開始行: #navi(活動/霧雨/vol.1.2) *オレンジ・アイス・キャンディー ―― [[五島顕一>部員紹介]] ... ~ 午後の授業の終わりごろにやっと思い出した。プール横の脱... 自分のしでかしたことで、顔面に熱っぽさを感じ始める。カ... しかし慌ててはいけない。まだ授業の途中だ。ここは終鈴を... 僕の席からはるか遠くで先生が黒板にチョークを何回か叩き... 突然、カーテンが静かに風で煽られた。生暖かい風が肌を触... 「―――今やっている源氏物語はぁ~、かいつまんで言うと光源... 先生がこんなことを言うはずはない。僕の耳が聞き取って、... チャイムが鳴り始めた。いつも微妙に音程のずれた不愉快な... プールの入り口の前まで来た。靴と靴下を脱ぎ簀(す)の子... 部屋全体の内装はコンクリートだ。その中に所狭しとねずみ... やっとの思いで目的のロッカーにたどり着き、水着の入った... バシャン、バシャン・・・・。 ゆっくりとした一定のリズムだった。プールに誰か入ってい... その人はプールの第1コースをバタフライで泳いでいた。女子... 彼女は、プールサイドの手すりからゆっくりと上がってくる... 「何してるの、あんた」 「へ?」 不意に背後から女の人の声がして、僕は気の抜けた返事を返... 「あ、三次(みよし)さん」 体で太陽が隠されて、陰によって彼女の顔が浮かび上がった... 三次なつみは隣のクラスの女子だ。教室では短いポニーテー... クラスの男子の話のまな板に三好さんのことはあまり出てこ... 「何だ、土本か。何か私に用事あんの?」 あ、クラスが別なのに名前覚えていてくれていたのか。それ... 「ええと、僕は忘れ物を取りに来ただけで・・・」 「ああ、ちょっと待って。今着替えてくるから」 僕の言葉を遮ってそう言って三次さんはまた更衣室へと引っ... 「あれ、待っていてくれてたの。優しいところあるんだ。忘... 「あれ、待っていてと言ったのは三次さんのほうじゃ・・・... 「『三次さん』ってちょっと堅苦しいな。『なつみ』でいい... 「な・・なつみ・・・さん・・・」 「呼びにくいか。『三次』って言ってみ」 「・・・三次」 「・・・ん、まぁそれでいいか」 流されたような気がする。でもまぁいいか。 僕は今までそのオレンジ色のものに気付かなかったが、三次... 「それは?」 「アイスキャンディー。オレンジジュースを凍らせただけの... 「どこで買ったの?」 「そこに冷蔵庫があるよ」 示されたほうを見ると突然に教室の机があって、その上に高... 「僕、水泳部じゃないけど買っていいの?」 「いいんじゃない?部員数より少し多めに用意してあるし、... 僕は貯金箱に10円玉を投下して冷蔵庫からオレンジアイス... 「へぇ~、三次って水泳部だったんだ」僕は振り返って三次... 「水泳部はそうだけど、私はマネージャーをやってる」 「大変じゃない?」 「大丈夫。マネージャー3人いるし、一番熱心な子に任せて... 「あれ、そんな冗談もイケるクチなんだ。」僕はキャンディ... 「ちょっと待って。最初にある程度表面を少しずつ舐めてお... 三次が歩き始めたので僕はその斜め後ろを歩く。僕は大人し... 「三次、ちょっとじっとしてて」 「ん?」 僕は何も言わずに三次の左肩を親切心で鋭く叩く。 「ッ!」 「蚊が止まってたぞ」僕は三次に右手の掌に張り付いた成果... 「あーッ!制服に血がついてるじゃない!こういうの落ちな... 「あ、ごめん」僕は意外な反応に驚いてすぐに謝った。 何となく気まずい雰囲気が流れる。地面からの放射熱で、空... 「・・・私も、急に怒ってしまってごめん」 「いや、僕の方こそ」とりあえず日本人的には一往復半だ。 「ハンカチ持ってるからちょっと待って」 「大したことないからいいよ、大丈夫」 僕は少し考えるために、キャンディーを口に入れる。三次も... 「そういえばさ、水泳部のマネージャーじゃなくて部員とい... 「え、だって私そんなに泳げないよ」 「バタフライ泳げるならかなりスゴイと思うんだけど」 急に目が合う。三次が僕の目の奥のほうを見ようとするので... 「・・・知ってたんだ」三次は中空のあっちとそっちとこっ... 「最初は水泳部員として入ろうと思ったんだけどね、友達を... 僕は静かにして、話の骨を折らないようにした。 「それでさ、マネージャーとして部の雰囲気とか見てるとさ... 「でもマネージャーは辞めないんだ」 三次はちょっと照れたようにこう言った。 「まぁ一応、水泳好きだし」 学校の門を出てから南へ歩いて交差点に出たところで、三次... 「あ、当たりだ」と言った。さっきまでアイスキャンディー... 「当たり?」僕が覗き込むと、確かに木の棒には(当たり)... 「ホントだ。これ持って行ったらもう一本アイスキャンディ... 「ううん。何ももらえないよ。これ、部員が食った市販品の... 「え、じゃあこれは誰かがしゃぶり倒した後だったりするの... 「大丈夫よ。しっかりと洗浄・漂白してあるから」 ううむ、気分的な問題だと思うのだが・・・ 「でも、土本君の舐め差しを提出したら、私に間接キスでき... 「ハハハ、それいいかもね」 冗談はこうやってかわす。そしてさらに話題を振る。 「・・・でもそうすると、この当たりの棒を提供した部員は... ところが、三次さんを見るとなぜか俯いている。 「私、家こっちの方向だから」 「そっか。じゃあまた明日な」 この日以降三次さんとはずっと何にもなかった。何ももらえ... ~ CENTER:''(了)'' ~ ~ 参考) http://www2.edu.ipa.go.jp/gz/h1swim/h1bu00/h1bu20/IPA-swm... *この作品を評価を評価する [#qb4788d6] #rating() #navi(活動/霧雨/vol.1.2) 終了行: #navi(活動/霧雨/vol.1.2) *オレンジ・アイス・キャンディー ―― [[五島顕一>部員紹介]] ... ~ 午後の授業の終わりごろにやっと思い出した。プール横の脱... 自分のしでかしたことで、顔面に熱っぽさを感じ始める。カ... しかし慌ててはいけない。まだ授業の途中だ。ここは終鈴を... 僕の席からはるか遠くで先生が黒板にチョークを何回か叩き... 突然、カーテンが静かに風で煽られた。生暖かい風が肌を触... 「―――今やっている源氏物語はぁ~、かいつまんで言うと光源... 先生がこんなことを言うはずはない。僕の耳が聞き取って、... チャイムが鳴り始めた。いつも微妙に音程のずれた不愉快な... プールの入り口の前まで来た。靴と靴下を脱ぎ簀(す)の子... 部屋全体の内装はコンクリートだ。その中に所狭しとねずみ... やっとの思いで目的のロッカーにたどり着き、水着の入った... バシャン、バシャン・・・・。 ゆっくりとした一定のリズムだった。プールに誰か入ってい... その人はプールの第1コースをバタフライで泳いでいた。女子... 彼女は、プールサイドの手すりからゆっくりと上がってくる... 「何してるの、あんた」 「へ?」 不意に背後から女の人の声がして、僕は気の抜けた返事を返... 「あ、三次(みよし)さん」 体で太陽が隠されて、陰によって彼女の顔が浮かび上がった... 三次なつみは隣のクラスの女子だ。教室では短いポニーテー... クラスの男子の話のまな板に三好さんのことはあまり出てこ... 「何だ、土本か。何か私に用事あんの?」 あ、クラスが別なのに名前覚えていてくれていたのか。それ... 「ええと、僕は忘れ物を取りに来ただけで・・・」 「ああ、ちょっと待って。今着替えてくるから」 僕の言葉を遮ってそう言って三次さんはまた更衣室へと引っ... 「あれ、待っていてくれてたの。優しいところあるんだ。忘... 「あれ、待っていてと言ったのは三次さんのほうじゃ・・・... 「『三次さん』ってちょっと堅苦しいな。『なつみ』でいい... 「な・・なつみ・・・さん・・・」 「呼びにくいか。『三次』って言ってみ」 「・・・三次」 「・・・ん、まぁそれでいいか」 流されたような気がする。でもまぁいいか。 僕は今までそのオレンジ色のものに気付かなかったが、三次... 「それは?」 「アイスキャンディー。オレンジジュースを凍らせただけの... 「どこで買ったの?」 「そこに冷蔵庫があるよ」 示されたほうを見ると突然に教室の机があって、その上に高... 「僕、水泳部じゃないけど買っていいの?」 「いいんじゃない?部員数より少し多めに用意してあるし、... 僕は貯金箱に10円玉を投下して冷蔵庫からオレンジアイス... 「へぇ~、三次って水泳部だったんだ」僕は振り返って三次... 「水泳部はそうだけど、私はマネージャーをやってる」 「大変じゃない?」 「大丈夫。マネージャー3人いるし、一番熱心な子に任せて... 「あれ、そんな冗談もイケるクチなんだ。」僕はキャンディ... 「ちょっと待って。最初にある程度表面を少しずつ舐めてお... 三次が歩き始めたので僕はその斜め後ろを歩く。僕は大人し... 「三次、ちょっとじっとしてて」 「ん?」 僕は何も言わずに三次の左肩を親切心で鋭く叩く。 「ッ!」 「蚊が止まってたぞ」僕は三次に右手の掌に張り付いた成果... 「あーッ!制服に血がついてるじゃない!こういうの落ちな... 「あ、ごめん」僕は意外な反応に驚いてすぐに謝った。 何となく気まずい雰囲気が流れる。地面からの放射熱で、空... 「・・・私も、急に怒ってしまってごめん」 「いや、僕の方こそ」とりあえず日本人的には一往復半だ。 「ハンカチ持ってるからちょっと待って」 「大したことないからいいよ、大丈夫」 僕は少し考えるために、キャンディーを口に入れる。三次も... 「そういえばさ、水泳部のマネージャーじゃなくて部員とい... 「え、だって私そんなに泳げないよ」 「バタフライ泳げるならかなりスゴイと思うんだけど」 急に目が合う。三次が僕の目の奥のほうを見ようとするので... 「・・・知ってたんだ」三次は中空のあっちとそっちとこっ... 「最初は水泳部員として入ろうと思ったんだけどね、友達を... 僕は静かにして、話の骨を折らないようにした。 「それでさ、マネージャーとして部の雰囲気とか見てるとさ... 「でもマネージャーは辞めないんだ」 三次はちょっと照れたようにこう言った。 「まぁ一応、水泳好きだし」 学校の門を出てから南へ歩いて交差点に出たところで、三次... 「あ、当たりだ」と言った。さっきまでアイスキャンディー... 「当たり?」僕が覗き込むと、確かに木の棒には(当たり)... 「ホントだ。これ持って行ったらもう一本アイスキャンディ... 「ううん。何ももらえないよ。これ、部員が食った市販品の... 「え、じゃあこれは誰かがしゃぶり倒した後だったりするの... 「大丈夫よ。しっかりと洗浄・漂白してあるから」 ううむ、気分的な問題だと思うのだが・・・ 「でも、土本君の舐め差しを提出したら、私に間接キスでき... 「ハハハ、それいいかもね」 冗談はこうやってかわす。そしてさらに話題を振る。 「・・・でもそうすると、この当たりの棒を提供した部員は... ところが、三次さんを見るとなぜか俯いている。 「私、家こっちの方向だから」 「そっか。じゃあまた明日な」 この日以降三次さんとはずっと何にもなかった。何ももらえ... ~ CENTER:''(了)'' ~ ~ 参考) http://www2.edu.ipa.go.jp/gz/h1swim/h1bu00/h1bu20/IPA-swm... *この作品を評価を評価する [#qb4788d6] #rating() #navi(活動/霧雨/vol.1.2) ページ名: