開始行: #navi(活動/三題噺) *Checkmate ―― [[哉>部員紹介]] [#ya34d5a0] ~ 『明日の午後四時に集合ということでいいですね?』 『御意です。そしたら、どうしましょう。何か目印みたいなの... 『確かに。あそこって結構な待ち合わせスポットだし』 『じゃあ、俺がエンピツのTシャツ着て行きますよ』 『いいですね! 私もそうします』 『それならわたしもエンピツのTシャツ着てこうかな。名古屋... 『え! ベアぶっくさんも名古屋フェスに行ってたんですか!... 『もしかしたらすれ違ってたりして、ベアぶっくさんとエドさ... 『すごい偶然ですね』 『偶然じゃないぜ。だってみんなエンピツが好きなんだから』 『ああ、そう言われると何だか、また泣けてきちゃった』 『わたしも。涙でディスプレイが滲む~』 『ま、それは会ってから思う存分語りましょうよ』 『それもそうだな。とりあえず、みんなエンピツのTシャツと... それって恥ずかしくないのかな。次々と会話がアップされる... しかし、集まる五人が似たような格好をしていたら不審に思... 『長浜さんの言う通りかも。時期が時期だし、警戒されたりし... 『他人に無関心ですよ、最近は』 『それでも、統一する必要はないんじゃないかな』と僕はキー... 『それいいですね!』 『大事なのはそこだったな』 賛同が得られたことに安堵して、僕は最後に提案する。 『僕がルークのTシャツを着ていくので、それを目印にしまし... 『おお、なかなか乙な選択ですね』 『ルークか。それって市販されていました?』 『初期のライブ会場で売っていましたよ。まだインディーズの... 『私も欲しいな~』 『それじゃあ、明日の十一時に会いましょう。僕は眠くなって... 『OK。おやすみなさい、長浜さん』 『良い夢を』 『寝坊しないでくださいよ~』 僕はため息をついて、チャット会場のウィンドウを閉じた。 エンプティ・ザ・ピッチャーズ。ファンのあいだでは彼らの... 彼らは自分たちの経歴は一切公表せず、互いをチェスの駒に... ここにルークが含まれていないことを、ボーカルであるキン... 「俺たちは、自分たちを守るための城なんて要らないんだ。そ... 一説には、ルークは彼らエンピツの音楽を聴くものに与えら... 「控えの投手がいない」という変わった名前の由来は、彼らが... どこにでもいるような音楽少年から、現在という時代を背負お... そんなエンピツのボーカル、キングが死んだ。 ある日、何の前触れもなく、ステージに上がる人数が三人に減... メンバーも関係者も、キングの死については口を閉ざしたまま... 死因は明らかにされないまま、葬式がしめやかに行われ、ただ... リーダーであるクイーンが、エンピツの活動の休止を発表した... カリスマ的な人気を誇ったボーカルの死。キングを取られた勝... 待ち合わせの時計台の前で待っていると、ベアぶっくさんが... 僕が自分の名前を教えていると、今度は背の高い男性が僕た... 先に集まった三人で、エンピツの曲についてディスカッショ... 「長浜さん、ですか?」 ルークのTシャツを着た僕に、彼女が聞く。 「そうです。ということは、あなたがエドさんですか」 うなずく彼女を見て、僕たちに笑みが広がる。 「すいません、ちょっと授業が長引いちゃって」 「授業に出てたんですか?」 「あ、やっぱり変ですかね。いざ死のうって思ったら、なんだ... 「それで大丈夫なのか?」 監督さんの訝しそうな顔に、大丈夫ですよ、と答えたエドさ... 「とりあえず、あそこの喫茶店に入りませんか。立ち話もなん... ベアぶっくさんの意見に賛成して歩き出す。エンピツの話で... そもそも、集団自殺というのは、群れることによって責任や... 死ぬことに対して。 「まさか、自分が後追い自殺するなんて思ってませんでしたよ」 店内に入り席について、それぞれ飲み物を注文する。愛想の... 「あたしもですよ。まあ、こんな終わり方も悪くないかなって... 「むしろ、こういう終わり方のほうが俺は良いと思うよ。愛し... 「あ、それ『ピクニック』ですよね」 とエドさんが笑う。 「良いですよね、あの歌詞。あれってキングが書いたんですよ」 「知ってるって」 監督さんが自慢げに腕を組む。 「俺は恋をしていない。だから、みんなが何でそんなものに夢... 「俺は全てを愛してる」 僕は監督さんの台詞の先を言う。 「だから俺は、求めることはしない。必要なことは、全て俺の... そのキングの言葉に感銘を受ける二人、お株を取られた監督... それからもエンピツの話は尽きることはなかった。彼らがな... どこまでもストイックで、触れられないほど透明な存在なのに... 彼ら三人は、キングが自殺したと思っていた。なぜなら、キン... 去年、この国に未曾有のテロ事件が起きた。それに関わってい... しかしそれは違う、と僕は思う。安土は確かに憂えていたけれ... 本当のことを言わなければ、きっと彼らは理想のキングの後ろ... 「安土は自殺したんじゃないよ」 僕の発言に、三人の視線が飛ぶ。 そして最初に疑問を口にしたのは、エドさんだった。 「安土って誰?」 「キングの本名だよ」 「え、嘘、だって誰もキングの本名は知らないはず」 ベアブックさんは困惑しながら、そうでしょう、と隣に座っ... 「ああ。キングの本名は非公開だ」 「そんなの関係ないよ。僕は、キングである安土と友達だから... 本当のことを言えば、エンピツのプロデューサでもある。彼... 「安土が死んだのは、自殺でもなければ他殺でもないし、十字... 「じゃあ、何で死んだんですか?」 エドさんが恐る恐るたずねた。他の二人も息をのんで僕の口... 僕はため息をつく。 「風邪だよ」 そう、単なる風邪なのだ。そこには神秘的なものなんて何も... 「酷いのをこじらせて、それに日頃の無理がたたって呆気なく... ポーンがどれだけ前進しようとも、盤上から落ちた駒は戻っ... 「病気なの、か」 監督さんの肩が下がる。 「そう、だから僕は止めに来たんだ。きっと電子ネットワーク... 「嘘ついてるわけじゃないよね?」 「真実かどうか、それを決めるのは俺じゃない」 エンピツの歌詞をそらんじる。この一説を考えたのは僕だ。 「というわけで、もう帰って音楽でも聴きながら寝てください... ~ CENTER:''(了)'' ~ ~ *この作品を評価する [#q7831e15] #rating #navi(活動/三題噺) 終了行: #navi(活動/三題噺) *Checkmate ―― [[哉>部員紹介]] [#ya34d5a0] ~ 『明日の午後四時に集合ということでいいですね?』 『御意です。そしたら、どうしましょう。何か目印みたいなの... 『確かに。あそこって結構な待ち合わせスポットだし』 『じゃあ、俺がエンピツのTシャツ着て行きますよ』 『いいですね! 私もそうします』 『それならわたしもエンピツのTシャツ着てこうかな。名古屋... 『え! ベアぶっくさんも名古屋フェスに行ってたんですか!... 『もしかしたらすれ違ってたりして、ベアぶっくさんとエドさ... 『すごい偶然ですね』 『偶然じゃないぜ。だってみんなエンピツが好きなんだから』 『ああ、そう言われると何だか、また泣けてきちゃった』 『わたしも。涙でディスプレイが滲む~』 『ま、それは会ってから思う存分語りましょうよ』 『それもそうだな。とりあえず、みんなエンピツのTシャツと... それって恥ずかしくないのかな。次々と会話がアップされる... しかし、集まる五人が似たような格好をしていたら不審に思... 『長浜さんの言う通りかも。時期が時期だし、警戒されたりし... 『他人に無関心ですよ、最近は』 『それでも、統一する必要はないんじゃないかな』と僕はキー... 『それいいですね!』 『大事なのはそこだったな』 賛同が得られたことに安堵して、僕は最後に提案する。 『僕がルークのTシャツを着ていくので、それを目印にしまし... 『おお、なかなか乙な選択ですね』 『ルークか。それって市販されていました?』 『初期のライブ会場で売っていましたよ。まだインディーズの... 『私も欲しいな~』 『それじゃあ、明日の十一時に会いましょう。僕は眠くなって... 『OK。おやすみなさい、長浜さん』 『良い夢を』 『寝坊しないでくださいよ~』 僕はため息をついて、チャット会場のウィンドウを閉じた。 エンプティ・ザ・ピッチャーズ。ファンのあいだでは彼らの... 彼らは自分たちの経歴は一切公表せず、互いをチェスの駒に... ここにルークが含まれていないことを、ボーカルであるキン... 「俺たちは、自分たちを守るための城なんて要らないんだ。そ... 一説には、ルークは彼らエンピツの音楽を聴くものに与えら... 「控えの投手がいない」という変わった名前の由来は、彼らが... どこにでもいるような音楽少年から、現在という時代を背負お... そんなエンピツのボーカル、キングが死んだ。 ある日、何の前触れもなく、ステージに上がる人数が三人に減... メンバーも関係者も、キングの死については口を閉ざしたまま... 死因は明らかにされないまま、葬式がしめやかに行われ、ただ... リーダーであるクイーンが、エンピツの活動の休止を発表した... カリスマ的な人気を誇ったボーカルの死。キングを取られた勝... 待ち合わせの時計台の前で待っていると、ベアぶっくさんが... 僕が自分の名前を教えていると、今度は背の高い男性が僕た... 先に集まった三人で、エンピツの曲についてディスカッショ... 「長浜さん、ですか?」 ルークのTシャツを着た僕に、彼女が聞く。 「そうです。ということは、あなたがエドさんですか」 うなずく彼女を見て、僕たちに笑みが広がる。 「すいません、ちょっと授業が長引いちゃって」 「授業に出てたんですか?」 「あ、やっぱり変ですかね。いざ死のうって思ったら、なんだ... 「それで大丈夫なのか?」 監督さんの訝しそうな顔に、大丈夫ですよ、と答えたエドさ... 「とりあえず、あそこの喫茶店に入りませんか。立ち話もなん... ベアぶっくさんの意見に賛成して歩き出す。エンピツの話で... そもそも、集団自殺というのは、群れることによって責任や... 死ぬことに対して。 「まさか、自分が後追い自殺するなんて思ってませんでしたよ」 店内に入り席について、それぞれ飲み物を注文する。愛想の... 「あたしもですよ。まあ、こんな終わり方も悪くないかなって... 「むしろ、こういう終わり方のほうが俺は良いと思うよ。愛し... 「あ、それ『ピクニック』ですよね」 とエドさんが笑う。 「良いですよね、あの歌詞。あれってキングが書いたんですよ」 「知ってるって」 監督さんが自慢げに腕を組む。 「俺は恋をしていない。だから、みんなが何でそんなものに夢... 「俺は全てを愛してる」 僕は監督さんの台詞の先を言う。 「だから俺は、求めることはしない。必要なことは、全て俺の... そのキングの言葉に感銘を受ける二人、お株を取られた監督... それからもエンピツの話は尽きることはなかった。彼らがな... どこまでもストイックで、触れられないほど透明な存在なのに... 彼ら三人は、キングが自殺したと思っていた。なぜなら、キン... 去年、この国に未曾有のテロ事件が起きた。それに関わってい... しかしそれは違う、と僕は思う。安土は確かに憂えていたけれ... 本当のことを言わなければ、きっと彼らは理想のキングの後ろ... 「安土は自殺したんじゃないよ」 僕の発言に、三人の視線が飛ぶ。 そして最初に疑問を口にしたのは、エドさんだった。 「安土って誰?」 「キングの本名だよ」 「え、嘘、だって誰もキングの本名は知らないはず」 ベアブックさんは困惑しながら、そうでしょう、と隣に座っ... 「ああ。キングの本名は非公開だ」 「そんなの関係ないよ。僕は、キングである安土と友達だから... 本当のことを言えば、エンピツのプロデューサでもある。彼... 「安土が死んだのは、自殺でもなければ他殺でもないし、十字... 「じゃあ、何で死んだんですか?」 エドさんが恐る恐るたずねた。他の二人も息をのんで僕の口... 僕はため息をつく。 「風邪だよ」 そう、単なる風邪なのだ。そこには神秘的なものなんて何も... 「酷いのをこじらせて、それに日頃の無理がたたって呆気なく... ポーンがどれだけ前進しようとも、盤上から落ちた駒は戻っ... 「病気なの、か」 監督さんの肩が下がる。 「そう、だから僕は止めに来たんだ。きっと電子ネットワーク... 「嘘ついてるわけじゃないよね?」 「真実かどうか、それを決めるのは俺じゃない」 エンピツの歌詞をそらんじる。この一説を考えたのは僕だ。 「というわけで、もう帰って音楽でも聴きながら寝てください... ~ CENTER:''(了)'' ~ ~ *この作品を評価する [#q7831e15] #rating #navi(活動/三題噺) ページ名: