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京都工芸繊維大学 文藝部


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 [[文藝部通信]]
 
 *第5回目 [#f37f4f80]
 
  みなさんこんちくは。菴田です。こんなところ(失礼)にたどり着いたあなたにはきっといいことがあるでしょう。知らんけど。そうそう、私は文藝部通信という企画で初めての学部生です。学部と言っても4回生なので、鴨川で等間隔を決め込んだり、キャッキャウフフなキャンパスライフとはもう無縁です。嘘です。私、女子高校生なのでキャンパスライフなんて知りません。
  ……。
  ちょうど次の記事を書いてくれと言われたのは確か夏至あたりだったと思います。夏至を過ぎると昼の長さは短くなっていく一方で、なんだかさみしくなりますね。え? そんなこと思ったことない? ちょっと自分に酔い過ぎじゃない? えぇそうですとも、ちょっとでも隙があるとどうにもならない未来のことを考えては、ずーんと沈んでしまうのが私なのです。鬼も爆笑間違いなしですね。もうちょっとプラス思考でいきましょうか。梅雨なのにじめじめしていないからと言って、私が進んで湿っぽくなる必要なんてありませんよね! セミの鳴き声も聞いていなければ、満開のひまわりも、夕立に濡れる女子高校生も見ていません。夏はまだまだこれから、始まってすらないのです! 生ぬるい夜風に吹かれながらする深夜徘徊も、これからやりたいことがたくさんです! こうなっては居ても立っても居られませんね! やりましょう、深夜徘徊! 決意が出来ればあとはドアを開けるだけ! ぬるっとした空気が私を包み込んでくれるはずです。いざ出陣! ……案外まだ冷えるものですね。初夏といえども、まだ6月、どうやら早すぎたようです。でも、だからと言ってあきらめる私ではありません! 1、2、3歩と歩みを進めていきます。遠ざかる我が家、近づいてくる交差点。いつも引っかかる信号も、今なら気にせず渡れます。今の私はまさに女王! 王様じゃないですよ、女子高校生なので。ですが、女王といっても私を運んでくれる馬車なんてありません。自分の足で歩いていくしかないのです。ずんずんずんと私は進んでいきます。どこかの家の窓に反射した赤色の点滅信号にびっくりしつつ、夜の女王は進むのです! 女王、なんていいましたけど、中身はただの女子高校生、徘徊できる範囲なんて知れています。スタンドバイミーの少年たちのようにはなれないけれど、少しだけ線路沿いを歩いてみようかな。
  しばらく線路に沿って歩いていると、踏切にたどり着きました。久しぶりにわたってみよう。意味のない左右確認を何度もして、目をつぶってわたります。きっと、この姿を見た人は驚くに違いありません! なんてイケナイ娘なの、私ったら!
  さてさて、もうじき空が白んでくる頃です。ようよう白くなりゆく山際……、ってもうそういう季節は過ぎていますが、いつまでも徘徊しているわけにはいきません。私の一糸まとわぬ姿が衆目に晒されてしまいます。ではでは。
 
  次は鮎川さんにでもお願いしましょうかね。そろそろ鮎食べたいなあ。