開始行: [[活動/霧雨]] **残暑 [#q24d1a0f] 狐砂走 とある昔話にこんなものがあった。 昔々、この世界を構成する為、大海と大気、大陽、大陰、大... しかし、大陽は近づく者を容赦無き灼熱で燃やし尽くし、世... それから数万年後、一人の神はそれを見かねて大陽から一欠... ---------------------------------------------------------... 「暑いぃ......」 この日の気温は四十を超えていた。この地域では記録的な猛... 別に今日が猛暑だけであったら私はこれほどまでに不満を抱... ふと通った電気屋のガラスケースに飾ってある薄型テレビに... 「いやぁ、今年は暑いですねぇ。どうやら地球と太陽との距離... 「そうですねぇ......私の天文学的見解から述べますと......」 (ヤバい......辺りが霞んできた......) 地面に吸い寄せられるように這いつくばってしまった。出か... そして視界は光の差さない暗闇へと堕ちた。 重い瞼を再び開けようとした。どうせ地面を這う陽炎しかな... 右手で鼻を必死に抑えながら障子に手を掛けると、何百もの... タンッ! 私は勢いよく障子を右へ引いた。誰かいるのだろうと思った... 私の目の前にあったのはガラクタであった。和太鼓に砂時計... ギイィ......ギイィ...... 赤茶色に錆びついてしまった水飲み鳥は姿無き潤いに得ずと... 「どうぞぉー。こっちに来てくれないかしらぁ」 眠くてたまらないような女の声だった。 「大丈夫よぉ。妾は決して人を襲うような悪い輩ではないわぁ... 声のする方から噴き出していた。煙は彼女のため息のように... 私は右手首を鼻に当てながら声のする方へ歩いた。もう前な... 「妾が見えるかしらぁ? ごめんねぇ、ちょっと換気するわぁ... すると前から吸い込まれるように煙が消えていった。周りは... 「えっと......」 (この人誰? というか何故こんな所に......) 彼女は倦怠という気体を軽く吐くと、 「妾のことはそうねぇ......近所のお姉さんと言ったら言いの... 私は後ずさりした。何か裏がある気がした。いや、裏でしか... 「ねぇ、どうしたのぉ? もしかして迷っているのかしらぁ。... 彼女の後ろから何千ものガラクタが流れる音がした。 そして現れたのは...... カチカチカチカチ......ゴーン......ゴーン......ゴーン 「この部屋にある物は全て大きいわぁ。妾の後ろに立っている... 煙草の匂いは次第に強くなっていくと共に彼女は灰色の煙に... 「ちょっと待っ......」 私は彼女がいた所に向かって右手で煙をかき分けながら進ん... いや、厳密にいえばガラクタと私と目の前の古時計だった。 そしてこの部屋に訪れた時から聞こえていた夥しい数の話し... 「あら、見慣れない子がいるわ」 「また何かを貰いに来たんだろ? あの大名様がやることだ」 「でも、それにしては時間が経ちすぎてるぞ。これは食っても... 「なら、誰が一番こいつを潰せるか遊ぼうよ」 多くの視線を浴びせられているような感覚に陥り、ある一言... 「そ う し よ う !」 誰もが経験したことのない鬼ごっこが始まった。 ---------------------------------------------------------... 妾の主人はなぜ妾を手放したのでしょうか。 煙管を持ちながら床にバラまかれた文を読み漁った。どれも... 「そろそろ人を玩具にするのはやめてもらおうか。なぁ、お嬢... 霞の向こうからドタッドタッと足音が聞こえた。歩いて来た... 「珍しいですわぁ。この部屋を特定できるのは主人と妾だけだ... 主人は大きいものが何より好きだった。故に人物やモノを集... 「俺か? そりゃあ勿論だ。あんたの主人の......『大帝』さ... その殿方は乱雑に伸びた顎鬚を摩りながら僅かに口角を上げ... 「お嬢さん、何故大帝にそこまで執着する? この部屋にある... この殿方は妾のやっていることが分かるようだった。大陽は... 「よくお分かりのようねぇ.....特別に妾の身の上話でも聞かせ... 殿方は黙ったままその場で胡坐を掻いた。 「主人......今の大帝は昔は『帝』と呼ばれていました。妾は... 『もっと寛大になって己の能力を持てばきっと全ての民は幸せ... 主人は民を自分の城に招いて宴会を開きました。勿論妾は否... 民は主人の大切なものを全て奪い、人とは到底思えない蛮行... すると、何やら儀式みたいなものを主人は始めて、全ての民... 結果として全ての民を犠牲にして永遠と万物の才能を主人は... 主人の名前をご存じでしょうか? 当然誰も知るはずがない... 殿方の質問に答えましょう。妾は憎いのです。何故主人の名... 殿方に質問しましょう。主人は妾の事を忘れてしまったので... 殿方は胸倉からおちょこを取り出すと、腰にかかっている酒... 「......愚問、愚問愚問愚問愚問、全く持って愚問でしかない... 妾は気付いていなかった。 妾の右手には扇子を持っていて扇子の天は殿方の頭を向けて... その意味は恐らく大馬鹿者からの侮辱に対する憤怒での殺意... 一秒も立たずに殿方の座っていた場所は無意識の怒りの山と... そして後からまた気付く。 はぁ......はぁ......はぁ......こほっ 妾は必死であったのか息切れを起こしていた。 「......やれやれ。女の怒りは怖い怖い。俺はしがない中年な... 怒りの山の隙間から腕毛の多い血管が浮き出た腕が飛び出し... 列車や重機の山は紙吹雪のように舞い上がり、鉄の雪が降っ... その雪は畳に触れると暴音と共に穴が開いた。 「忘れたか忘れていないかの疑問なぞ本人に聞けばいい。俺に... いいか、例え行いが人間離れしても、人間だ。もし人間を辞... 「......」 別に主人を怪物だと思った事はない。しかし、何故か主人は... 「余の名よ。余は少し前の宿題とやらをせねばならない。だが... 主人は笑顔で目を合わせてそう言ったが、立ち去る後ろ姿は... 殿方は膝の土埃を軽く手で払うと、 「そんじゃあ、ちょっと『あいつ』に挨拶してくる。お嬢さん... そう言うと、殿方は煙の奥に消えていった。 ---------------------------------------------------------... ......トトトトト...... 歩いても歩いても全く壁が見当たらない。天井とガラクタは... 少し一休みと、隠れて座ると辺りに目を配ると現実とは思え... カック......カック...... ざっと一メートルはある獅子舞の頭とその頭に似つかわしい... バァン......バァン...... 重苦しい足音の先には鈍い黄土色の大仏が右手で合唱しなが... 他にも扇風機や信号機、火鉢に琵琶や、はたまたキャンディ... 私はこんな所からすぐにでも抜け出したいと思った矢先、何... あまりに五月蠅すぎて手に取ってみればそれはアナログ式の... いや、そんなことはどうでもいい。目覚まし時計にかまって... 振り向くと...... ついさっきまで彷徨っていた獅子舞は此方を向いてニタニタ... ピアノは黒い鍵盤と白い鍵盤を反転させて見せつけ、折り紙... カチカチカチカチ..... 目覚まし時計の裏底には黒の油性ペンで「BIG BANG!」と書... そして誰かの声が聞こえた。 「あれってもしかして『大爆発』(ビッグバン)?」 その一言から、 「大爆発様の機嫌を損ねるとここら一帯吹き飛ぶぞ......」 「でも機嫌が凄い良かった時も大爆発が起きてたぞ?」 「じゃあどうすりゃあいいんだよ!」 「触れない方が吉だ。あんな爆弾を奪うやつはいない」 「でもあいつが持ってるぞ? どうする?」 物々の会話が聞こえる中、私の周りが暗くなった。私の目線... 「おやおや。騒がしいから来てみたら。お前が大名の言ってた... 彼の言葉が終わった瞬間、周りにいた物達は一斉に散った。 「あいつ何言ってやがる!」 「気狂ってるぞ! 周りの事も気にしねぇで」 右手にある目覚まし時計はそんな騒ぎも気にせず、 カチカチカチカチ...... なぜそうしたのか分からなかったが、右手を後ろに下げた瞬... 長針が子の位置に到達するまで五秒。いや、五秒なのか分か... そう、彼の手に触れたとき、長針は子に到達したのだ。 戦艦の主砲が放たれた音がした。眩しい白光と激しい音。狂... 床の畳は燃焼し、黒い煙のマントが辺りを包み込む。 そんな中、 「いやあ、こりゃあ驚いた! 本当に激しい爆発だったよー。... 黒いマントから覗かせたのは紅葉で囲まれた街並みの着物。... (いや、そもそも花火は危険なもの......) 「この爆弾はどうやら俺が嫌いなようだ。よし、返す」 (はい?) そう疑問を持つにはあまりにも遅かった。目の前にはもう、... こういう時、時間が遅く感じてしまい今までの人生を振り返... 場違いな喇叭と紙吹雪。 爆弾からはスマイルマークの丸い頭にバネの首が飛び出てい... 爆弾の中身には、 「きみ! びっくりしちゃった? きにいったやつはふきとば... 冗談でも笑えない。 「はあ......全く、大帝の宝はどれも単なる好奇心だけで集め... その大男は頭を掻きながら呆然の息を漏らしていた。 「おめぇも散々だなあ。大陽に気を失われて今度はこの部屋で... ---------------------------------------------------------... 余は鏡を見た。自身が帝になってから変わらず幼い体。自分... 余は金色の装飾が成された軍服の姿を見ながら後悔と天命の... 書類の中から一枚手を伸ばすとそこには人の経歴書が書いて... それだけなら余のストレスが肥大することも無かっただろう。 そこには麻薬や暗殺、賄賂などの表には決して出てこないよ... しかし、寛大でなければならない。寛大さは人々を救済する... 「あらぁ......書類仕事なんて大変そうですねぇ......手伝っ... 視界の端から黒髪のカーテンが中央に迫り、両肩にはそっと... 「妾はあの物置部屋で待ちながらどれほどまでにこの時を望ん... 彼女の両手は肩から離れ、余の上半身を執着のベールで取り... 「主人? そこまでしてこの妾が恐ろしいでしょうかぁ? 何... このまま言わずに座っていてもどうしようもない。大名が余... 「あのさぁ......」 余は彼女にどうしても聞かなければならない事があった。薄... 「何でしょうぅ......主人の欲する事なら何でも差し上げまし... ...... ...... ...... 「余を大帝にしたのは君なんじゃないか?」 大名とは大帝の名前として昇華された大物だと人々から噂さ... 「ふふふ......だとして、機嫌が優れないのは何故でしょうぅ.... 続けて、 「余の思う事が事実であるならば、大帝になる前の宴会を開い... 「......」 彼女の真意が口から漏れるまでの何もない時間は大帝といえ... 「妾は主人がこの世に生まれた時から傍にずぅっといました。... はぁ......今日も悪口と暴行。 ......明日も明後日も明々後日も同じ。 何が寛大でしょうぅ......主人は素晴らしい帝であり、誰に... 『良い事思いついたぁ......主人を知る全ての人間を薪にして... なんて可哀そうな主人......」 彼女の影は余を覆いつくし、その影法師は次第に大きくなっ... 「主人は手に入れた大物のどこかに名前を必ずつけていました... 彼女がこうなってしまったのは余の責任なのだろう。国を滅... 余が生み出してしまった「大」、集めてしまった「大」はい... ---------------------------------------------------------... 日の光は大桶の水面を輝かせた。 この理解し難い部屋に連れてこられた私には疲労という二文... その際に最後に目で捉えたのは、大馬鹿者が大桶の水面に写... ...... ...... ...... 耳を引き千切るかのような警鐘。数秒経とうが私を起こさず... 目を開けると何年も付き添ってきた自室の天井が見え、埃臭... 少しの安堵と懐疑に頭を占領されながら、目覚まし時計に手... 懐疑は確信へ、安堵は不安へ。 その目覚まし時計には黒いペンで「BIG BANG!」と書かれて... ---------------------------------------------------------... 「あちゃあー。これは一体何が起きたのかな、大帝」 一人の人間を元の世界に返し、やるべき事をし、大帝と一杯... 薄型テレビにエアコン、岩石は成されるままの紙粘土と化し... 真価を失ってしまった山の中央にただ一人、机の上で書類に... 少年が此方を一目見ると、 「こんな仕事をしなければならないとは、ここを抜け出して旅... 真顔で口癖のように俺に冗談を言ってくる所も変わらない。 「やるか、馬鹿。俺はそこまで暇じゃないし、どうせそう言っ... 言わずもこの部屋を惨状に変えたのは大名なんだろう。 「余の大名がこの部屋にやって来たのさ。彼女が来た理由なん... それで。 「自分の宝を自ら壊すとはもったいないねぇ、大帝」 下に目を配れば足元には何かの破片が無数に落ちている。 「後で元に戻すさ。何より余は魔術や技術の道を知っている。... 『もし何かあれば倉庫へお越しください。今日もあなたに良い... ここまで律儀に召使や物を管理する人はあいつくらいだ。流... 執着の姫君として襲ってきた妖(おんな)とは似ても似つか... 「大陽は回収した。また千切らなければならないとは、だから... 俺はその場で胡坐を掻きながら自分がまだ「馬鹿」と呼ばれ... 「余と同じくらい怪異な奴がそう言うか。 とりあえず、今日... 俺は自分の酒瓶の底を確認したが、酒瓶は潤いを失くし、新... 終了行: [[活動/霧雨]] **残暑 [#q24d1a0f] 狐砂走 とある昔話にこんなものがあった。 昔々、この世界を構成する為、大海と大気、大陽、大陰、大... しかし、大陽は近づく者を容赦無き灼熱で燃やし尽くし、世... それから数万年後、一人の神はそれを見かねて大陽から一欠... ---------------------------------------------------------... 「暑いぃ......」 この日の気温は四十を超えていた。この地域では記録的な猛... 別に今日が猛暑だけであったら私はこれほどまでに不満を抱... ふと通った電気屋のガラスケースに飾ってある薄型テレビに... 「いやぁ、今年は暑いですねぇ。どうやら地球と太陽との距離... 「そうですねぇ......私の天文学的見解から述べますと......」 (ヤバい......辺りが霞んできた......) 地面に吸い寄せられるように這いつくばってしまった。出か... そして視界は光の差さない暗闇へと堕ちた。 重い瞼を再び開けようとした。どうせ地面を這う陽炎しかな... 右手で鼻を必死に抑えながら障子に手を掛けると、何百もの... タンッ! 私は勢いよく障子を右へ引いた。誰かいるのだろうと思った... 私の目の前にあったのはガラクタであった。和太鼓に砂時計... ギイィ......ギイィ...... 赤茶色に錆びついてしまった水飲み鳥は姿無き潤いに得ずと... 「どうぞぉー。こっちに来てくれないかしらぁ」 眠くてたまらないような女の声だった。 「大丈夫よぉ。妾は決して人を襲うような悪い輩ではないわぁ... 声のする方から噴き出していた。煙は彼女のため息のように... 私は右手首を鼻に当てながら声のする方へ歩いた。もう前な... 「妾が見えるかしらぁ? ごめんねぇ、ちょっと換気するわぁ... すると前から吸い込まれるように煙が消えていった。周りは... 「えっと......」 (この人誰? というか何故こんな所に......) 彼女は倦怠という気体を軽く吐くと、 「妾のことはそうねぇ......近所のお姉さんと言ったら言いの... 私は後ずさりした。何か裏がある気がした。いや、裏でしか... 「ねぇ、どうしたのぉ? もしかして迷っているのかしらぁ。... 彼女の後ろから何千ものガラクタが流れる音がした。 そして現れたのは...... カチカチカチカチ......ゴーン......ゴーン......ゴーン 「この部屋にある物は全て大きいわぁ。妾の後ろに立っている... 煙草の匂いは次第に強くなっていくと共に彼女は灰色の煙に... 「ちょっと待っ......」 私は彼女がいた所に向かって右手で煙をかき分けながら進ん... いや、厳密にいえばガラクタと私と目の前の古時計だった。 そしてこの部屋に訪れた時から聞こえていた夥しい数の話し... 「あら、見慣れない子がいるわ」 「また何かを貰いに来たんだろ? あの大名様がやることだ」 「でも、それにしては時間が経ちすぎてるぞ。これは食っても... 「なら、誰が一番こいつを潰せるか遊ぼうよ」 多くの視線を浴びせられているような感覚に陥り、ある一言... 「そ う し よ う !」 誰もが経験したことのない鬼ごっこが始まった。 ---------------------------------------------------------... 妾の主人はなぜ妾を手放したのでしょうか。 煙管を持ちながら床にバラまかれた文を読み漁った。どれも... 「そろそろ人を玩具にするのはやめてもらおうか。なぁ、お嬢... 霞の向こうからドタッドタッと足音が聞こえた。歩いて来た... 「珍しいですわぁ。この部屋を特定できるのは主人と妾だけだ... 主人は大きいものが何より好きだった。故に人物やモノを集... 「俺か? そりゃあ勿論だ。あんたの主人の......『大帝』さ... その殿方は乱雑に伸びた顎鬚を摩りながら僅かに口角を上げ... 「お嬢さん、何故大帝にそこまで執着する? この部屋にある... この殿方は妾のやっていることが分かるようだった。大陽は... 「よくお分かりのようねぇ.....特別に妾の身の上話でも聞かせ... 殿方は黙ったままその場で胡坐を掻いた。 「主人......今の大帝は昔は『帝』と呼ばれていました。妾は... 『もっと寛大になって己の能力を持てばきっと全ての民は幸せ... 主人は民を自分の城に招いて宴会を開きました。勿論妾は否... 民は主人の大切なものを全て奪い、人とは到底思えない蛮行... すると、何やら儀式みたいなものを主人は始めて、全ての民... 結果として全ての民を犠牲にして永遠と万物の才能を主人は... 主人の名前をご存じでしょうか? 当然誰も知るはずがない... 殿方の質問に答えましょう。妾は憎いのです。何故主人の名... 殿方に質問しましょう。主人は妾の事を忘れてしまったので... 殿方は胸倉からおちょこを取り出すと、腰にかかっている酒... 「......愚問、愚問愚問愚問愚問、全く持って愚問でしかない... 妾は気付いていなかった。 妾の右手には扇子を持っていて扇子の天は殿方の頭を向けて... その意味は恐らく大馬鹿者からの侮辱に対する憤怒での殺意... 一秒も立たずに殿方の座っていた場所は無意識の怒りの山と... そして後からまた気付く。 はぁ......はぁ......はぁ......こほっ 妾は必死であったのか息切れを起こしていた。 「......やれやれ。女の怒りは怖い怖い。俺はしがない中年な... 怒りの山の隙間から腕毛の多い血管が浮き出た腕が飛び出し... 列車や重機の山は紙吹雪のように舞い上がり、鉄の雪が降っ... その雪は畳に触れると暴音と共に穴が開いた。 「忘れたか忘れていないかの疑問なぞ本人に聞けばいい。俺に... いいか、例え行いが人間離れしても、人間だ。もし人間を辞... 「......」 別に主人を怪物だと思った事はない。しかし、何故か主人は... 「余の名よ。余は少し前の宿題とやらをせねばならない。だが... 主人は笑顔で目を合わせてそう言ったが、立ち去る後ろ姿は... 殿方は膝の土埃を軽く手で払うと、 「そんじゃあ、ちょっと『あいつ』に挨拶してくる。お嬢さん... そう言うと、殿方は煙の奥に消えていった。 ---------------------------------------------------------... ......トトトトト...... 歩いても歩いても全く壁が見当たらない。天井とガラクタは... 少し一休みと、隠れて座ると辺りに目を配ると現実とは思え... カック......カック...... ざっと一メートルはある獅子舞の頭とその頭に似つかわしい... バァン......バァン...... 重苦しい足音の先には鈍い黄土色の大仏が右手で合唱しなが... 他にも扇風機や信号機、火鉢に琵琶や、はたまたキャンディ... 私はこんな所からすぐにでも抜け出したいと思った矢先、何... あまりに五月蠅すぎて手に取ってみればそれはアナログ式の... いや、そんなことはどうでもいい。目覚まし時計にかまって... 振り向くと...... ついさっきまで彷徨っていた獅子舞は此方を向いてニタニタ... ピアノは黒い鍵盤と白い鍵盤を反転させて見せつけ、折り紙... カチカチカチカチ..... 目覚まし時計の裏底には黒の油性ペンで「BIG BANG!」と書... そして誰かの声が聞こえた。 「あれってもしかして『大爆発』(ビッグバン)?」 その一言から、 「大爆発様の機嫌を損ねるとここら一帯吹き飛ぶぞ......」 「でも機嫌が凄い良かった時も大爆発が起きてたぞ?」 「じゃあどうすりゃあいいんだよ!」 「触れない方が吉だ。あんな爆弾を奪うやつはいない」 「でもあいつが持ってるぞ? どうする?」 物々の会話が聞こえる中、私の周りが暗くなった。私の目線... 「おやおや。騒がしいから来てみたら。お前が大名の言ってた... 彼の言葉が終わった瞬間、周りにいた物達は一斉に散った。 「あいつ何言ってやがる!」 「気狂ってるぞ! 周りの事も気にしねぇで」 右手にある目覚まし時計はそんな騒ぎも気にせず、 カチカチカチカチ...... なぜそうしたのか分からなかったが、右手を後ろに下げた瞬... 長針が子の位置に到達するまで五秒。いや、五秒なのか分か... そう、彼の手に触れたとき、長針は子に到達したのだ。 戦艦の主砲が放たれた音がした。眩しい白光と激しい音。狂... 床の畳は燃焼し、黒い煙のマントが辺りを包み込む。 そんな中、 「いやあ、こりゃあ驚いた! 本当に激しい爆発だったよー。... 黒いマントから覗かせたのは紅葉で囲まれた街並みの着物。... (いや、そもそも花火は危険なもの......) 「この爆弾はどうやら俺が嫌いなようだ。よし、返す」 (はい?) そう疑問を持つにはあまりにも遅かった。目の前にはもう、... こういう時、時間が遅く感じてしまい今までの人生を振り返... 場違いな喇叭と紙吹雪。 爆弾からはスマイルマークの丸い頭にバネの首が飛び出てい... 爆弾の中身には、 「きみ! びっくりしちゃった? きにいったやつはふきとば... 冗談でも笑えない。 「はあ......全く、大帝の宝はどれも単なる好奇心だけで集め... その大男は頭を掻きながら呆然の息を漏らしていた。 「おめぇも散々だなあ。大陽に気を失われて今度はこの部屋で... ---------------------------------------------------------... 余は鏡を見た。自身が帝になってから変わらず幼い体。自分... 余は金色の装飾が成された軍服の姿を見ながら後悔と天命の... 書類の中から一枚手を伸ばすとそこには人の経歴書が書いて... それだけなら余のストレスが肥大することも無かっただろう。 そこには麻薬や暗殺、賄賂などの表には決して出てこないよ... しかし、寛大でなければならない。寛大さは人々を救済する... 「あらぁ......書類仕事なんて大変そうですねぇ......手伝っ... 視界の端から黒髪のカーテンが中央に迫り、両肩にはそっと... 「妾はあの物置部屋で待ちながらどれほどまでにこの時を望ん... 彼女の両手は肩から離れ、余の上半身を執着のベールで取り... 「主人? そこまでしてこの妾が恐ろしいでしょうかぁ? 何... このまま言わずに座っていてもどうしようもない。大名が余... 「あのさぁ......」 余は彼女にどうしても聞かなければならない事があった。薄... 「何でしょうぅ......主人の欲する事なら何でも差し上げまし... ...... ...... ...... 「余を大帝にしたのは君なんじゃないか?」 大名とは大帝の名前として昇華された大物だと人々から噂さ... 「ふふふ......だとして、機嫌が優れないのは何故でしょうぅ.... 続けて、 「余の思う事が事実であるならば、大帝になる前の宴会を開い... 「......」 彼女の真意が口から漏れるまでの何もない時間は大帝といえ... 「妾は主人がこの世に生まれた時から傍にずぅっといました。... はぁ......今日も悪口と暴行。 ......明日も明後日も明々後日も同じ。 何が寛大でしょうぅ......主人は素晴らしい帝であり、誰に... 『良い事思いついたぁ......主人を知る全ての人間を薪にして... なんて可哀そうな主人......」 彼女の影は余を覆いつくし、その影法師は次第に大きくなっ... 「主人は手に入れた大物のどこかに名前を必ずつけていました... 彼女がこうなってしまったのは余の責任なのだろう。国を滅... 余が生み出してしまった「大」、集めてしまった「大」はい... ---------------------------------------------------------... 日の光は大桶の水面を輝かせた。 この理解し難い部屋に連れてこられた私には疲労という二文... その際に最後に目で捉えたのは、大馬鹿者が大桶の水面に写... ...... ...... ...... 耳を引き千切るかのような警鐘。数秒経とうが私を起こさず... 目を開けると何年も付き添ってきた自室の天井が見え、埃臭... 少しの安堵と懐疑に頭を占領されながら、目覚まし時計に手... 懐疑は確信へ、安堵は不安へ。 その目覚まし時計には黒いペンで「BIG BANG!」と書かれて... ---------------------------------------------------------... 「あちゃあー。これは一体何が起きたのかな、大帝」 一人の人間を元の世界に返し、やるべき事をし、大帝と一杯... 薄型テレビにエアコン、岩石は成されるままの紙粘土と化し... 真価を失ってしまった山の中央にただ一人、机の上で書類に... 少年が此方を一目見ると、 「こんな仕事をしなければならないとは、ここを抜け出して旅... 真顔で口癖のように俺に冗談を言ってくる所も変わらない。 「やるか、馬鹿。俺はそこまで暇じゃないし、どうせそう言っ... 言わずもこの部屋を惨状に変えたのは大名なんだろう。 「余の大名がこの部屋にやって来たのさ。彼女が来た理由なん... それで。 「自分の宝を自ら壊すとはもったいないねぇ、大帝」 下に目を配れば足元には何かの破片が無数に落ちている。 「後で元に戻すさ。何より余は魔術や技術の道を知っている。... 『もし何かあれば倉庫へお越しください。今日もあなたに良い... ここまで律儀に召使や物を管理する人はあいつくらいだ。流... 執着の姫君として襲ってきた妖(おんな)とは似ても似つか... 「大陽は回収した。また千切らなければならないとは、だから... 俺はその場で胡坐を掻きながら自分がまだ「馬鹿」と呼ばれ... 「余と同じくらい怪異な奴がそう言うか。 とりあえず、今日... 俺は自分の酒瓶の底を確認したが、酒瓶は潤いを失くし、新... ページ名: