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京都工芸繊維大学 文藝部

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 *彼等の正義は誰が為に  ――  [[お亀納豆>部員紹介]] [#o1d8de1c]
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  目の前を女子高生の集団が歩いている。狭い道の横一杯に広がって、だ。
 揃いも揃って四人ともが茶髪。改造した制服は、これまた揃いも揃って下着が見えるのではないかという程の短さのスカート。そこからのぞく脚は、無駄な肉が付き過ぎて、正視に耐えない程である。
 彼女達の口から飛び出すのは、とても日本語とは思えない、脳の腐り具合がよく理解る言語だ。耳障りな事この上ない。
 (こいつ等、今すぐ死ねば良いのに……)
  そう思いながら、卓也は彼女達の後ろを歩いている。追い越してしまいたいのだが、なかなかタイミングが掴めず、のろのろと騒音を撒き散らしながら歩く彼女達の背後で、時間を無駄にする羽目になっている。
 (そうだ、こんな奴等生きてたって、何の価値も無いじゃないか。むしろ死んだ方がよっぼど世界の為になる……)
  そう考えた次の瞬間。
 
  右から二番目の少女の頭が破裂した。
 
  びちっ、と水分を含んだ音がして、卓也の頬に何かが付着した。
  悲鳴は上がらなかった。他の三人の女子高生も、一人目の犠牲者に続いて、次々と頭を破裂させたからだ。びちゃり、と粘着質な音が響いた。
  卓也の視界は、ものの数秒で赤一色に染まった。
 「は……へ……?」
  意味の判らない音が口から漏れ、彼は、その場にすとんと座り込んでしまった。
  何だ?何が起きた?そもそも目の前のものは本当に人間だったものか?質の悪い悪戯か何かじゃないのか?
 「害虫四匹駆除完了っと」
  気付けば、卓也の隣に青年が立っていた。淡く髪を染めていて、適度に御洒落な出で立ちの何処にでも居そうな青年だ。しかし、青年の手には銃が握られていた。その銃は、卓也がこれまでに観た映画やドラマに出て来た、どの銃ともデザインの異なるものだったが、彼は、それが人を殺す為の道具である事を直感的に理解した。
  ぽかんと、自分の方を見つめる卓也の視線に気付き、青年は、にこにこと笑いながら、自己紹介を始めた。
 「ああ、驚かせてしまったみたいだね。僕は<正義の猟犬>の一人で、ガイという。<正義の猟犬>ってのは、あいつらみたいなゴミを処分するのが役目さ。まあ、サークル活動みたいなものだよ。
  今の世の中では正義なんて言葉は、忘却の彼方だ。誰もが、自分の為だけに行動し、思うがままに暮らしている。何て腐った世界なんだと思わないかい?
  だから僕達は、皆の心から失われた正義を執行するべく日々活動しているんだ。君だって、こいつ等なんか死ねば良いと思っていただろう?君の心の叫びを聞きつけたからこそ、こうして僕は駆けつけたという訳さ」
  正義?執行?処分?
  何を言っている?
  卓也の思考は一つに絞られていく。
  わからない。
  分からない。
  判らない。
  解らない。
  理解らない。
  ただ一つ、わかるのは、
 「ひ……ひと、ひとごろ、し……」
  瞬間、穏やかだった青年の顔が、面影も残さない程に険しい顔になった。
 「え、まさか、君。僕達の正義が理解出来ないのかい?」
  これがつい今まで、柔和な笑顔を浮かべていた青年と同じ人間の表情なのだろうか?
  股間が、じわりと嫌な熱を帯びるのが判った。失禁してしまったのだ。
 「なぁんだ、君もゴミか。目糞、鼻糞を笑うってヤツだった訳だ」
  青年は溜息と共に、銃口を卓也に向ける。
 「駆除対象、もう一匹追加っと」
  その台詞を最後に、卓也の意識は暗転した。
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 CENTER:''(了)''
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