開始行: #navi(活動/霧雨/vol.2) *恋色花火 ―― [[登美丘 隆志>部員紹介]] [#ld443f51] ~ ある夏の夕方に。 蝉の音と夕焼けに包まれた駅のベンチで、あなたは待っていま... 私が汽車から降りると、あなたは私に気付いたようです。 こちらを振り向いて近づいて来ました。 待ちくたびれたようですね。 待ち合わせの時刻に、別に遅れていないのに。 私たちを乗せた列車が海の見える街に近づく頃には、辺りは少... 改札を出ると、夜店と多くの人々で駅前通りはとてもにぎやか... たこ焼きのにおいやお酒のにおいで、私たちはおなかが空いて... 私はたこ焼き、あなたはりんご飴を買いました。 ・・・冷めないうちに花火の見える場所に行きましょう。・・・ 港に近づくと、辺りはすっかり暗くなっていました。 微かな潮風が涼しさを運んでいます。 まもなく私は海沿いに架かる橋の近くが小高い土手になってい... その場所に腰掛けて、花火が始まるのを待つことにしました。 たこ焼きはまだ温かく、二人でおいしく食べました。 花火が始まる時刻になると騒がしかったこの街は、すこし静か... そして花火が始まりました。 まず大きめの花火がひとつ上がり、夜空に光の花が咲きました。 そのあと続いて小さめの花火が何度か上がり、私たちは幸せな... きっと周りの人々もそのように思ったことでしょう。 ・・・とてもきれいですね・・・ あなたがそっとつぶやいて、そして私は頷きました。 花火の光の花ひとつひとつは一瞬ですが、あまりに美しいので... 私の心にも、あなたの心にもずっと残ると思います。 花火が終盤に近づくと、大きめの花火が連続で上がりだしまし... 白い一瞬の閃光が辺りを照らし、そして夜空は色とりどりの光... あなたの横顔もはっきり見えるほど、夜空は明るくなりました。 ・・・あの花火の色、あの色は何色なのでしょうか?・・・ あなたが振り向いて、私に尋ねてきました。 私は返答に少し迷いましたが、すぐにこう答えました。 ・・・恋色、恋色の花火だと思います。・・・ 私たち二人は恋をしています。その理由や意味もわかりません... それは一つに決められないから、でも美しいのはきっと間違い... だから私はその時そう答えたのです。その意味があなたには伝... その花火を二人で見た日の少し後に、彼女は当時流行っていた... 私は一生懸命彼女の看病を、彼女の家族と共に手伝いました。 でも彼女は静かに息をひきとりました。結婚することが決まっ... その日を迎えることのないままに、彼女は亡くなりました。 花火を見る度に思います。 花火の美しさは一瞬です。あの恋した日々も私にとっては一瞬... でも、あなたへの愛は永遠だと思います。 あなたと過ごした恋色の日々をずっと忘れません。 ~ CENTER:''(了)'' ~ ~ *この作品を評価を評価する [#e3db469a] #rating() #navi(活動/霧雨/vol.2) 終了行: #navi(活動/霧雨/vol.2) *恋色花火 ―― [[登美丘 隆志>部員紹介]] [#ld443f51] ~ ある夏の夕方に。 蝉の音と夕焼けに包まれた駅のベンチで、あなたは待っていま... 私が汽車から降りると、あなたは私に気付いたようです。 こちらを振り向いて近づいて来ました。 待ちくたびれたようですね。 待ち合わせの時刻に、別に遅れていないのに。 私たちを乗せた列車が海の見える街に近づく頃には、辺りは少... 改札を出ると、夜店と多くの人々で駅前通りはとてもにぎやか... たこ焼きのにおいやお酒のにおいで、私たちはおなかが空いて... 私はたこ焼き、あなたはりんご飴を買いました。 ・・・冷めないうちに花火の見える場所に行きましょう。・・・ 港に近づくと、辺りはすっかり暗くなっていました。 微かな潮風が涼しさを運んでいます。 まもなく私は海沿いに架かる橋の近くが小高い土手になってい... その場所に腰掛けて、花火が始まるのを待つことにしました。 たこ焼きはまだ温かく、二人でおいしく食べました。 花火が始まる時刻になると騒がしかったこの街は、すこし静か... そして花火が始まりました。 まず大きめの花火がひとつ上がり、夜空に光の花が咲きました。 そのあと続いて小さめの花火が何度か上がり、私たちは幸せな... きっと周りの人々もそのように思ったことでしょう。 ・・・とてもきれいですね・・・ あなたがそっとつぶやいて、そして私は頷きました。 花火の光の花ひとつひとつは一瞬ですが、あまりに美しいので... 私の心にも、あなたの心にもずっと残ると思います。 花火が終盤に近づくと、大きめの花火が連続で上がりだしまし... 白い一瞬の閃光が辺りを照らし、そして夜空は色とりどりの光... あなたの横顔もはっきり見えるほど、夜空は明るくなりました。 ・・・あの花火の色、あの色は何色なのでしょうか?・・・ あなたが振り向いて、私に尋ねてきました。 私は返答に少し迷いましたが、すぐにこう答えました。 ・・・恋色、恋色の花火だと思います。・・・ 私たち二人は恋をしています。その理由や意味もわかりません... それは一つに決められないから、でも美しいのはきっと間違い... だから私はその時そう答えたのです。その意味があなたには伝... その花火を二人で見た日の少し後に、彼女は当時流行っていた... 私は一生懸命彼女の看病を、彼女の家族と共に手伝いました。 でも彼女は静かに息をひきとりました。結婚することが決まっ... その日を迎えることのないままに、彼女は亡くなりました。 花火を見る度に思います。 花火の美しさは一瞬です。あの恋した日々も私にとっては一瞬... でも、あなたへの愛は永遠だと思います。 あなたと過ごした恋色の日々をずっと忘れません。 ~ CENTER:''(了)'' ~ ~ *この作品を評価を評価する [#e3db469a] #rating() #navi(活動/霧雨/vol.2) ページ名: