開始行: #navi(活動/三題噺) *幽霊本屋にようこそ! ―― [[哉>部員紹介]] [#mfc1305e] ~ ここは幽霊本屋。あくまでも、これは愛称。別に、レジの前... 長年、この本屋を営んできたお祖母ちゃんは、就職する気が... そのお祖母ちゃんが死んで、親戚一同がここの処遇に困って... そこには、本を読んで暮らしていけるっていう打算があった... そして三ヶ月ほど、店の奥から店内を眺め、日に三度の掃除... 「なんかさ、増えてるんだよね、本が。ときどきだけど」 「そりゃ増えるでしょ」 いつものレジ前の定位置に座ったわたしの横で、現在付き合... 「古本屋なんだから。誰かが売りに来たりして」 彼は、この本屋の常連で、店主がわたしに代わり、日々、顔... 「その通りなんだけどね」 と、この話題はここで終わった。 かに見えたけど、本当のはじまりはここからで、B6の紙を... 幽霊本屋には、三種類のお客さんがいる。一つ目は、単なる... 最初、興味本位でその本を読んでいたのだけれど、なかなか... だから、思い切って本にしてみることにした。 資金は店の売り上げから経費として落として、お祖母ちゃん... そして、綺麗にできあがった本を店先に置いてみると、値段... 不思議と、勝手に製本されたことへの苦情は来なかったし、... まあ、わたしもそれなりの人生を送ってきて、推理小説だっ... 確かにここは幽霊本屋で、死んでしまった作品群が集まって... そういうことを前提に本棚を掃除してみると、お祖母ちゃん... どれどれ、とわたしはこれらの本を読んでみる。 図書館で日本刀を見つけた女子高生の日常を綴った日記形式... もう一つは、典型的な勧善懲悪もの。その名もハルマゲドン... そして、わたしは思う。 どうせなら、この二つが合わさればいいのに。 思い立ったたが吉日ということで、それからわたしは一週間... 「作品をパッチワークみたいに合わせるなんて。まるでフラン... 「残念、それは怪物を作った人間の名前で、死体から生まれた... だから、この場合は、わたしがフランケンシュタインになる... ノートパソコンを持ち出し、営業時間はレジの前、店先に机... 三ヶ月、待ってみた。何冊か売れたけれど、反応なし。 「自信作だったんだけどなぁ」 と、わたしはため息をつく。 「たぶん、君に一つに融合された作者たちも同じことを考えて... すかさず彼が言い返してきた。 「世の中、そんなにうまくはいかないもんなんだよ」 そうかもね、とわたしは思った。でも、ニートだったわたし... 日々、感謝しなきゃいけないな、と思い直していると、郵便... わたしがそれを受け取っても、郵便屋さんは、どこか落ち着... 「何か用ですか?」 「いえ、あの、その」 と彼はどもり、気まずそうにしながら言った。 「何ていうか、ここが舞台なのかな、と思ったりして」 「舞台?」 わたしは聞き返した。 「そうです、あの、その葉書の送り主なんですけど、知り合い... なんだか不躾な局員だな、と思いながら、わたしは葉書の裏... 首を傾げているわたしにはお構いなしに、郵便屋さんのテン... 「あのさ、彼は何て言ってたの?」 隣で一緒に聞いていた彼にたずねた。 「要するに、その葉書に写っている二人は、新進気鋭の作家で... 「それって、どっちが書いているのかな?」 写真を目の前に持ち上げてみる。 「共作だってさ。二人が出会った場所を物語にできて幸せです... 「舞台ってそういう意味だったんだ」 「そうだね」 「じゃあ、わたしはどう書かれてるのか気になるね」 「たぶん、フランケンシュタインみたいに書かれてるんじゃな... 彼は冗談のつもりで言ったのだろうけれど、後日、その作家... それにしても、なんであの作者たちから結婚報告が来たのだ... 「その割には、物語に出てきた古本屋の女主人の髪形とか泣き... と呟きながら、わたしは今日もノートパソコンのキーボード... 今度は、お祖母ちゃんが買ってくれたマフラーを、どうして... こうやって、こつこつと死んでしまった作品を生き返らせる... ~ CENTER:''(了)'' ~ ~ *この作品を評価する [#b3181826] #rating #navi(活動/三題噺) 終了行: #navi(活動/三題噺) *幽霊本屋にようこそ! ―― [[哉>部員紹介]] [#mfc1305e] ~ ここは幽霊本屋。あくまでも、これは愛称。別に、レジの前... 長年、この本屋を営んできたお祖母ちゃんは、就職する気が... そのお祖母ちゃんが死んで、親戚一同がここの処遇に困って... そこには、本を読んで暮らしていけるっていう打算があった... そして三ヶ月ほど、店の奥から店内を眺め、日に三度の掃除... 「なんかさ、増えてるんだよね、本が。ときどきだけど」 「そりゃ増えるでしょ」 いつものレジ前の定位置に座ったわたしの横で、現在付き合... 「古本屋なんだから。誰かが売りに来たりして」 彼は、この本屋の常連で、店主がわたしに代わり、日々、顔... 「その通りなんだけどね」 と、この話題はここで終わった。 かに見えたけど、本当のはじまりはここからで、B6の紙を... 幽霊本屋には、三種類のお客さんがいる。一つ目は、単なる... 最初、興味本位でその本を読んでいたのだけれど、なかなか... だから、思い切って本にしてみることにした。 資金は店の売り上げから経費として落として、お祖母ちゃん... そして、綺麗にできあがった本を店先に置いてみると、値段... 不思議と、勝手に製本されたことへの苦情は来なかったし、... まあ、わたしもそれなりの人生を送ってきて、推理小説だっ... 確かにここは幽霊本屋で、死んでしまった作品群が集まって... そういうことを前提に本棚を掃除してみると、お祖母ちゃん... どれどれ、とわたしはこれらの本を読んでみる。 図書館で日本刀を見つけた女子高生の日常を綴った日記形式... もう一つは、典型的な勧善懲悪もの。その名もハルマゲドン... そして、わたしは思う。 どうせなら、この二つが合わさればいいのに。 思い立ったたが吉日ということで、それからわたしは一週間... 「作品をパッチワークみたいに合わせるなんて。まるでフラン... 「残念、それは怪物を作った人間の名前で、死体から生まれた... だから、この場合は、わたしがフランケンシュタインになる... ノートパソコンを持ち出し、営業時間はレジの前、店先に机... 三ヶ月、待ってみた。何冊か売れたけれど、反応なし。 「自信作だったんだけどなぁ」 と、わたしはため息をつく。 「たぶん、君に一つに融合された作者たちも同じことを考えて... すかさず彼が言い返してきた。 「世の中、そんなにうまくはいかないもんなんだよ」 そうかもね、とわたしは思った。でも、ニートだったわたし... 日々、感謝しなきゃいけないな、と思い直していると、郵便... わたしがそれを受け取っても、郵便屋さんは、どこか落ち着... 「何か用ですか?」 「いえ、あの、その」 と彼はどもり、気まずそうにしながら言った。 「何ていうか、ここが舞台なのかな、と思ったりして」 「舞台?」 わたしは聞き返した。 「そうです、あの、その葉書の送り主なんですけど、知り合い... なんだか不躾な局員だな、と思いながら、わたしは葉書の裏... 首を傾げているわたしにはお構いなしに、郵便屋さんのテン... 「あのさ、彼は何て言ってたの?」 隣で一緒に聞いていた彼にたずねた。 「要するに、その葉書に写っている二人は、新進気鋭の作家で... 「それって、どっちが書いているのかな?」 写真を目の前に持ち上げてみる。 「共作だってさ。二人が出会った場所を物語にできて幸せです... 「舞台ってそういう意味だったんだ」 「そうだね」 「じゃあ、わたしはどう書かれてるのか気になるね」 「たぶん、フランケンシュタインみたいに書かれてるんじゃな... 彼は冗談のつもりで言ったのだろうけれど、後日、その作家... それにしても、なんであの作者たちから結婚報告が来たのだ... 「その割には、物語に出てきた古本屋の女主人の髪形とか泣き... と呟きながら、わたしは今日もノートパソコンのキーボード... 今度は、お祖母ちゃんが買ってくれたマフラーを、どうして... こうやって、こつこつと死んでしまった作品を生き返らせる... ~ CENTER:''(了)'' ~ ~ *この作品を評価する [#b3181826] #rating #navi(活動/三題噺) ページ名: