&size(20){'''食堂にて'''};
CENTER:''[[Aka>部員紹介]]''
~
食堂にて。
「あー、だりー。から揚げ丼うまかった?」
「んーまあまあな。次授業ある?」
「あるよ。そっちは?」
「ある。でも結構時間開いてるよな」
「だな。あー、退屈。」
「・・・・・」
「・・・。なんかサークル入った?」
「んー。まだ決めかねてる」
「そうか。運動系にするのか?」
「いや、運動はしたくない」
「ふーん・・・。そういえば前に一緒にミュージカルサークルの新歓行ったけど、あれはどうなんだ?」
「いや、微妙。というかあの新歓の事あんまり覚えてないんだよな」
「ん、なんでだ?」
「かなりハイスペースで飲んだからな・・・。というか飲まされたし」
「あー、俺もだった。うっすらしか記憶ないな」
「後から聞いた話だと、ミュージカルサークルってサークル自体が酒豪で有名なんだって」
「えー。先に調べとけよ」
「俺に言うな」
「・・・・・」
「・・・・・」
「・・・・・どこから覚えてない?」
「あの日か?うーん。なんかあの日のこと自体、スッパリ記憶が無いんだよね。気付いたら家だったし」
「ふーん。・・・・・じゃああの事覚えてないのか?」
「あのことって?」
「お前がやんちゃした奴」
「なんだよ、それ」
「秘密」
「言えよ。気になるだろ」
「話すと長いからなぁ」
「いいよ、別に。どうせ俺もお前も暇だろ」
「仕方ないな。
えぇと、あの日、新歓が始まって30分位だったのにお前はそのとき既にありえないペースで酒を飲んでいて、早くもへべれけだったんだ。それなのにお前はテンションが上がったのかさらに飲み続けた。それも周りが心配するほどに。そしてさらに30分が経過した。その時にはさすがに周りもすっかり出来上がっていたのか、何か特技の自慢大会みたいなことになっていた。そうすると、お前はこう言ったんだ。
『俺に盗めないものは無いですよ』
もちろん皆冗談だと思って嘘だと笑った。でも皆が笑うとお前は怒った。
『嘘じゃないですよ。なんなら何か言ってみてください。盗って来ますから』
皆はやはり笑って、一人が言った。
『じゃあ、向かいのコンビニでガムでも取ってきてくれよ』
そう言われると、お前は出て行った。もちろん皆はお前が強がって出て行ったのだと思った。そして10分くらいして、皆は、お前が酔いに醒めて引っ込みがつかなくなって帰っただとか、適当な話をして笑っていた。そんな話をしていると、お前が帰ってきた。
『どうだったんだよ?』一人がニヤニヤしながら言った。
『はい』
『ぶふぉぁっ!!箱ごとかよ!!』
『え?当たり前でしょ?』
お前は鞄から箱を差し出しながら、さも当然そうに言った。
ゲラゲラ笑うものもいれば、少し不安そうな顔をしている奴もいた。が、皆はかなり酔っていたのか、お前に次の指示を出したんだ。
『じゃあさ、酒も無くなって来たし次は酒を盗ってこいよ。もちろん箱でな』と一人が笑いながら言った。
お前は頷いて直ぐに出て行った。さすがにそれは無理だろう、とか、だいたいどこから盗ってくるんだよ、とかそんな話をしながらみんなは飲んでいた。すると、お前は戻ってきた。しかし今度は手ぶらだった。
『おー、今度はさすがに無理だったか。まあ、普通無理だけどな』と爆笑しながら一人が言った。
『外にありますよ』そう言ってお前は扉の前から避けて、皆に外が見えるようにした。
『ええ~~~~~~!盗って来すぎだろ!!』
外には、板にタイヤが付いたような荷車にビールやら缶チューハイやらの箱4箱が2×2にして積んであった。ここまで来ると、皆おかしくなって笑い出す。どうやって盗ってきたのか?とか誰かが聞くとお前は、企業秘密です、と言って頑固に答えなかった。
そうしてまたしばらく飲んでいて、また一人が言った。
『なあ・・・金とか盗って来れるのか?』
『当たり前です』
やはり人間行き着く先はそこなのだろう。止めとけよ、とか、それはまずいだろ、とかの制止の声もいくつか上がったが、結局その場のノリというものは恐ろしく、結局お前は行くことになった。
『いくらとって来ればいいんですか?』靴を履いて、お前が尋ねた。
『ん、お前の力量に任せる』
『わかりました。1時間して帰って来なかったら、解散しておいてください』
そういって、気をつけろよー、とか、捕まるんじゃねぇぞー、とかの声をかけられながらもお前は出て行った。しかし、お前はその日は帰ってこなかったんだ。」
「・・・・・うわ・・・・・、すごいな、俺。ていうか、マジなのか?」
「馬鹿。嘘だよ」
「アホ。俺も嘘だよ。新歓が終わってから起こされて、部室から家に帰ったのは覚えてるんだよ」
「・・・・・うざっ」
「お前の方がウザイだろうが。悪質な嘘付きやがって」
「お前も俺からしたら十分悪質だよ。さんざん無駄話喋らせやがって」
「途中で思い出したんだよ。しかもお前が勝手に話しただけだし。というかよく瞬時にそんな長編ホラ話が出てくるな」
「・・・・・一昨日、ミュージカルサークルの先輩にそっくりそのまま言われたんだよ」
「・・・・・騙されたのか?」
「・・・・・」
「ぶぁはははははははははははははははははははは!!何赤面してんだよ!アホだ!21世紀最強のアフォブファッ!!ってもう時間15分も過ぎてるじゃねぇか!た・・単位が!」
「後一回の遅刻で単位を落とす奴もアホだろうが!走れっ!!」
~
アパートにて。
「ふぅ。っていうかボロいアパートだ。このドア腐りかけてるんじゃないのか?まあ安いから良い・・・ってあれ?俺の部屋にこんなゴミ箱あったっけ?・・・なんで中に鞄?
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・何この金?」
~
CENTER:''(了)''
~
~
CENTER:三題噺 14第回
-- ゴミ -- サークル -- 忘却 --
~
[[戻る>活動/三題噺]]