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京都工芸繊維大学 文藝部


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[[活動/霧雨]]
 
 ***恋猫水溶液* [#ie3d1e54]
 
 鮎川つくる*作*  
 
 #br
 
 
 
 さくら満開ガーリーという語をはき違え
 
 山眠る思い通りのお洒落して
 
 プリキュアの目にハイライト竜田姫
 
 「マッチョ苦手」砂日傘の鮮やかに
 
 春めくやおなかをぽんぽんと言う余裕
 
 dickとかいう外国語四月馬鹿
 
 秋の蛇おまえも悩むのかと言われ
 
 さんずいとにすいのかわり目九月尽
 
 すももには恥をかかされたから嫌い
 
 ぺらぺらの千円札や万聖節
 
   *
 
 アマリリス占星術では癒やされぬ
 
 雨月の街にインターネット的空想
 
 風薫る沁みるガガーリンの名言
 
 秋声や「眼鏡は生理的に無理」あーあ
 
 黍嵐「いいね」の逆は「よくないね」
 
 紙魚ちゃんにかじっちゃヤーよとこびてみる
 
 (血の成分)=(恋猫水溶液)
 
 ふくろふやジブリが好きとは言えなさそう
 
 「とろろ汁あんまり得意じゃ無いの」いまさら
 
 舞台女優はほんとに泣いていた霞
 
 さくら蕊降る高齢化社会へと
 
 「※フィクションです」に安心・慢心いわし雲
 
 良夜なりかわいい名前「けむぴこ君」
 
 釣瓶落とし何がスローフードだよ
 
 鳥帰る暴走族にも帰る家
 
 「~として」生まれたる世の残暑かな
 
 寒暁のチリンが軽くてつらい
 
 JSの方言美しや日の盛
 
 ぼくの『メイドインアビス』手汗でくたくた
 
 寒暁はプラスチックは飛び散った
 
   *
 
 豊年やなんでも漏らすのは快感
 
 名月や突然強く腹下す
 
 冷房か下痢かはざまの九月尽
 
   *
 
 「一説によると……」寄り目に西日が当たってた
 
 秋の虹の方へアルバイトへ向かふ
 
 ゆで卵つるりと剥けて秋惜しむ
 
 大理石のなかのアンモナイト涼し
 
 数式のxに居座る西日かな
 
 畳くずいっぱい部室は寒い寒い
 
 西日ですパラボラアンテナ一つ
 
 「ええそうです」電話の指の先は春
 
 冷奴食うてる猫背が痛そうで
 
   *
 
 店長は東京出身文化の日
 
 占い師が欲しい二〇二〇年秋
 
 秋風鈴天気予報は外れたの
 
 休暇明け太字混じりの自己顕示
 
 宵祭予言二三を耳打ちす
 
 あーいま多佳子忌だったと空を見る
 
 露の世やゆるーい「名湯ゆ~トピア」
 
 造幣局はmintというらし冬うらら
 
 「神に愛される」ことは死ぬことやまざくら
 
 ああ涼しアンモナイトは強そうで
 
 君付けで呼ばれるアイドル四月馬鹿
 
   *
 
 冷まじやフルネームでは呼ばないで
 
 酔芙蓉グレてもきっとお嬢様
 
 くらげ拾ふ結婚線は見えません
 
 朝寒にうまく行かない四捨五入
 
 初冬や分母と分子の仲違い
 
   *
 
 袋角触れればふぐりほどの熱
 
 薔薇垣に体言止めのひびきあり
 
 仏前に男女は無くて遍路かな
 
 遠雷がへそから入り抜けにけり
 
 じゃんけんのグーで負けたる涼しさよ
 
 台風がえがく軌跡のくびれかな
 
 セーターを脱ぎしかたちの個性かな