのある、ひるまは、じごくのように、おもたくてつ... そんなのいやだ! だからたましいをわすれるように、なに... からだのうえにのっかって、ぼくのからだをうちつける。か... つぎはからだをうえにして、ぼくがしたになる。おもいから... (51) ほんとうにそんなことあるんだという……、ぜんぶおはなしだ... (52) ぜんぶあたまのなかのできごとだからよかったんだ、けっき... (53) うらやましい。くすりを、くすりがほしい。 (54) ぼくのたましいなんて…… 55 「おやすみ」くすりがきくまでのあいだの、ほんのすこしの... 56 めがさめると、チャックをあけて、とけたものみたいにだら... (57) こころはむしばまれていく。ぜんぜんきもちよくない、ぼろ... (58) たすけて…… 59 からだをみた。からだのよこにねころんだ。からだがみてい... 60 やっととまった。 くちをはなすと、あふれたげろがとびちってぼくのけがわを... (61) でぐちはどこなんだろう…… 62 からだをさすっていた、いつものように。ゆいいつのつなが... (63) そうなんだ、めんどうくさいんだ。 64 ぼくははじめてからだのまぶたをあけてみる。どうしていま... まぶたをあけると、まっしろなしろめと……だとおもっていた... あっ、みみが……さんかくのみみが、まるがたにかわっていく... からだのへんかはとまらない。くちもとから、だらだらとぼ... 「ね、ねえ、こっちにこないでよ、ぼくわるさなんてしてない... からだをゆっくりうすくつつみはじめ、ぼくのほうにむかっ... 65 げろのまくがわれたなかからでてきたのは、ばけものとしか... さんかいのまどから、かわやたてものせんようのにわをみた... ぼくはろうかにでた。かがみをみたくないから。うごくもの... まだいっかいならどうにかなるかもしれない。かいだんをお... いっかいのまどは、こだちのせいでいくぶんかくらくなって... 66 くらべて 、 ぼくは 67 ぼくはへやにいた。ほかにもたくさんのほかのこがいて、あ... 68 あのこは、おうたがうまいね。あのこはじがじょうず、それ... 69 きづいてしまって、 いみなんてなかったんだなあって おもって 70 あめがふりはじめた。はなのあたま、みみのうしろ。じめん... 71 ざあざあぶりのあまつぶはいたい。みずをすったけがわはお... もういちど。 「おめでとう」 さんかいめでようやくこえのほうをむいた。くびはこりかた... 「おめでとう」 「なにがおめでとう、なの」ちょっといらいらしていた。 「きみはよんだんだ、わらわらていきあつを」 72 みるとあおぞらからちょくせつあまつぶがふってきている。... 「ぼくはね、むかえにきたんだ。きみを」「よんだ、きみをね」 「でもぼくなにもしていない……」ほろっとつぶやいたのはそん... やさしいてつきで、じっとてをのけてぼくのめをみた……「な... 「これはいっぱいまじっちゃっただけさ、きみのほうがずっと... 「きれい?」 「ああ、うでがにほんとびだしてない、とかっていうことだよ... 73 ついておいで、といわれて、ことわるりゆうはもうない。 74 ぼくたちはてをつないでいった。あいかわらずあめはふりそ... 「ていきあつをよぶと、それはもうすくわれたもおなじなんだ... かれからもらったあまがっぱをきた。おおきさもちょうど。... 「すむところもいいところだよ、おにわがあって、さかながお... あまおとにほちょうをあわせる。かわのほうにむかっている... 「しょくじもおいしいよ、あたたかくて、じんとする」 こんなにかわにちかづいたのは、おもいかえすとはじめてだ... 「ぼくたちがこれからすむところ……ぼくがいますんでいるとこ... さくにまきつけていたひもをとりはらって、かれはながいぼ... 「だれもであるいていないね」 「きみかさはもってる?」 「そういや、もってない……」 「ここにはあまぐがないんだよ、ぼくたちがきているこれいが... まちなみは、すこしはなれてみるとまったくちがういんしょ... 75 おおきなはしがみえる。はしのしたはくらくてさむい。こふ... 「すごいや、こんなのあるんだ」 かれはおもそうなとびらを、いっしょうけんめいあける。 76 いりぐちはせまいへやだった。「ここにあまがっぱをかけて... 「ほらこっち、はやく、おふろのしたくはばっちりできてるん... ゆびさすさきにつづくかいだんはしたにのびている。でもさ... 「だいじょうぶ、おはなしのなかのものだとおもえばいいから」 あしをふみいれると、ここちよいすいあつでからだがおさえ... 77 てをつないで、ふらふらのよちよちあるき。せんすいしてい... 「ついたよ」 おおきなろっかっけいのはこだった。きらきらつぶがとじこ... 「どこからひかりがそそいでいるんだろう……」 78 よくしつはこっち、ろっかっけいのそれぞれのめんにとびら... 「あっ、そのまえに、ぼくはぬがないといけないね」「えっ?... はくのはおわったみたい。からだとぼくのあいだに、こんも... 79 かれのげろはまだぼくのなかにのこっていて、ぼくはちょっ... まえのめりになって、げろのうみにもぐる…… 80 おきて、といわれた。 えっ。いつもぼくのしらないところでつきがのぼって、たい... めをあけると、げろのなかでうずめくひかりのすじと、いき... 「やあ。あらためてはじめまして、だね」 こわくなってちいさくなる。「こわがらなくてもいいよ。ぼ... 81 よくしつはひろく、よくそうはとてもおおきい。「みずみた... あたたかい…… あめにぬれてからだがつめたかったことにきづく。「きみ、... みずのながれるおと、しつど、しずくがたれるおと、よくそ... かれはうでやあしをひらいてまっていた。ぼくはすっぽりお... 「わっ」あしからどぷんとしずみこんでねつにつつまれていく... 82 ひだりほお……みぎみみ、ひだりあし、……みぎうで、くろくな... ぜんぶをうけとめようとする ただのみえっぱり、よくばりなんてことば をつかうかちすらない ふかくて、 とてもじゃないけれど いきがつづかない だれにめいれいされたんだ ごめん… なんかやるきがでないんだ ごめん… ぼくってそんなにきのきいたこと いえないからさ ごめん… あんなにたのしそうなこと いっしょにいるのはつらいかな ごめん… きみみたいに、そんなに じょうずにできないや だれにきをつかってる? かわいこちゃんになりたかった それがなにかはよくしらないけど おなかがすいてくちをあけたのに どうしてたべものははいってこないの……? 83 からだのなかをうずめくちいさなむしは、ぼくをくらってお... 84 ゆったりしたちょうしで、かれはうたっていた。みみのなか... 85 まだよくしつにいた。おとがはんきょうして、くうきのなが... 86 「なぜふるえているの?」 「ぼくふるえている……?」 「うん、すごくこまかい。あたまはくらくらしない?」 「なにをみているの」 「ぼく? きみの、たましいかな」 「どんなふうにみえる……すきとおってるのかな」 「まさか」かれはわらった「にごってるし、とってもくさそう... 87 さあっ、もうすっかりおそいしねむろう。ぼくはとたんにこ... となりのかべにつくと、すこしたかいいちに、てつかなにか... 「このさきがねるところだよ」 「とってもせまいんだね」 ひろいところはすき、ときかれたから、あたまをふって、ひ... とびらはおもい。くうきとそうでないところをわけているん... 88 ふわふわしたまくをぬけると、かれがひろがってまっている... 「あ、あ、あつい……」つかむうでのひくひくとしたうごき、け... くらがり あおむけになると、ぼんやりてんじょうにほしやつきのもよ... 「ぼくたちは、ひるまになればあのうっとうしくてじまんした... せなかにぬるいまくがあたる。「ねるとえきがそそがれて、... 「くすりは! ちゃんとあるの……あれがないとさいきんぜんぜ... 「かんたんだよ、ぼくのからだをのめばいい」 ただじっとみつめるしかない。 ぼくにおおいかぶさるかれのはなのいろ…… 89 「きみはぼくのなまえをしっている?」 「しらないよ、そんなこと」 「ぼくのすきなたべものは? きらいなこと、よくすること、... 「しらないって、だってきいたこともないんだもの」 「でもしろうとしなかったじゃないか」「くるこくるこ、こん... かれはじっくりからだをおろしてくる。はじめにあしのつけ... からだにこげついていく、こうばしいにおいがして、まどろ... 90 このまとわりつくかんじは、あるいはふゆのさむいころにふ... ぼくはびちびちせなかをうちつけつづける。いたかったらて... ぜんしんはぴりぴりふるえる。こうするときもちがよくなる... ざまあみろ、といわれた。だれに? うねうねとうごくひかりのわのなかにいて、ふいにからだが... 91 「おはよう、……ちょうしはどう?」 ぼくはひさしぶりにだれかになまえをよばれたようなきがし... 「そんなにおかしかった? でもなんでぬれてるんだろ」 てんじょうはさらさらかがやくれいのおおきなろっかっけい... 「そりゃあぼくらがあのえきたいのなかにいたからだよ」かれ... 「あじはどう?」 「しょっぱいかな……あとはにがい」 「いきものってのは、しょっぱいかにがいかてつくさいか、こ... 92 めざめはこのころではいちばんいい。つかれはない、という... ねっとりした、とけかかったアイスクリーム。ゆめのつまっ... ちゅるちゅるとおとがしてなまなましい。みずとねんまくが... ひきはがされたとき、ぼんやりあいたくちからねんえきをな... いっぺんはくごとにじょうきょうはいっぺん。びくんびくん... 「うあっ!」 ようしゃなくのびるては、のどのおくをこすっていた。そう... 「どうしてもゆうことをきかないこには、もっとおいしいおや... 「あり、あっ。ありがひゅお、あ、ひゅ、う、ございな、ああ... げろのうみにとびこむ。ぼくのための、かってにゆれてくれ... 93 めがさめると、ほんがいっぱいのへやにいて、しっけていて... 「おはよう、ねちゃってた……」てをかくにんすると、いつもど... 「ここはおべんきょうとか、ほんをよんでちしきをつけるため... 「ぼくがおきるのをまってくれていたの」 「……うん、つれていきたいところがあるから」 「うれしいな、なんか、でそうだよ……」 かれはずん、とせまってきて、よこになっているぼくのうえ... なつかしいおんがくがながれる。くるしそうなかおつきにな... 「さ、そとにいくよ。がいしゅつ、だね」 94 「みえる? ねぼすけさん。ここからでよう、とおもっても、... かいだんをのぼっていったさき、たしかにさわるとぶよぶよ... 「ぬけるほうほうはかんたんだよ、ぼくはぬけられる。だから... もうせなかにまわっている! ぼんやりつきだしたにほんの... ふくをぬいでも、いちどまとわりついたきおく、せんざいの... 「きみのあじはもうすっかりおぼえこんでいるよ」 おかねをはらったようにぼくがすきなことばをいつもくれる。 「あとさ……」きりだす「どうしたの?」とぼく「このねんえき... かたをがっしり、ちからづよい。「いたいよ」「がまんして... かすれたこきゅうをすうかいする。あたりにはとびちったし... 「おいおい、しっかりしてよ。ぼくのからだのかわになるんだ... 「くちをかってにうごかさないでよ」 「ほっぺたのぴりぴりしたかんしょくがいいね、たいくつしな... ずがいこつのうえにのったにくは、ひきしまってきんちょう... 95 「かりはね、とてもじゅうようなんだ。このからだをたもつた... 「……そん、なばけものじみたことしてるの……」このむねのいた... 「いまだってきみをえいようにしようとおもったらできないこ... 96 みどりいっぱいのおみせのなかを、かれはずんずんすすんで... どすんとまどぎわにすわる。あかるい。そとはうすいカーテ... 「なかなかよさげだろ、きみもこうやっていつつくらいはきに... うらやましそうに、ぐぐっとあたまがおそらのほうをむいた... かれはちゅうもんをすませると、ほおづえをして、ぼおっと... れいぼうはきちんときいていたけれど、ぼくのしんぞうのな... やってきたおりょうりはいろとりどり。おやさいがどろどろ... 「おいしい? ぼくもまえはすきだったんだ、ひさしぶりにた... 「なんか、こう、ものすごくちかくでしゃべってもらいたかっ... ゆめがかなってよかったじゃない、といわれた、おなじくち... 97 ほらみて、あのこ。あたまのなかのこえだった、こていされ... ぼんやりひらかれたてのひらから、じわっともりあがったひ... 「あの……、ねえ、どろどろにとかしたり、それをのんだりする... 「きみはねむったりしょくじをしたりするときどうおもう、そ... 98 こうかをすうまいおいてかれはたちあがる。「もうもくてき... 「ちょうどばけものじみたことをやってみたくなっていたんだ... 「いいこころがけだね、なにかでいっぱいにしてつねにあふれ... 99 ぼくはうきうきしながら、かれのむかうさきをたのしみにす... 「ずっとまえからめをつけておいたんだ。ちょくせつへやでく... 100 かんじのいいいりぐちだった、かれはべろっとぼくのからだ... 「おちゃをのむひだよ、ぼくけっこうすきだったな」 「ずいぶんまえ……?」 いやらしいしつもんだったみたいで、ちょっとぷんすかして... つんとせなかをおされて、とびらをあける。ぼくは「やあ、... 「ど、どうしよう、ぼくどうしたらいいかわかんない……」 「せなかをさすってあげて、おなかどうしをさすりあわせれば... ぼくはかれのいうとおりにしてみた。あったかなおなかどう... ちいさなかたがぼくのあごのすぐしたにある。やわらかくて... 「このこのたましいはどうなる?」 「こわれるね、もうなんにもかんじない、なんにもかんじない... 「うらやましい、ぼくもはやくそうなりたい……」 「でもちょっといたいとおもう。いきができなくなるし」 「いたいのはやだな……」 ぼくはあのこがのんでいたすっかりさめたのみさしをのみつ... あたまのほうはもうべちゃべちゃでただのまるがあるだけ。... 「すごくきぶんがいいよ、すっきりめがさめたあさみたい」 「なんか、ぼく、みててたのしかったな……」 ちょびっとてをにぎって、あったなかどろどろにさわった。... 101 おきると、くちいっぱいにおかしのあまいあじがしていた。 「あれ、なんかかいぐいしてる」 「いったろ、からだがいるって。かってにきもちよくなってね... むねからはっせられるしんどうが、ゆびさきまでつたわって... 102 かえるとしょくどうにいろんなスープがおいてあった。どれ... ふうん、とかえして、つめたいのどごしをつるんとやった。... 103 おふろにはいるとき、ぜんしんまっしろのけでおおわれてい... 「はあっ、やめて、しずんじゃう……」 「かわいいらしいね、てのひらってかんじ」「ぼくがさいきん... てあしのまわりにはりつき、おへそまわりをつつむねんえき... てをのばして、ぜんぶはきだそう。 104 けっきょくそのままでねむった。たらたらあせがながれて(... 「きょうはにわにいこう。たいくつなんてかんじたらおしまい... てをひいてつれていかれたのは、にわ、とよんでいるところ... ちゅうしんにこだかいおか、あわいいろのそうげんは、みず... 「ほら、さかなをみよう」 おがわにはさかながおよいでいる。いっぴきにひきさんびき... 「かわいいね」 「うん……、なんかかぷかぷしている」 「いいことおしえたげる、みてて」 みずのなかにうでをつっこんで、ねんえきをさかなにあげた... 「これって……」 「ぼくのねんえきをにんげんがたべるときみたちみたいなけも... 「にんげん……ってなに」 「とぼけるな」「いらいらするんだよ、きみみたいなくずをみ... 「しゃべらないで」 めになみだがうかんできた。あたまはつよくうったみたいに... 「きみたちのげろはぼくのえいようになる。ぼくのげろをにん... 「さて、いろいろしゃべったけれど、これだけはいってなかっ... 「えっと」ぶんなぐられる。 「しゃべっちゃだめっていってるだろ、くず」「せいかいはね... 105 ぼくはなにもいうことができない。ずんずんいたむほっぺた... 「ほんとかおいてあるへやはおぼえているだろう、にっきをつ... おさえつけがなくなって、ぼくははしった、たぶん、たいく... 106 まえみた、かれがかきものをしていたのがそれだった。ひょ... ぼくのにっき (ふるえでページがうまくめくれない) ・ がつ にち(くうらんだ) ぼ、ぼくのからだ、ねとねとして、ほねがない! はりあい... ・ばんごう:いち(がつ・にちのところがせんでけされてかわ... そ、そうだよ、ぼくもまねをすればいい、で、でもどうやっ... ・ばんごう:いち、つづき もうだめだ。ろうそくをたくさんたてて、あのねどこをつか... ・ばんごう:いち、つづきのつづき ……はじめて、ねんえきにかえてそれをのんだ。どうしよう、... さいごに、このこのめはみどりいろ。 ・ばんごう:に あっせんじょにてがみをだした。きっちりこんぽうされてい... さいごに、このこのめはえんじいろ。 ・ばんごう:さん たったいっかいでなれてしまっている! ど、どうしよう、... だから、とどいたあと、はさみでゆびのさきを、ほんのちょ... さいごに、このこのめはあいいろ。 ・ばんごう:よん だいぶおちついてきた……わるくない、さいしょからずっとそ... さいごに、このこのめはきいろ。 (「ばんごう:ご」から「ばんごう:はち」まではめのいろの... ・ばんごう:きゅう てがみにへんじがきた。こんなのはじめてだ。あけると、み... ・ばんごう:きゅう、つづき ちょぞうこはとってもおっかない。いしのだいがならんで、... さいごに、そのこのめはとびいろだった…… ・ばんごう:じゅう もちろんてがみはおくりつづけたけれど……もうかんがえるの... からだにはいるかんかくは、ふしぎ。ぬるぬるしていて、す... ・ばんごう:じゅう、つづき あ、あいつがおしえてくれたきっさてんにいく。ここしかし... ・ばんごう:じゅう、つづきのつづき もうよくわからなかったから、おみせのなかをみまわした。... いっしょにたちあがる。たぶんトイレだ。ぼくもついていく... ・ばんごう:じゅう、つづきの…… たのしい、とおもったのはこれがはじめてだった。おなかが... ぼくはぷるぷるふるえている、てはあせでぐっしょりして、... ・ばんごう:じゅういち かりはたのしい、ちょぞうこのからだをそとでしょぶんして... ・ばんごう:じゅういち、つづき あっせんじょへのてがみも、ないようをかえてみた。こっち... ・ばんごう:じゅういち:つづきのつづき ばあ、とおどけてみると、とってもくるってるみたいだった... はじめにくちをふさいで、てあしにはりつく。もううごけな... さいごに、このこのめはむらさき。 ・ばんごう:じゅうに なかなかぼくもいいかんがえをしたとおもう。ゆかいちめん... さいごに、このこのめはだいだいいろ。 ぼくはにっきのいちばんあたらしいところをみた。しおりが... ・ばんごう:にひゃくろくじゅう ついにきた。 ・ばんごう:にひゃくろくじゅう、つづき にわに、いつもはれているちかのにわに、あめがふった。あ... ・ばんごう:にひゃくろくじゅう…… うわついて、からだはかるい。とてもきぶんがいい。ねんえ... あのおばかちゃんは、からだがはんぶんくろくなってうずく... ・ばんごう:にひゃくろくじゅう…… なかなかかわいいね、ぼくも、「こどもはなんにんほしい?... ・ばんごう:にひゃくろくじゅう…… つれかえっていろいろなことをおしえる。やっぱりからだの... ・ばんごう:にひゃくろくじゅう…… なにかをおしえられたり、なにかをされたり、よろこばされ... ・ばんごう:にひゃくろくじゅう…… こんにちは、 おつかれさま、のほうがいいかな よくここまできたね さあ、うしろをみてごらん きみは えいえんにしあわせだ ぼくは、 きみのことがだいすきでしかたがないんだよ ぼくは、 ふ り か え っ て …… 107 「やあ、こんにちは、きぶんはどう」のびたかれのりょうてあ... 「うそつけ」 にやりとわらって、 「ざまあみろ」といった。 ぽちゃんとあたまをしずめた。はもんもできず、かれのから... 108 ぼくはへんかについていけない。あるこうとしたらあたまか... しょ、しょくどうにいこう。ここにいたくない。でもどこか... しょくどうはだだっぴろい。いすがたくさんあって、つくえ... よかった、これをよんでるってことは、ぼくはうまくにげき... にくまないでくれよ、ぼくもおんなじきもちだったんだから きみはしょしんしゃでいっぱいこまるだろうから、しんせつ... つづくにまいめからよんまいめはいっしゅうかんのよていひ... そしてごまいめ、ちいさなカードに、「ろっかっけいのへや... へやにはいってすぐきづいた、よこたわってる! からだ!... めのいろはあお、こんなすきとおったかがやきなんて……きっ... ちょ、ちょうどおなかがすいてるんだ。いっぽいっぽちかよ... こわがらないで、おともだちだよ。やさしくこえをだした、... ページ名: