開始行: #navi(活動/三題噺) *創像のとき ―― [[哉>部員紹介]] [#l3b9b12b] ~ 僕の名前はマグネシウム。誰かが、僕と僕以外の人間を区別... みんなからは、マグとかエムジーと呼ばれている。いつから... 一週間前までは、こんなふうに考えることなんてなかった。... 「歴史というものが、根本的に足りていないんだよ、この世界... アルミニウムは憎々しい表情を浮かべながら、地面の土を蹴... 「別にそれが悪いわけじゃない。だって、僕たちは自力で楽し... 「そうだね」と僕は曖昧にうなずいた。 「しかしだ。もしも、僕たちが考え出したこれまでの遊戯、ソ... 「マグダラの中に人間がいる、ということが僕にはわからない... 「さあね。信じるのは君だよ、マグネシウム。いつだって真実... アルはそっぽを向いて、ため息をついた。 「悪いな、気が立ってるんだよ。約束の日が近づいてきたから」 震える声で、泣くのを堪えようとしているアルミニウム。み... 「マグネシウム」 「なんだい」 「僕は、今のままでいいんだ。永遠なんていらないんだ」 約束の日とは、マグダラに向かわなければならないとき。そ... そう言ってアルは、無理に微笑もうとした。 「遠い昔の話、人間がまだ電気という発明に頼っていた時代、... アルミニウムは、まるでいやいや覚えた詩を暗誦するように... 人類が、その愚かな過ちを二度と繰り返さないために、この... ここでは、経験から得られた、平和でいられる人数が揃って... 「ペタクラスのコンピュータが六台あれば、その人間の一生を... 「そんな、わけないだろ」 僕は驚いていた。何をそんなに驚いていたのか。アルミニウム... 田畑の耕し方について、誰に教えてもらったのか。教えてもら... そうだ、きっとマグダラの中だ。僕が生まれた場所、そして、... 「とにかく、僕が君に言えることは、これで全部だよ。これを... 「なんで、なんで君は僕にそれを教えてくれるんだい」 「僕は君を、その、なんていったら言いか教わっていないから... 「手を伸ばしたい存在」 「そう、これからも君を見守るよ。そんなこと意味がないかも... 「そこには、何があるんだい」 「海に沈む夕日があるよ。それに手を伸ばしてくれ。太陽にと... 永遠ほどつまらないものはないかもしれないけれど、君を待... そういって、アルミニウムはマグダラへと向かって歩き出し... だから、僕は西の波打ち際に立ち、柔らかい日差しに右手を... 変化するということが、悪いことなのか良いことなのか、僕... 僕の心は、アルミニウムの気持ちで変化してしまった。これ... いくら手を伸ばしたって、答えは出ないとわかっているけれ... 「あと、少しだったのにね」 月夜に照らされた砂浜、僕の後ろにはフェルミウムが立って... 「あと少しで、君の祈りは、誰でもないものに向けられていた... お手上げだというように肩をすくめ、首を振ったフェルミウ... 「エムジー、君は信じちゃったわけだね、アルの戯言をさ」と... 「彼を馬鹿にしているのか、フェルミ」 「おっと、怒ったのかい」とフェルミは目を大きく見開いた。... 彼は、くくっと笑いを漏らした。まるで夕日を僕だと思って... 「それで、君はこれからどうする。どうなりたい、どんなこと... 「考えていないよ」 「本当に?」 「もう、うまく物事を考えることができなくなったんだ。魚た... 「じゃあ、君は神様を裏切るんだね」 フェルミは悲しそうな苛立ちを隠そうともせずに、唾を吐い... 「はは、不思議そうな顔をしているね、エムジー。冥土の土産... 僕はフェルミウムのきつい視線から逃れることができなかっ... 「戦争、という単語を覚えているかい。昼間に聞いただろ。戦... 僕は足元が揺らぐのを感じた。これまで僕の見てきた世界が... 「人間には、大きく別けると三つの欲があるのさ。食欲、睡眠... 誰の仕業だと思う、とフェルミは口元を歪めた。 「ここで、二つ目の理由が出てくる。人間はね、神様というも... 神様、人間を作ったもの、その他の生命を作ったもの、と我... 「不思議だと思わないか。神様は、人間やその他の動植物に、... フェルミは、仲間はずれにされたときの哀しさと、そんな馬鹿... 「神様を知るために、人間を知ることが必要になってくるんだ... さて、君はどう思う、とフェルミは僕にたずねた。「君は、... こちらを見る彼は、たぶん羨んでいるのだろう、と僕は思っ... 「くだらないね。何一つ、理解できないよ」 それだけ言って、僕は涙を流した。 「ああ、本当にくだらない。それでも、僕たちが涙を流すのは... フェルミウムは、静かに夜の中へと姿を消した。独りになっ... そこには、答えなんて書いていないのに。 ~ CENTER:''(了)'' ~ ~ *この作品を評価する [#v544784a] #rating #navi(活動/三題噺) 終了行: #navi(活動/三題噺) *創像のとき ―― [[哉>部員紹介]] [#l3b9b12b] ~ 僕の名前はマグネシウム。誰かが、僕と僕以外の人間を区別... みんなからは、マグとかエムジーと呼ばれている。いつから... 一週間前までは、こんなふうに考えることなんてなかった。... 「歴史というものが、根本的に足りていないんだよ、この世界... アルミニウムは憎々しい表情を浮かべながら、地面の土を蹴... 「別にそれが悪いわけじゃない。だって、僕たちは自力で楽し... 「そうだね」と僕は曖昧にうなずいた。 「しかしだ。もしも、僕たちが考え出したこれまでの遊戯、ソ... 「マグダラの中に人間がいる、ということが僕にはわからない... 「さあね。信じるのは君だよ、マグネシウム。いつだって真実... アルはそっぽを向いて、ため息をついた。 「悪いな、気が立ってるんだよ。約束の日が近づいてきたから」 震える声で、泣くのを堪えようとしているアルミニウム。み... 「マグネシウム」 「なんだい」 「僕は、今のままでいいんだ。永遠なんていらないんだ」 約束の日とは、マグダラに向かわなければならないとき。そ... そう言ってアルは、無理に微笑もうとした。 「遠い昔の話、人間がまだ電気という発明に頼っていた時代、... アルミニウムは、まるでいやいや覚えた詩を暗誦するように... 人類が、その愚かな過ちを二度と繰り返さないために、この... ここでは、経験から得られた、平和でいられる人数が揃って... 「ペタクラスのコンピュータが六台あれば、その人間の一生を... 「そんな、わけないだろ」 僕は驚いていた。何をそんなに驚いていたのか。アルミニウム... 田畑の耕し方について、誰に教えてもらったのか。教えてもら... そうだ、きっとマグダラの中だ。僕が生まれた場所、そして、... 「とにかく、僕が君に言えることは、これで全部だよ。これを... 「なんで、なんで君は僕にそれを教えてくれるんだい」 「僕は君を、その、なんていったら言いか教わっていないから... 「手を伸ばしたい存在」 「そう、これからも君を見守るよ。そんなこと意味がないかも... 「そこには、何があるんだい」 「海に沈む夕日があるよ。それに手を伸ばしてくれ。太陽にと... 永遠ほどつまらないものはないかもしれないけれど、君を待... そういって、アルミニウムはマグダラへと向かって歩き出し... だから、僕は西の波打ち際に立ち、柔らかい日差しに右手を... 変化するということが、悪いことなのか良いことなのか、僕... 僕の心は、アルミニウムの気持ちで変化してしまった。これ... いくら手を伸ばしたって、答えは出ないとわかっているけれ... 「あと、少しだったのにね」 月夜に照らされた砂浜、僕の後ろにはフェルミウムが立って... 「あと少しで、君の祈りは、誰でもないものに向けられていた... お手上げだというように肩をすくめ、首を振ったフェルミウ... 「エムジー、君は信じちゃったわけだね、アルの戯言をさ」と... 「彼を馬鹿にしているのか、フェルミ」 「おっと、怒ったのかい」とフェルミは目を大きく見開いた。... 彼は、くくっと笑いを漏らした。まるで夕日を僕だと思って... 「それで、君はこれからどうする。どうなりたい、どんなこと... 「考えていないよ」 「本当に?」 「もう、うまく物事を考えることができなくなったんだ。魚た... 「じゃあ、君は神様を裏切るんだね」 フェルミは悲しそうな苛立ちを隠そうともせずに、唾を吐い... 「はは、不思議そうな顔をしているね、エムジー。冥土の土産... 僕はフェルミウムのきつい視線から逃れることができなかっ... 「戦争、という単語を覚えているかい。昼間に聞いただろ。戦... 僕は足元が揺らぐのを感じた。これまで僕の見てきた世界が... 「人間には、大きく別けると三つの欲があるのさ。食欲、睡眠... 誰の仕業だと思う、とフェルミは口元を歪めた。 「ここで、二つ目の理由が出てくる。人間はね、神様というも... 神様、人間を作ったもの、その他の生命を作ったもの、と我... 「不思議だと思わないか。神様は、人間やその他の動植物に、... フェルミは、仲間はずれにされたときの哀しさと、そんな馬鹿... 「神様を知るために、人間を知ることが必要になってくるんだ... さて、君はどう思う、とフェルミは僕にたずねた。「君は、... こちらを見る彼は、たぶん羨んでいるのだろう、と僕は思っ... 「くだらないね。何一つ、理解できないよ」 それだけ言って、僕は涙を流した。 「ああ、本当にくだらない。それでも、僕たちが涙を流すのは... フェルミウムは、静かに夜の中へと姿を消した。独りになっ... そこには、答えなんて書いていないのに。 ~ CENTER:''(了)'' ~ ~ *この作品を評価する [#v544784a] #rating #navi(活動/三題噺) ページ名: